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#193 鶺鴒鳴(せきれいなく)|朝晩の冷えに負けない体づくり

こんばんは。はりきゅう速水です。

今朝、しゃっくり(吃逆)で目が覚めました。お腹が冷えたのか、ほかに原因があったのかはわかりませんが、なかなか止まらず、朝から大変でした。

最近は日中まだ暑さを感じる日もありますが、朝晩は少しずつ涼しくなってきています。こうした季節の変化の中では、服装や寝具などは夏のままなのに、体は少しずつ秋の気候へ対応しようとしているのかもしれません。

今回の七十二候は「鶺鴒鳴(せきれいなく)」。セキレイが鳴き始める頃、という意味です。

自然の中で秋が深まっていくように、私たちの体も少しずつ変化しています。今回は、そんな時期に気をつけたい「朝晩の冷え」と、体を冷やしすぎないための養生についてお話しします。

●朝晩の冷えにご注意を

この時期に気をつけたいのが、「朝晩の気温差」です。

日中の暑さが残っているため、まだ夏と同じ服装や過ごし方をしている方も多いかもしれません。しかし、朝晩は思った以上に体が冷えていることがあります。

特に、

・朝起きたときに体が重い
・足腰が冷える
・肩や首がこわばる
・お腹が冷えているように感じる
・寝ている間に冷えてしまう

といった変化が気になる場合は、少しずつ秋の気候に合わせていくことが大切です。東洋医学では、冷えは体の働きに影響を与えるものとして考えられています。季節の変わり目には、外からの冷えや気温差に対応するため、体に負担がかかりやすくなります。無理に暑さを我慢する必要はありませんが、冷やしすぎないことを意識してみましょう。

●秋の冷えに備える養生

まずは、服装を少しずつ調整していきましょう。朝晩に外へ出るときは、薄手の上着を一枚用意しておくと安心です。また、冷たい飲み物や食べ物を続けてとっていた方は、その日の気温や体調に合わせて、温かいものも取り入れてみてください。特に意識したいのは、お腹や足元を冷やしすぎないことです。お風呂では湯船につかり、体をゆっくり温める時間をつくるのもよいでしょう。ただし、熱いお風呂に長時間入る必要はありません。気持ちよく温まる程度で十分です。

そのほかにも、

・睡眠時間を確保する
・疲れを感じたら早めに休む
・朝晩の気温に合わせて服装を変える
・軽く体を動かして血流を促す

など、無理なく続けられることから始めてみましょう。

●食事でも体を冷やし過ぎない

秋は、夏の間に疲れた体を整えていく時期でもあります。食事では、温かい汁物や煮物などを取り入れると、体を冷やしすぎずに済みます。

根菜類やきのこ類など、秋に旬を迎える食材を楽しむのもよいですね。もちろん、冷たいものを完全に避ける必要はありません。大切なのは、その日の気温や体調に合わせて、食べ方を調整することです。「暑いから冷たいもの」だけではなく、「少し涼しくなってきたから温かいものも取り入れてみよう」と考えてみてください。

●おすすめのツボ

今回は、冷えや体のこわばりが気になるときに使われるツボを紹介します。

【三陰交(さんいんこう)】

内くるぶしの一番高いところから、指4本分ほど上にあるツボです。東洋医学では、冷えや女性の体調管理などと関係が深いツボとして知られています。足元が冷えるときは、強く押しすぎず、手で温めるようにゆっくり触れてみるのもよいでしょう。

【関元(かんげん)】

おへそから指4本分ほど下にあるツボです。体を温めることや、元気を補うことと関係が深いツボとして、鍼灸ではよく使われます。お腹を冷やさないことを意識しながら、手のひらでやさしく温めてみてください。

※妊娠中の方や、体調に不安がある方は、ツボ押しを行う前に専門家へご相談ください。

●まとめ

セキレイの鳴き声が聞こえ始める頃、自然の中では少しずつ秋が深まっています。

私たちの体も、夏の暑さに合わせた生活から、秋の涼しさに合わせた生活へと切り替えていく時期です。まだ日中は暑いからといって、朝晩まで夏のまま過ごす必要はありません。その日の気温や体調を見ながら、服装や食事、睡眠のとり方を少しずつ調整してみましょう。季節の変化に合わせて、自分の体にも目を向ける。それも、無理なく続けられる養生のひとつです。

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社

#192 草露白(くさのつゆしろし)|喉や肌の乾燥が気になる季節の養生

こんばんは。はりきゅう速水です。

9月に入り、朝晩は少しずつ涼しくなってきました。日中はまだ暑さを感じる日もありますが、朝の空気や風に、夏とは違う秋らしさを感じることも増えてきたのではないでしょうか。

