#55 目病諸候 その16 雀目候

おはようございます、鍼灸師の速水です

かなり冷えてきましたね。ストーブから離れられないです(笑)

 

さて、今日は『雀目候』です

雀目とは?です。雀目はあとで解説しますが、まずは原文読んでいきましょう

 

<原文>

人有晝而睛明、至暝則不見物、世謂之雀目、言其如鳥雀瞑便無所見也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

晝(昼)、睛(ひとみ)明らかな人有り、暝(めい、日没)に至りすなわち物を見れず、世はこれを雀目(じゃくもく)という、言其れは鳥雀の如き、瞑(めい、日没)みるところなしなり

 

<通訳>

昼間はよく物が見えるのに日没時になると物が物が見えなくなる人がいるが、世間ではこれを雀目(じゃくもく)といっている。それはまるで鳥類のように目が暮れると物を見ることができないからである。

 

<考察>

暝  = 日没時 を指します

雀目 = じゃくもく、これは『とり目』のことを指します。とり目はビタミンA欠乏による夜盲症である。小児の脾胃虚弱や長期の消化不良症、栄養失調などでよく見られ、また疳疾(かんしつ)では目の早期症状としてよく見られる。そのほか先天性の夜盲症があるが、これは網膜の色素変成によるものであり、遺伝的な要素があり、「高風雀目」と称されています。

私はとり目なので、夜になると少し見えずらいですね。運転時はライトがあるので平気ですが、田舎を歩くときがかなり不安ですね、ほぼやま勘で歩いてます(笑)たしかに、子供のときは虚弱でしたし、ドカ食いをしょっちゅうしてたので消化不良にもなって栄養がちゃんと吸収できてなかったんでしょうね(;゚Д゚艸)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

 

#54 目病諸候 その15 目茫茫候

こんにちは、鍼灸師の速水です

さて、今日は『目茫茫候』です

目の茫茫とは?です。茫茫はなんでしょうね~

 

<原文>

夫目是五藏六府之精華、宗脈之所聚、肝之外候也、府藏虚損、爲風邪痰熱所乘、氣傳於肝、上衝於目、故令視瞻不分明、謂之茫茫也、凡目病若肝氣不足、兼胸鬲風痰勞熱、則目不能遠視、則視物茫茫漠漠也、若心氣虚、亦令目茫茫、或惡見火光、視見蜚蠅黄黑也、

診其左手尺中脈、沈爲陰、陰實者目視茫茫、其脈浮大而緩者、此爲逆、必死、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法云、雞鳴欲起、先屈左手噉鹽指、以指相摩、呪曰西王母女、名曰益愈、賜我目、受之於口、即精摩形、常雞鳴二七著唾、除目茫茫、致其精光徹視萬里、遍見四方、咽二七唾之、以熱指摩目二七、令人目不瞑

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

夫れ、目は、是(この)五藏六府之(の)精華(せいか)、脈之聚(あつ)まる所むねと、肝之外候也、府藏虚損(きょそん)すれば、風邪や痰熱の所に乘じて、(邪)氣肝に伝わり、目に上衝(じょうしょう)すると、故に視瞻(しせん)分明せず、これを茫茫(ぼうぼう)というなり、およそ目の病は肝氣を不足し、胸鬲(きょうかく)に風痰勞熱、すなわち目遠くを視ることあたわず、物を視れば茫茫漠漠(ぼうぼうばくばく)んり、もし、心氣虚すれば、目茫茫(ぼうぼう)し、あるいは光や火を見ると、黄黑の蠅輩に見える也

その左手尺中の脈、沈んでいるのは陰、陰實の者目視ること茫茫(ぼうぼう)し、其脈浮大で緩の者、これ逆、必ず死、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法に云う、雞鳴欲して起き、先ず左手を屈し、鹽(しお)を指に噉(くら)わし、相指で摩すり、呪曰「西王母の女(むすめ)よ、名は益愈という、我に目を賜え、受けん」ととなえる、すなわち形詳しく、雞鳴に14回唾をつければ、目の茫茫除く、其視はくわしく万遠くをみれる、四方を遍くみる、これ(指)に唾液を14回つけ、指をこすり熱くなってめをあてる、それ14回、不瞑

 

<通訳>

目は臓腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また肝の外候である。もし臓腑が虚損し、また風邪や痰熱が乗じて、邪気が肝に伝わり、目に上衝すると、視力がはっきりしなくなるがこれを目の茫茫(ぼうぼう)という。およそ目の病は肝気が不足し、胸郭に風痰労熱があると目は遠くをみることができなくなり、物をみれば茫茫漠漠(ぼうぼうばくばく)としてはっきりしない。また心気が虚していても目は茫茫となるが、この場合は明るい光や火を見ることを恐がったり、黄黒色の小さな虫が飛びまわっているように見えたりするものである。

脈診で左手の尺中脈が沈であるのは陰証であるが、陰実であるものは目が茫茫としてかすんでいる。その脈が浮大で緩であるものは脈証不一致で逆証であり、予後不良である。

養生方導引法に云う、早朝雞鳴時にまさに起床しようとするときに、まず左手を屈して塩を中指につけ、母指と中指をこすり合わせながら、「西王母の女(むすめ)よ、名は益愈という、我に目を賜え、受けん」と称えれば目は物の形態をよく見ることが出来るようになる、毎朝雞鳴時に目に唾液を14回つければ、目の茫茫(かすみ)がとれて、その視力は鋭くなり万物を徹視し、四方を遍くみることができる、両手の中指に唾液を14回つけ、指と指をこすり合わせて熱くなってから、目を摩擦する。これを14回くり返す。この方法によって目が見えにくくならない。

 

<考察>

茫茫 = かすむ

これもかすみ目の話になりますね

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#53 目病諸候 その14 目青盲有翳候

こんにちは、鍼灸師の速水です

さて、今日は『目青盲有翳候』です

目の青盲は視神経萎縮などの症状ですが、さらに翳(えい、まくがかかったうような感じ)とは?です

「#52 目病諸候 その13 目青盲候」のさらに発展型ですね

 

<原文>

白黑二睛無有損傷、瞳子分明、但不見物、名爲青盲、更加以風熱乘之、氣不外泄、蘊積於睛間、而生翳似蠅翅者、覆瞳子上、故謂青盲翳也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

白黒睛の二つ損傷なし、瞳子分明し、ただし物見れず、その名を青盲、更に風熱これに乗じて加わると、気外に泄せれず、睛間に蘊積し、蠅の翅(はね)に似た翳(えい)を生む者、瞳子上に覆う、ゆえに青盲翳というなり

 

<通訳>

目の白い部分も黒い部分にもなんらの損傷がなく、瞳孔もはっきりしているのに物が見えないものを青盲という。青盲になっていて、更に風熱の外邪がこれに加わって、邪気が外に泄せられずに目内に蘊積して蠅の翅のような薄い膜状の翳を生じ、それが瞳孔の上を覆うようになったものを青盲翳(せいもうえい)という

 

<考察>

青盲 + 風熱 = 青盲翳 という感じですね

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#52 目病諸候 その13 目青盲候

こんばんは、鍼灸師の速水です

私は体を動かすことが多いですが、運動するとやっぱり血の巡りもよくなりますし、気力も湧いてくる感じがするので適度な運動はおすすめです

さて、今日は『目青盲候』です

目の青盲とは?です。青盲???何でしょうね???

 

<原文>

青盲者、謂眼本無異、瞳子黑白分明、直不見物耳、但五藏六府之精氣、皆上注於目、若藏虚有風邪痰飲乘之、有熱則赤痛、無熱但内生鄣、是府藏血氣不榮於睛、故外状不異、只不見物而已、是謂之青盲、

養生方云、勿塞故井及水瀆、令人耳聾目盲、

又云、正月八日、沐浴、除目盲

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

青盲の者、眼の本は異なることなし、瞳子、黒白分明(ぶんめい、はっきりとしている)し、なお物をみれず、五臓六腑の精気、皆目に上注する。もし臓虚し、風邪あり痰飲これに乗じ、熱有ればすなわち赤く痛む、熱なければ内に鄣(さえぎり)を生む、これ臓腑の血気、睛をさかえぜれば、ゆえにが異常ことならなずとも、見物することできず、これを青盲という