今回の七十二候は「草露白(くさのつゆしろし)」。草に降りた露が白く見える頃、という意味です。朝晩の気温が下がり、草木に露がつく。

そんな自然の変化からも、秋が少しずつ深まっていることが感じられます。

●秋は「乾燥」が気になる季節

秋になってくると、

「喉がイガイガする」
「肌が乾燥する」
「唇が乾く」
「鼻がムズムズする」

など、乾燥に関係する不調が気になる方もいるかもしれません。夏は湿気や汗が気になることが多い一方、秋になると空気が乾いてきます。

東洋医学では、秋は「燥」と関係が深い季節と考えます。そして、五臓では「肺」と関係が深い季節です。ここでいう「肺」は、現代医学でいう肺そのものだけではなく、呼吸器や鼻、喉、皮膚など、体の外側と関係する働きも含めて考えます。そのため秋は、喉や鼻、肌などの乾燥に目を向けておきたい季節です。

●乾燥から体を守るために

乾燥が気になるからといって、特別なことをする必要はありません。まずは、普段の生活の中で「潤いを失いすぎないこと」を意識してみましょう。

・こまめに水分をとる
・喉が乾燥しているときは無理をしない
・部屋が乾燥しているときは加湿する
・お風呂上がりなどに肌を保湿する
・汗をかいたまま冷やさない

そして、夏の間に続けていた冷たい飲み物や食べ物も、少しずつ見直してみましょう。暑いときには必要だったものも、気温が下がってくれば体にとっては負担になることがあります。「まだ夏だから」と思い続けるのではなく、その日の気温や体調に合わせて調整していくことも養生です。

●秋の食事で「潤い」を意識する

食事では、秋に旬を迎えるものを取り入れるのもよいでしょう。

梨、れんこん、大根、白ごま」など、みずみずしさのあるものや、秋においしくなる食材を食卓に取り入れてみてください。ただし、「この食材を食べれば乾燥が治る」というものではありません。普段の食事を基本にしながら、季節のものを楽しむくらいで十分です。

●おすすめのつぼ

乾燥が気になる季節に、今回は「尺沢」と「太淵」を紹介します。

【尺沢(しゃくたく)】

肘を曲げたときにできるシワの上で、親指側とは反対側にあるツボです。東洋医学では肺と関係の深いツボとして知られています。喉や呼吸器の不調が気になるときなどに、鍼灸でよく使われます。セルフケアでは、強く押し込まず、指で軽く触れる程度から試してみましょう。

【太淵(たいえん)】

手首の親指側、脈を触れるあたりにあるツボです。こちらも肺と関係の深いツボで、秋の養生では覚えておきたいツボの一つです。手首を軽く温めたり、ゆっくり触れてみるのもよいでしょう。

●まとめ

「草露白」という名前の通り、自然の中では朝露が見られるようになる頃。季節が変われば、体の感じ方も少しずつ変わってきます。夏の暑さが落ち着いてきたと思ったら、今度は乾燥や朝晩の冷えが気になる。そんな季節の変化に合わせて、生活も少しずつ変えていきましょう。

喉や肌の乾燥が気になるときは、

「水分をとる」
「乾燥した環境を避ける」
「冷やしすぎない」
「しっかり休む」

まずは、できることから。秋の季節を気持ちよく過ごすために、体の変化にも少し目を向けてみてください。

なお、喉の痛みや咳、息苦しさなどが強い場合、長く続く場合、発熱などを伴う場合は、乾燥だけが原因とは限りません。そのようなときは、無理に養生だけで様子をみず、医療機関へご相談ください。

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社

#191 「やろう」と思う気持ちは、どこから生まれる?|東洋医学から考えてみる

こんばんは、はりきゅう速水です。

「今年は○○をやってみよう」
「もっと運動してみよう」
「これを勉強してみよう」

そんなふうに、「やってみたい」と思うことはありませんか?

目標を立てることは、行動のきっかけになります。でも、目標を立てたことで少し満足してしまい、なかなか実行に移せないこともありますよね。

では、

「やろう」と思う気持ちは、どこから生まれるのでしょうか?今回は、東洋医学の「五神(ごしん)」という考え方から、少し考えてみたいと思います。

●「やろう」と思ってから、実際に動くまで

東洋医学では、精神活動を「神・魂・魄・意・志」という五つの働きから捉える考え方があります。

今回はこの五神を、「何かをやってみたい」と思ってから、実際に行動するまでという流れに当てはめて考えてみます。

腎の「志」

「こうなりたい」
「こうしたい」

という思い。これは腎に宿る「志」と関係していると考えられます。

たとえば、

「健康のために運動したい」
「今年は資格の勉強をしてみたい」
「趣味をもう一度始めてみたい」など。

まず「こうしたい」という思いが生まれることが、最初の一歩になります。

肝の「魂」

「こうしたい」と思ったら、次は、

「じゃあ、どうしてみよう?」と考えます。

「毎朝10分歩いてみよう」
「まずは参考書を買ってみよう」
「昔やっていた趣味を、もう一度やってみよう」など、

目標に向かう方向を考えていく。ここには、肝に宿る「魂」の働きを重ねて考えることができます。

心の「神」

方向性が決まったら、

「よし、やってみよう」と気持ちを向ける。

心に宿る「神」は、精神活動を統括するものと考えられています。「やってみよう」と意識を向けることも、行動へ進むための大切な部分なのかもしれません。

脾の「意」

「具体的には、何をすればいいだろう?」と考えます。

「朝起きたら10分歩こう」
「今日は参考書を1ページ読んでみよう」

というように、思い描いていることを具体的な行動へ落とし込んでいく。ここでは、脾に宿る「意」の働きを考えることができます。

肺の「魄」

そして最後は、

実際に身体を動かすこと。

立ち上がって歩く。

机に向かって勉強する。

道具を手に取って、やってみる。

頭の中で考えているだけではなく、実際の身体の動きにつなげていくところには、肺に宿る「魄」の働きも関係していると考えることができます。

●人によって、止まりやすいところが違う

こうして並べてみると、

腎・志
「こうなりたい」「こうしたい」

     ↓

肝・魂
「じゃあ、こうしてみよう」

     ↓

心・神
「よし、やってみよう」

     ↓

脾・意
「具体的には、こうしよう」

     ↓

肺・魄
「実際に身体を動かす」

という流れになります。

もちろん、人の心や身体が実際にこの順番で動くわけではありません。これは、五神の働きを「行動」というテーマから考えてみるための、一つの見方です。

そして、ここから考えてみると面白いことがあります。人によって、途中でつまずきやすいところが違うのではないでしょうか。

たとえば、

「こうしたいなぁ」と思っているけれど、どうすればいいのか分からない。

そんなときは、志はあるけれど、その先の方向を決めるところで止まっている

と考えてみることができます。

「こうしたい」
   ↓
「こうしてみよう」

ここまでは決まった。

でも、

「よし、やってみよう!」

となかなか気持ちが向かないこともあります。そんなときは、志から魂へは進んだけれど、その先で立ち止まっているのかもしれません。

また、

「やってみよう」とは思っている。

でも、

「何から始めればいいんだろう?」
「もっと準備してからのほうがいいかな?」

と考えているうちに、時間だけが過ぎてしまうこともあります。これは、具体的な行動に落とし込むところで立ち止まっている、と考えることもできます。

そして、

「何をすればいいかも分かっている」
「やろうという気持ちもある」

それでも、なかなか身体が動かない。

そんなこともあります。このように考えると、

「やる気がある・ない」だけではなく、
「自分はどこで止まりやすいんだろう?」

と、自分自身を少し違った角度から見ることができます。

●大きな目標より、小さな一歩

目標を立てることは、とても大切です。

「こうなりたい」
「こうしてみたい」

という思いがあるからこそ、次の行動につながっていきます。でも、大きな目標を立てたままでは、なかなか動き出せないこともあります。

そんなときは、

「今日できることは何だろう?」

と、少しだけ小さくしてみる。

「毎日運動する」ではなく、「今日は5分だけ歩いてみる」

「資格を取る」ではなく、「今日は参考書を1ページだけ読んでみる」

それくらいでもいいのかもしれません。

「こうなりたい」という思いを、今日できる小さな行動に変えてみる。その積み重ねが、いつか大きな変化につながっていくのではないでしょうか。

●「やってみよう」と思うのは、どんなとき?

今回は、「やろう」と思う気持ち(やる気)を、東洋医学の五神から考えてみました。

「こうなりたい」

  ↓

「こうしてみよう」

  ↓

「よし、やってみよう」

  ↓

「具体的には、こうしよう」

  ↓

「実際に身体を動かす」

もちろん、これは五神の働きを分かりやすく考えるための一つの見方です。

でも、もし今、「やってみたいけれど、なかなか始められない」

ということがあるなら、自分はどこで止まりやすいんだろう?