養生方に云う、故(ふるい)井塞ぐ及び水瀆(けが)すことなかれ、人耳聾(じろう)し、目盲(めしう)ふ

又云う、正月八日、沐浴し、目盲(めしう)ふこと除する

 

<通訳>

青盲の患者は外観的には目に何の異常もなく瞳子の黒白ははっきりしているのに視力を失って物をみることができない。五臓六腑の精気は皆目に上注しているが、もし臓気が虚弱となり、風邪や痰飲がこれに乗じて、もし熱があるようになれば目は発赤して疼痛するが、もし熱がなければ単に目の中に内障(ないしょう、内部の障害)を生じるだけなので外見上の変化は現れない。このように臓腑の血気が目を栄養することが出来るなくなると外見上に異常がなくてただ視力だけが喪失するようになる。これを青盲という。

養生方に云う、古井戸を埋め塞いだり、水を瀆(けが)したりしてはならない。もしそうすればその家人に耳聾目盲の患がでるであろう。

又云う、正月八日に沐浴すれば目盲を除くことができる

 

<考察>

青盲・・・視神経萎縮など目の外観は異常ないのに見えないもの。視野経萎縮は視神系が障害された結果、視神経線維が萎縮して機能しなくなった状態です。萎縮の程度に応じて視力、視野が障害され、もとにもどりません。原因としては、視神経の病気の末期や栄養障害、薬物中毒、緑内障(りょくないしょう)、外傷などがあります。遺伝による先天性のものもあります

違う諸病源候論では、『目青盲候』ではなく、『目清盲候』となっていました。意味合いは一緒だと思います

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

 

#51 目病諸候 その12 目暗不明候

こんにちは、鍼灸師の速水です

最近、風邪が流行しはじめたので皆さま気をつけてくださいませ( ´д`ll)

さて、今日は『目暗不明候』です

目が暗く明るくならずとは?です。今回は養生方も記載されていますヽ(´∀`)ノ

 

 

<原文>

夫目者、五藏六府陰陽精氣、皆上注於目、若爲血氣充實、則視瞻分明、血氣虚竭、則風邪所侵、令目暗不明、

1養生方云、恣樂傷魂魄、通於目、損于肝、則目暗、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

2養生方導引法云、蹲踞、以兩手舉足五指頭自極、則五藏氣遍、主治耳不聞人語聲、目不明、久爲之、則令髮白復黑、

3又云、(仰?)兩足指、五息止、引腰背痺、偏枯、令人耳聞聲、久行、眼耳諸根、無有罣礙、

4又云、伸左脛、屈右膝内壓之、五息止、引肺、去風虚、令人目明、依經爲之、引肺中氣、去風虚病、令人目明、夜中見色、與晝無異、

5又云、雞鳴以兩手相摩熱、以熨目、三行、以指抑目、左右有神光、令目明、不病痛、

6又云、東向坐、不息再通、以兩手中指口唾之二七、相摩拭目、令人目明、以甘泉漱之、洗目、去其翳垢、令目清明、上以内氣洗身中、令内睛潔、此以外洗、去其塵鄣、

7又云、臥、引爲三、以手爪項邊脈五通、令人目明、臥正偃、頭下、却亢引三通、以兩手指爪項邊大脈爲五通、除目暗患、久行、令人眼夜能見色、爲久不已、通見十方、無有劑限

 

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

それ目の者、五臓六腑陰陽の精気みな目に注ぐ、もし血気充実であれば、すなわち視瞻(しせん、みること)分明(ぶんめい、はっきり見極めがつくさま)す、血気虚竭(きょけつ)すれば、すなわち風邪所を侵し(おかし)、目暗く明らかにならず

1養生法に云う、楽恣(ほしいまま)すれば魂魄傷つく、目を通じ、肝を損なえば、すなわち目暗くなる、その湯熨鍼石、べつに正方あり、養宣導を補う、今後につける

2養生方導引法に云う、蹲踞(そんきょ)し、両手でもって足の五指頭を自ら極めんと挙げる、すなわち五臓気が遍す(へんす、くまなくいきわたる)、主に耳人語聞こえずや聾、目明らかならずが治す、ひさしくこれをすれば、すわわち髪の白、黒に復す