と考えてみるのも面白いかもしれません。

 ・「こうしたい」という思いがまだ見つからないのか。

 ・方向性が決まらないのか。

 ・「よし、やろう」という気持ちになれないのか。

 ・具体的な方法が分からないのか。

 ・分かっているけれど身体が動かないのか。

人によって、きっと違います。そして、もし止まっているところが見つかったら、

「そこから一歩進むために、今日できることは何だろう?」と考えてみてはいかがでしょうか?

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社

#190 禾乃登(こくものすなわちみのる)|食欲の秋に向けて胃腸を整える養生

こんにちは、はりきゅう速水です。

9月に入り、北海道も少しずつ秋の気配を感じるようになってきました。日中はまだ暑さが残る日もありますが、朝晩は涼しくなり、季節が夏から秋へと変わってきているのを感じます。そんな今の時期、七十二候では「禾乃登(こくものすなわちみのる)」。

稲などの穀物が実り、収穫を迎える頃を表しています。自然界では、夏に育ったものが実を結ぶ時期。私たちの体も、夏の過ごし方から少しずつ秋の過ごし方へ切り替えていく時期です。

●食欲の秋だからこそ、胃腸をいたわる

「食欲の秋」という言葉があるように、暑さが落ち着いてくると、少しずつ食欲が戻ってくる方も多いのではないでしょうか。

一方で、夏の間に冷たい飲み物や食べ物をとる機会が増えたり、暑さで食欲が落ちたりして、胃腸が疲れていることもあります。そこへ、涼しくなったからといって急に食事量が増えると、

 ・胃がもたれる
 ・お腹が張る
 ・食後に眠くなる
 ・便通が乱れる

など、胃腸の不調につながることもあります。東洋医学では、飲食物から体に必要なものをつくり、全身へ運ぶ働きを「脾胃」が担うと考えます。夏の暑さで疲れた胃腸を少し休ませながら、これからの秋を迎えていきたいところです。

●秋に向けてできる養生

まず意識したいのは、「食欲が戻ったからといって、急に食べすぎないこと」。おいしいものが増える季節ですが、最初は腹八分目くらいを意識してみましょう。

また、夏の間に冷たいものを多くとっていた方は、少しずつ温かい食事へ戻していくのもおすすめです。特別なことをする必要はありません。

 ・よく噛んで食べる
 ・食事の時間をなるべく乱さない
 ・冷たいものをとりすぎない
 ・お腹いっぱいになるまで食べない

こうした小さなことでも、胃腸をいたわることにつながります。そして、朝晩が涼しくなってきたら、服装にも少し注意してみてください。夏と同じような薄着のままで過ごしていると、思った以上に体が冷えていることがあります。特にお腹や足元は冷やしすぎないようにして、秋の気候に合わせて少しずつ調整していきましょう。

●胃腸をいたわるツボ

今回は、食欲の秋に向けて「中脘」と「足三里」を紹介します。

【中脘(ちゅうかん)】 おへそとみぞおちの中間あたりにあるツボです。

 胃の調子を整えるツボとして、鍼灸ではよく使われます。食べすぎたときや、胃が重いと感じるときなどに、やさしく温めたり、軽く触れてみるのもよいでしょう。

【足三里(あしさんり)】 膝のお皿の下から指4本分ほど下、すねの外側にあるツボです。

 胃腸の調子を整えるほか、疲れがあるときにもよく使われる代表的なツボです。強く押す必要はありません。「痛気持ちいい」程度を目安に、ゆっくり刺激してみてください。

●まとめ

自然界では、夏に育ったものが実りを迎えています。私たちの体も、夏の暑さから少しずつ離れ、秋へと切り替わっていきます。

これからは、おいしいものが増えてくる季節。だからこそ、食べることを我慢するのではなく、まずは胃腸を整えて、秋の味覚を楽しめる体をつくっていきたいですね。

季節の変化を感じながら、無理なく少しずつ。これも秋の養生のひとつです。

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社

#189 「年だから仕方ない」と言う前に

おはようございます。はりきゅう速水です。

最近、訪問先で患者さんとお話をしていて、ふと考えたことがあります。

その患者さんは、何か困ったことがあると「もう年だから仕方ない」と、あきらめてしまうようなところがあります。例えば、洗濯機からいつもと違う音がしても、「もう年だから、分からないし、新しいのを買おう」と考えてしまう。

もちろん、本当に故障していて買い替えが必要なこともあります。ただ、説明書を見たり、誰かに聞いたり、原因を調べてみたりすれば、何か対応できることがあるかもしれません。

「年だから仕方ない」と、やる前からあきらめてしまうのは、少しもったいないのではないかなと思いました。

そこで今回は、この「年だから仕方ない」という気持ちを、東洋医学の視点から少し考えてみたいと思います。

●「年だから仕方ない」を東洋医学で考えると

東洋医学では、「腎」は成長や発育だけでなく、年齢を重ねていくこととも深く関係すると考えます。

年齢を重ねる
  ↓
腎の働きが少しずつ衰えていく
  ↓
「腎虚」という状態として捉える
  ↓
腎と関係の深い「恐れ・不安」
  ↓
「失敗したらどうしよう」「もう無理かもしれない」
  ↓
やってみる前に諦めてしまう

このような流れで考えてみると、「年だから仕方ない」という気持ちも、東洋医学の「腎」という考え方から見ることができるのではないかと思います。もちろん、これは東洋医学の考え方から見た一つの仮説です。

「年だから諦める=腎虚」という単純なものではありません。体調や生活環境、これまでの経験など、さまざまなことが関係していると思います。

●年をとることは、悪い事ではない

ここは大切なところです。年齢を重ねれば、若い頃と同じようにできないことが増えていくのは自然なことです。

体力が落ちたり、覚えるのに時間がかかったり、今まで簡単にできていたことが難しくなったりすることもあります。それを無理に「まだまだできる」と頑張りすぎる必要もありません。できないことは、人に頼っていい。できることは、自分でやってみる。

そのバランスが大切なのだと思います。「年だから仕方ない」と思ったときも、すぐに諦めるのではなく、

「今の自分にできることは何だろう?」と、一度考えてみる。

それだけでも、少し違うのかもしれません。

●年齢を重ねるにあたっての養生

東洋医学では、年齢を重ねることと関係の深い「腎」を大切にすることも養生の一つと考えます。特別なことをする必要はありません。

まずは、

 ・足腰を冷やさない

 ・適度に体を動かす

 ・疲れたときにはしっかり休む

 ・睡眠を大切にする

といった、毎日の生活を大切にすること。こうした積み重ねも、体をいたわる養生になります。

●つぼを使った養生(一例)

 太谿(たいけい)というつぼ

  内くるぶしとアキレス腱の間にあるツボで、東洋医学では「腎」と関係の深いツボとされています。強く押す必要はありません。指で軽く触れたり、温めたりする程度でも十分です。お灸を使う場合も、熱さを我慢する必要はありません。「気持ちいいな」と感じる程度で、無理なく行うことが大切です。

●「できること」を少しずつ

 年齢を重ねると、できなくなることもあります。でも、その一方で、長く生きてきたからこそ分かることや、できるようになったこともたくさんあるはずです。

以前と同じことをする必要はありません。今の自分にできることを探してみる。分からなければ誰かに聞いてみる。できなければ、人の力を借りる。そして、できることは少しずつ続けてみる。

それでいいのではないでしょうか。

私自身も、年齢を重ねる中で「もう年だから」と思ってしまうことがあります。だからこそ、患者さんとの会話をきっかけに、

「年だから仕方ない」で終わらせるのではなく、「じゃあ、今できることは何だろう?」

と考えることを、自分自身も大切にしたいと思いました。年齢を重ねることは、誰にも止めることはできません。だからこそ、無理をせず、できることを少しずつ。それも一つの養生なのかもしれません。

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社


#188 天地始粛(てんちはじめてさむし)|夏から秋へ、体を切り替える養生

こんばんは。はりきゅう速水です。

9月に入りましたね。北海道では、まだ日中に暑さを感じる日もありますが、朝晩は少しずつ涼しくなり、夏とは違う空気を感じるようになってきました。

私自身、最近少し喉がやられてきています。暑い日が続いていたと思ったら、朝晩は涼しくなり、空気も少しずつ変わってきました。こうした季節の変化に、体も少しずつ対応していかなければなりません。

七十二候では、今は「天地始粛(てんちはじめてさむし)」。暑さが少しずつ収まり、天地に秋の気配が現れ始める頃とされています。暦の上だけではなく、私たちの体にも少しずつ「夏から秋への変化」が表れ始める時期です。

●季節が変わると、体も変化します

夏の間は汗をかき、冷たい飲み物や食べ物を摂る機会も増えます。そこから少しずつ気温が下がり、朝晩の空気が涼しくなってくると、体も今までとは違う環境に対応していく必要があります。この時期に、