3又云う、両足の指反らして、五つ(回)息止め、導引すれば背の痺れ、偏枯(へんこ、片麻痺)(もよくなり)、人耳聞こえる。久しく行えば、目耳諸根、罣礙(けいげ、引っかかること)なし

4又云う、左脚伸ばし、右膝を屈しこれを壓え(おさえ)、五つ(回)息止め、導引すれば肺、風虚去る、人目明らかとなり、経によってこれをなす、肺の中の気を引き、風虚病を去る、人目明らかとなり、夜中色見れる、そして昼異なる無し

5又云う、雞鳴きて、両手で持って相摩り熱くし、もって目を熨える(おさえる)、三度行い、指で以て目を抑え、左右の神光有れば、目明らかとなり、病痛まず

6又云う、東向きて坐り、再び息通ぜず、両手の中指に口つけ唾を14回、相擦り目を拭う、目明らかになり、甘泉これをすすぎ、目を洗い、その翳垢(えいく)をさる、目清く明らかになり、上をもって内気にて身中洗い、内睛潔よくす、これを以て外を洗い、その塵を鄣ぎ(ふさぎ)去る

7又云う、臥(が)して、引くこと三、手の爪でもって項部脈五度もてば、目明らかとなり、臥(が)してまさに偃(ふ)す、頭下げ、却(かえ)って亢げて引くこと三度、両手の爪でもって項部脈五度もてば、目暗く患いを除く、久しく行えば、目夜色見ること能える、更に久しく行えば、十方見ること通じ、劑限なくあり

 

 

<通訳>

五臓六腑の陰陽の精気は皆目に注がれている。もし血気が充実していれば視力も明瞭であるが、血気が虚弱であると風邪に侵されやすくなり、視力は弱ってはっきりとものを視ることができなくなる

1養生方に云う、歓楽を放縦にすれば魂魄を傷める。肝は魂をやどしていて目に竅を通じているので、損傷が肝に及べば目がかすんで見えにくくなる。

2養生方導引法に云う、蹲踞(そんきょ、膝を曲げて座り)、両手で両足の指を握って引っ張り上げるようにし、頭をできるだけ低く下げるようにすれば、五臓の気はよく頭に達するようになる。したがって耳がよく聞こえ、目がよく見えるようになる。これを日常に行えば白髪も黒くなっていく

3又云う、両側の足指を反らして五回息を止めて導引すれば、腰背の痺症や半身不随がよくなり、さらに耳の聴力がよくなる。これを日ごろに行えば目や耳の感覚器が外部からの影響で損傷されるのを防ぐことができる

4訳なし(又云う、左脚を伸ばし、右膝を曲げておさえ、五回息を止め、導引すれば肺の風虚が治る、目が鮮明となり、肺の気を導引すること風虚病を治す、目が鮮明となり、夜中でも昼と変わりなくみれる)

5又云う、早朝、鶏鳴時に起き、両手掌をこすり合わせてあつくし、その熱くした掌で三回目をあたためる。その後で指で目を抑える。もし、両目に神光が感じられたら、目は良く見えるようになり、目の疼痛も起こらなくなる

6又云う、東を向いて坐り、二度息を止め、両手の中指に14回唾をつけ、その両手の中指をこすり合わせ、その中指で目を拭く、この方法によって目がよく見えるようになる。唾液でもって口を漱ぎ、目を洗って目の脂垢を取り除けば目は清明になる。上半身へ気を導引して気でもって身を洗い、気を目の中へ導引して眼睛を清潔にし、さらに唾液でもって外から目を洗ってその塵(ちり)を去るようにするとよい

7又云う、仰臥して三度、気を導引し、頸項部の筋脈を五回、手でつまむ。これによって目がよくみえるようになる。仰臥して体をまっすぐ伸ばしたまま、頭を下げたりあげたりを力を入れて三回行い、頸部の大きな筋脈を手で五回つまむ。これによって目がかすんでよく見えない病を除くことができる。日常これを続ければ夜もものの形や色がよく見えるようになる。さらにいつまでも続けるならば、ずっと遠くまで見え、視力に極限がないようになる。