・喉が乾燥する
・喉に違和感がある
・鼻や呼吸器の調子が気になる
・夏の疲れが残っている
・朝晩に体が冷える

といった変化を感じる方もいるかもしれません。東洋医学では、秋は「肺」と関係が深い季節です。肺は呼吸を通して外界とつながっているため、秋の乾燥の影響を受けやすいと考えられています。私自身も最近、喉に違和感を感じるようになり、「季節が少しずつ変わってきているんだな」と実感しています。

●今の時期にできる養生

 ①喉を乾燥させない

 こまめに水分をとり、喉が乾燥しすぎないようにしましょう。特に朝晩が涼しくなってきたことで、夏のように水分をとらなくなることもあります。「喉が渇いていないから」と油断せず、適度に水分を補給しましょう。

 ②冷やし過ぎない

 日中は暑くても、朝晩は涼しくなってきました。寝るときの冷房や扇風機の使い方を見直し、体を冷やしすぎないようにしましょう。

 ③食事を少しずつ秋仕様へ

 まだ暑い日がありますが、冷たいものばかりではなく、温かい食事も少しずつ取り入れてみましょう。胃腸をいたわりながら、これからの季節の向けて食事を整えていきます。

●おすすめのツボ

・列缺(れっけつ)

手首の親指側にあるツボです。東洋医学では「肺」と関係が深いツボで、喉や呼吸器の不調などに用いられます。喉に違和感があるときや、秋の乾燥が気になる時期のセルフケアとしておすすめです。

・太淵(たいえん)

手首の親指側、手首のしわのあたりにあるツボです。こちらも「肺」と関係が深く、秋の養生に取り入れやすいツボです。やさしく押したり、お灸で温めたりしてみましょう。


●まとめ

「天地始粛」は、暑さが少しずつ収まり、秋の気配が感じられる頃を表しています。北海道ではまだ暑い日もありますが、朝晩の涼しさなど、少しずつ季節の変化を感じるようになってきました。私自身も喉の違和感を感じるようになり、体も季節の変化を感じ取っているのかもしれません。

暑さ対策を続けながらも、少しずつ「秋の養生」へ切り替えていきましょう。無理をせず、その日の気温や体調に合わせて、体をいたわりながら過ごしてみてください。

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社


#187 Mojo De マルシェ vol 2に初参加してきました

こんばんは、はりきゅう速水です。

今回は、いつもの鍼灸や養生のお話から少し離れて、イベント参加のお話です。

8月23日(日)に、恵庭駅西口から徒歩約3分のところにある「LIVE Cafe Mojo Hand」で開催された、「Mojo De マルシェ vol 2」に参加してきました。

実は、はりきゅう速水としてマルシェに参加するのは今回が初めて。普段は訪問鍼灸なので、患者さんのご自宅へ伺うことがほとんどです。

そのため、普段とは違う場所で、初めてお会いする方に体のことを相談していただくというのは、少し緊張しながらも楽しみにしていました。

●初めてのマルシェ参加

普段の訪問鍼灸では、患者さんのお宅でゆっくりお話を伺いながら施術をすることが多いので、「マルシェではどんな感じになるんだろう?」

と、参加する前から少しドキドキしていました。

今回は、

 ・気になる部位の整体コース(15分)

 ・お困りの症状についての養生やツボの紹介+整体コース(20分)

の2つを用意しました

普段とは違う環境だからこそ感じたことや、印象に残った出来事などもありました。

●参加してみて感じたこと

今回参加してみて、まず感じたのは、整体や鍼灸に興味を持っている方が思っていた以上に多いということでした。

「体がつらいけれど、なかなかメンテナンスする機会がない」
「整体や鍼灸を受けてみたいけれど、どこに行ったらいいのかわからない」

といった方もいらっしゃり、体のケアをしたいと思っていても、実際にケアを受ける機会は意外と少ないのかもしれないな、と感じました。

普段は訪問鍼灸で患者さんのご自宅へ伺っていますが、今回のようなイベントでは、普段なかなかお会いすることのない方と直接お話しすることができました。

「ちょっと体をみてもらいたい」
「この症状について聞いてみたい」

そんな気軽なきっかけから、体のことを考える時間を作ってもらえるのは、こうしたマルシェの良さなのかもしれません。

今回初めて参加してみて、私自身もいろいろと勉強になりました。

●また機会がありましたら

今回、初めてマルシェに参加してみて、普段の訪問鍼灸とは違った楽しさがありました。

準備から当日まで手探りの部分もありましたが、実際に参加してみないと分からないこともたくさんありますね。また機会があれば、こうしたイベントにも参加してみたいと思います。

今回ご一緒した皆さん、そして会場に足を運んでくださった皆さん、ありがとうございました。

普段は訪問鍼灸を中心に活動していますので、体のことで気になることがありましたら、イベントに限らずお気軽にご相談ください。

#186 蒙霧升降(ふかききりまとう)|暑さの疲れをいたわる季節の養生

こんばんは。はりきゅう速水です。

8月も後半に入りました。北海道ではまだ暑い日が続いていますが、少しずつ朝晩の空気に変化を感じることも増えてきました。

七十二候では、今は「蒙霧升降(ふかききりまとう)」。

深い霧が立ち込める頃を表しています。明日からは二十四節気の「処暑」に入り、暦の上では暑さが少しずつ落ち着いていく時期です。

とはいえ、北海道ではまだまだ暑さが残ります。昼間は暑いのに、朝晩は涼しい。そんな季節の変わり目に入り始めた今こそ、体の変化にも目を向けてみましょう。

●朝晩の気温差で疲れていませんか?

この時期

 ・朝起きると体が重い

 ・昼間は暑いけれど、夜は少し冷える

 ・寝ている間に体は冷えている

 ・なんとなく疲れが抜けない

 ・胃腸の調子がすっきりしない

ということはありませんか?夏の暑さで体力を消耗したところに、朝晩の気温差が加わると、体には思っている以上に負担がかかります。特に北海道は、本州に比べて朝晩の気温が下がりやすいので、「昼間は暑いから大丈夫」と思っていても、夜は体が冷えていることがあります。

●今の時期にできる養生

 ①寝るときの冷えに注意する

 暑い日は冷房や扇風機は欠かせません。ただ、夜中に体が冷えすぎないよう、風が直接体に当たらないようにしたり、薄手の掛け物を用意したりしましょう。

 ②冷たいものを摂りすぎない

 まだ暑いので、冷たい飲み物やアイスがおいしい時期です。我慢して完全にやめる必要はありませんが、冷たいものばかりにならないようにしましょう。常温の飲み物や温かい食事も取り入れて、胃腸をいたわります。

 ③夏の疲れを感じたら、しっかり休む

 8月後半になると、「もう少しだから頑張ろう」と無理をしてしまいがちです。しかし、夏の疲れは知らないうちに蓄積しています。疲れを感じたときは、睡眠時間を確保したり、予定を詰め込みすぎないようにしたりして、体を休ませましょう。

●おすすめのツボ

 三陰交(さんいんこう)

  内くるぶしの一番高いところから、指4本分ほど上にあるツボです。冷えやむくみなど、季節の変化による体の不調を整える際によく使われます。冷房で足元が冷えやすい方にもおすすめです。

●まとめ

 「蒙霧升降」は、深い霧が立ち込める頃を表す七十二候です。明日からは「処暑」となり、暦の上では暑さが落ち着いていく時期に入ります。とはいえ、北海道ではまだ暑い日も続きます。

暑さ対策をしながら、少しずつ朝晩の涼しさにも対応していく。そんな季節に合わせた過ごし方を意識してみてください。夏の疲れをそのまま秋に持ち越さないよう、無理をせず、自分の体をいたわりながら過ごしていきましょう。

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社

#185 涼風至(すずかぜいたる)|暦の上では秋、まだ暑い今の養生

こんばんは。はりきゅう速水です。

8月に入り、暦の上では秋を迎えました。

七十二候では、今は「涼風至(すずかぜいたる)」。「涼しい風が吹き始める頃」という意味ですが、北海道ではまだまだ暑い日が続いていますね。

暦の上では秋でも、実際には夏真っ盛り。この時期は、季節の変化と実際の気候との間にズレがあるため、体も調整が難しい時期です。夏の疲れも少しずつたまり始める頃なので、今のうちから体をいたわっていきましょう。

●暑さが続くと、体にも疲れがたまります

 夏の暑さが続くと

 ・疲れが抜けにくい

 ・食欲が落ちる

 ・寝苦しくて眠りが浅い

 ・冷たいものをとることが増える

 ・なんとなく体が重い

などの不調が出やすいです。暑いからといって冷たいものばかり摂ったり、冷房の効いた部屋で長時間過ごしたりすると、胃腸にも負担がかかります。夏の疲れをそのままにしていると、秋になってから体調を崩すこともあります。

●今の時期にできる養生

 ①冷たいものを摂りすぎない

  暑い日は冷たい飲み物やアイスがおいしく感じます。ただ、摂りすぎると胃腸に負担がかかります。冷たいものばかりにならないよう、常温の飲み物や温かい食事も取り入れてみましょう。