 

 

<考察>

最近、かすみ目が多いので、導引法やってみようかな(´Д`ι)。導引法の中にはちょっとやるのにかなり抵抗のある内容(唾で目を洗う)があるので出来そうなことをやってみようと思います

養生方に関しては数が多いので、漢文の前に数字をふりました。そして、4番目の養生方は訳が記載されていなかったのでニュアンスを書いてみました

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#49 目病諸候 その11 目息肉淫膚候

こんにちは、鍼灸師の速水です

ついに雪が降り、路面がつるつるです(ll゚Д゚ノ)ノ

さて、今日は『目息肉淫膚候』です

息肉(そくにく)が淫した膚とは?です

 

 

<原文>

息肉淫膚者、此由邪熱在藏、氣衝於目、熱氣切於血脈、蘊積不散、結而生息肉、在於白睛膚瞼之間、即謂之息肉淫膚也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

息肉淫膚なる者、この由(来)は邪熱臓にあり、(邪)気目を衝く、熱気血脈を切して、蘊積(うんせき、たくわえて)散らずと、息肉(そくにく、ポリープ状のはれもの)を生む、白睛(はくせい、眼球結膜)と瞼(まぶた)の間、すなわち息肉淫膚という

 

<通訳>

目の息肉淫膚(そくにくいんぷ)の病候は邪熱が内臓にあって、邪気が目に上衝し、熱気が血脈に流中して、蘊結(うんけつ、つもってとけない)して消散せず、そのために白睛(はくせい、眼球結膜)と眼瞼結膜の間に息肉(そくにく)を生じるもので、これを息肉淫膚(そくにくいんぷ)という

 

<考察>

息肉を調べるとポリープでした

この本の注解には、「息肉」は心肺二経絡(心経と肺経の2つの経絡)の風熱に脾胃の積熱が加わって上に壅滞(ようたい、ふさがり滞る)し、そのため気血が瘀滞(おたい)して起こったものである。また陰虚火旺(いんきょかおう、生活の不摂生や過労で五臓の腎の陰液が消耗し、そのために熱を抑えきれず心火が生じている体質)によって起こることがある。

白睛(はくせい、眼球結膜)と眼瞼結膜の間に息肉(そくにく)と考えたら………結膜炎のもっと悪性な腫物ってことでしょうかね?

むむむ(;゚∀゚)、よくわからない(笑)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#48 目病諸候 その10 目膚翳覆瞳子候

こんにちは、鍼灸師の速水です

札幌もちらほら雪降ったみたいですが、このへんは雪がまだですね

さて、今日は『目膚翳覆瞳子候』です

膚翳(ふえい)が瞳子(どうし、ひとみ)に覆いかぶさるとは?です

 

<原文>

此言肝藏不足、爲風熱之氣干之、故於目睛上生翳、翳久不散、漸漸長侵覆瞳子

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

この事、肝臓不足、風熱の気におけるため、目睛上に翳を生み、翳久しければ散らず、漸漸(ぜんぜん、徐々に)と長く侵すと瞳子(どうし、ひとみ)を覆う

 

<通訳>

目の膚翳(ふえい、目に薄い模様の翳(えい、かげ、さえぎり隠れること)があること)が瞳子覆う病候は肝気が虚弱であるところに風熱の邪気が乗じて目に上衝し、そのために目睛上に翳(えい)を生じ、翳がいつまでも消散せずに次第に生長して拡がり遂に瞳孔を覆うようになったものである。

 

<考察>

「#47 目病諸候 その9 目膚翳候」で記載しましたが、膚翳(ふえい)=目に薄い模様の翳(えい、かげ、さえぎり隠れること)があること。その翳が薄くて皮膚のようであるところから膚翳(ふえい)という。蠅の翅(はね)のごとしと形容しているのも同じ意味だそうです。