 ②睡眠を大切に

  暑さで寝苦しい日が続くと、知らないうちに疲れがたまります。エアコンや扇風機を上手に使い、できるだけ快適な環境で眠るようにしましょう。

 ③朝晩の気温差に備える

  北海道はこれから朝晩が涼しくなってきます。薄手の羽織るものを用意するなど、冷えすぎないようにする。

●おすすめのつぼ

 ・足三里(あしさんり)

  膝のお皿の下から指4本分ほど下、すねの外側にあるツボです。胃腸の働きを整え、夏の疲れや食欲が落ちたときにもよく使われます。

 ・太淵(たいえん)

  手首の親指側にあるツボです。東洋医学では「肺」と関係が深いツボで、秋に向けて体を整えるときにもおすすめです。

●まとめ

 「涼風至」は、涼しい風が吹き始め、少しずつ秋へ向かっていく季節を表しています。とはいえ、北海道ではまだまだ暑い日が続きます。暦だけを見て無理に秋の生活へ変える必要はありません。まずは今の暑さに合わせて体をいたわりながら、少しずつ秋を迎える準備をしていきましょう。

夏の疲れをため込まず、元気に次の季節を迎えられるよう、できることから養生を取り入れてみてください。

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社


●お盆期間の営業について

 お盆期間も通常どおり営業しております。ただし、8月11日(火)はお休みとさせていただきます。なお、急な不調などでお困りの場合は、8月11日も別途対応できる場合がありますので、お気軽にご連絡ください。

お盆期間中も、体調に気をつけてお過ごしください。

#184 大雨時行(たいうときどきふる)|自律神経をいたわる夏の養生

おはようございます。はりきゅう速水です。

まずは、熊本県で発生した地震で、不安な時間を過ごされた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。大きな被害がないこと、そして一日も早く穏やかな日常が戻ることを願っています。

北海道でも暑い日が続いていますね。日中は気温が高く、急な雨が降ったり、朝晩との気温差があったりと、体にとっては思っている以上に負担のかかる季節です。皆さんはいかがでしょうか。

七十二候では、今は**「大雨時行(たいうときどきふる)」**。

夕立や大雨が時折降り、自然にたっぷりと恵みの雨が降る頃を表しています。自然の変化が大きいこの時期は、私たちの体も影響を受けやすく、自律神経が乱れやすい季節でもあります。

今回は、夏に意識したい「自律神経をいたわる養生」をご紹介します。

●夏は自律神経が疲れやすい季節

最近、このようなことはありませんか?

・なんとなく疲れが取れない

・寝てもスッキリしない

・食欲がわかない

・冷房の効いた室内と屋外の温度差でぐったりする

・急な雨や天気の変化で体調がすぐれない

夏は暑さに対応するため、自律神経が一日中働いています。

さらに、冷房による冷えや屋外との温度差、気圧の変化などが重なることで、体は思っている以上に疲れています。

東洋医学でも、夏は汗とともに「気(き)」や「津液(しんえき)」が消耗しやすい季節と考えられています。

だからこそ、この時期は頑張ることよりも、自律神経をいたわることが大切です。

●今日からできる養生

 ①朝日を浴びる

  朝起きたらカーテンを開けて、朝日を浴びてみましょう。体内時計が整い、自律神経も切り替わりやすくなります。

 ②冷房で体を冷やし過ぎない

  室内外の温度差が大きいと、自律神経は休む暇がありません。羽織るものを一枚用意するなど、冷え対策も心がけましょう。

 ③ぬるめのお風呂に入る

  38〜40℃くらいのお湯にゆっくり浸かることで、心身ともにリラックスしやすくなります。シャワーだけで済ませがちな季節ですが、ときには湯船に浸かる時間も作ってみてください。

●おすすめのつぼ

 ・神門(しんもん)

  手首の小指側、手首のしわの上にあるツボです。気持ちを落ち着かせたいときや、眠りが浅いと感じるとき、自律神経をいたわりたいときによく使われます。心地よい強さで5〜10秒ほど押してみましょう。

●まとめ

 七十二候の「大雨時行」は、自然が大きく変化する季節を表す言葉です。

私たちの体もまた、暑さや湿度、気温差などの影響を受けながら毎日頑張っています。疲れを感じたときは、「まだ頑張れる」と無理をするのではなく、「今日は少し休もう」と体の声に耳を傾けてみてください。季節に合わせた養生を取り入れながら、自律神経をいたわり、この暑い夏を元気に乗り切りましょう。

「参考文献」

東洋医学概論  教科書執筆小委員会 著  医道の日本社