それがさらに久しく(ながく)、翳が続いていると拡がり瞳孔を覆うようになります

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#47 目病諸候 その9 目膚翳候

こんにちは、鍼灸師の速水です

まだ、このへんは雪が降らないですね

さて、今日は『目膚翳候』です

膚翳(ふえい)、これが今回のキーワードになりますね

 

<原文>

陰陽之氣、皆上注於目、若風邪痰氣乘於府藏府、藏之氣、虚實不調、故氣衝於目、久不散、變生膚翳、膚翳者、明眼睛上有物如蠅翅者即是

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

陰陽の気、皆目の上に注ぐ、もし風邪、痰氣臓腑に乗ずれば、臓の気、虚実不調、故に気目を衝き、久しく散らざれば、膚翳の者、眼睛の上、蠅の翅(はね)のごとく物がある

 

<通訳>

五臓六腑の陰陽の気は皆目に上注する。もし風邪や痰気が臓腑に乗ずれば臓腑の気は虚実不調となり、邪気が目に上衝して、長く散らないと膚翳(ふえい)を変生するようになる。膚翳(ふえい)とは目の結膜上にまるで蠅の翅(はね)のような薄い膜が覆うものである

 

<考察>

膚翳(ふえい)=目に薄い模様の翳(えい、かげ、さえぎり隠れること)があること。その翳が薄くて皮膚のようであるところから膚翳(ふえい)という。蠅の翅(はね)のごとしと形容しているのも同じ意味だそうです。

西洋の目の病気に例えたら何になるんでしょうね?むむむ((( ゚д゚ ;)))

分かる方お待ちしております

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#46 目病諸候 その8 目涙出不止候

こんにちは、鍼灸師の速水です

今朝の札幌は4°、さむいですね。雪降ってくれた方がなぜか寒く感じないのってありますねヽ(´ー`)ノ

さて、今日は『目涙出不止候』です

涙がでて止まらないとは?です(´゚∀゚`)

 

<原文>

夫五藏六府皆有津液、通於目者、爲涙、若藏氣不足、則不能收制其液、故目自然涙出、亦不因風而出不止、本無赤痛

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

それ、五臓六腑みな津液あり、目を通ずるものは涙、もし蔵気不足すれば、すなわちその液(涙)収ることあたわず、故に目より自然に涙が出て、風(邪)によらず止めることあたわず、目は赤く痛く無し

 

<通訳>

五臓六腑にはすべての津液(すいぶん)がある。肝は目に通じていて、その津液は涙である。もしも臓気が虚弱で肝がその津液を制約することができなくなれば目から自然に涙が流れ出るようになる。これは風邪によるものではなく、その人が虚弱であるために涙が流れ出るものであるので、目は発赤疼痛が起こらない

 

 

<考察>

「#45 目病諸候 その7 目風涙出候」では、風邪で肝をきずつけると涙がでるとなっていますが、

ここでは、臓気不足していると涙が自然とながれ、止まらないとなります。ここでの涙がでる原因は肝腎両虚となっているので、区別がべつになると思います

 

整理すると

臓気 : 元気  風邪 : あり   目 : 不明  痛み : 不明 ⇒ 目風涙出候

 

臓気 : 弱い  風邪 : なし   目 : 普通  痛み : なし ⇒ 目涙出不止候

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#45 目病諸候 その7 目風涙出候

こんにちは、鍼灸師の速水です

午前中は、鍼灸師の先生達と古典の読書会をしてまして、(私はスカイプでの参加ですが)いろいろ意見交換もでき、刺激のある時間でしたヽ(´ー`)ノ

さて、今日は『目風涙出候』です

目が風により涙がでるとは?です(´゚∀゚`)

 

<原文>

目爲肝之外候、若被風邪傷肝、肝氣不足、故令目涙出、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法云、踞伸右脚、兩手抱左膝頭、生腰、以鼻内氣、自極七息、除難屈伸拜起、去脛中痛痺、風目耳聾、

又云、踞、伸左脚、兩手抱右膝、生腰、以鼻内氣、自極七息、展左足著外、除難屈伸拜起、去脛中疼、一本云、除風目暗、耳聾、

又云、以鼻内氣、左手持鼻、除目暗泣出、鼻内氣、口閉、自極七息、除兩脇下積血氣、

又云、端坐、生腰、徐以鼻内氣、以右手持鼻、除目暗涙若出、閉目、吐氣、鼻中息肉、耳聾、亦然、除傷寒頭痛洗洗、皆當以汗出爲度

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目肝の外候の為、もし風邪被れば肝やぶる、肝気不足し、故に目涙出る、その湯熨鍼石、別正方有り、補養宣導し、今後に付す

養生方導引法云う、踞して右脚伸ばし、両手左膝頭を抱え、腰をたて、鼻より気をあつめ、自ら極め七息、屈伸がたき拜起を除く、脛中痛痺去る、風目耳聾

又云う、踞して左脚伸ばし、両手右膝を抱え、腰をたて、鼻より気をあつめ、自ら極め七息、左に足著しく外にひろげ、屈伸がたき拜起を除く、脛中疼を去る。一本云う、風目暗、耳聾を除く

又云う、鼻より気をあつめ、鼻を左手で持ち、目暗く泣き出ずるを除く、鼻より気をあつめ、口を閉ざして、自ら極め七息、両脇下の積血気を除く

又云う、端坐(たんざ、姿勢を正しく座る)し、腰をたて、鼻より気をあつめ、右手で鼻を持ち、目暗く泣き出ずるを除く、目を閉じ、気を吐く、鼻中息肉、耳聾、また、傷寒しかるに頭痛洗洗と除く、皆汗出ずる度にもってす

 

 

<通訳>

目は肝の外候である。もし風邪で肝を傷されると肝気が不足するようになり、そのために目から涙がでやすくなる。漢方、あん摩、鍼の別に養生方を別にのせる

養生方導引法云う、踞座(きょざ、あぐら)して右脚を伸ばし、両手で左の膝頭を抱きかかえ、腰は伸ばして、鼻から息を精一杯吸うこと七回くり返す。この方法によって下肢の屈伸ができにくいもの、足がつまづきやすいもの、足が痛くてしびれるものが治る。風目(なみだ目)、耳聾(じろう、みみがきこえない)も治す。

又云う、踞座(きょざ、あぐら)して左脚を伸ばし、両手で右の膝頭を抱き、腰を伸ばし、鼻から精一杯に息を吸い、これを七回吸ってから左足を伸ばして外へ開く。この方法でもって下肢の屈伸や足がつまづきやすいもの、起立ができず、下腿部がしびれて痛むものを治すことができる。一本云う、目のかすみ、耳聾も治す。

又云う、左手で鼻をつまみながら鼻から息を吸う。この方法によって目がかすんで物が見えにくく、涙が出やすいものを治すことができる。鼻から息を吸い、口を閉じて息をできるだけ止める。これを七回くり返す。この方法によって両側の脇下の積気積血を治すことができる。

又云う、正座して腰を伸ばし、ゆっくりと鼻から息を吸い、右手で鼻をつまみ、目を閉じて息を吐く。この方法によって目がかすんで見えにくく、いつも涙が出やすいものを治すことが出来る。鼻中の息肉や耳聾も治し、また傷寒病で頭痛がしてぞくぞくと悪寒している者も治すことができる。これらは全て導引によって汗が少し出る程度にすればよい。

 

 

<考察>

目風 = なみだ目 みたいですね

涙は悲しい時や目にゴミが入った時にだけ出てくるわけではなく、普段気付かないうちにも分泌されています。涙は上まぶたの外側にある涙腺という所で作られ、目頭の上下にある小さな点(涙点)から細い管(涙小管)を通って涙嚢という袋にたまり、さらに鼻涙管と呼ばれる管を通って鼻の奥に抜けていきます。

涙の通り道が細くなったり詰まってしまったりすると、涙は悲しくなくても作られる為、目からあふれてしまう事になります。逆に、何らかの刺激で涙が過剰に作られても、同じ症状がおこります。これを一般的には「涙目」、医学的には「流涙症」と言っております

養生方も記載されていますし、そんなに難しくないので、やってみてもいいかもしれませんね(σ´∀`)σ

わたしはかすみ目が多いので、鼻つまんでの呼吸法をやってみます!!

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