#48 目病諸候 その10 目膚翳覆瞳子候

こんにちは、鍼灸師の速水です

札幌もちらほら雪降ったみたいですが、このへんは雪がまだですね

さて、今日は『目膚翳覆瞳子候』です

膚翳(ふえい)が瞳子(どうし、ひとみ)に覆いかぶさるとは?です

 

<原文>

此言肝藏不足、爲風熱之氣干之、故於目睛上生翳、翳久不散、漸漸長侵覆瞳子

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

この事、肝臓不足、風熱の気におけるため、目睛上に翳を生み、翳久しければ散らず、漸漸(ぜんぜん、徐々に)と長く侵すと瞳子(どうし、ひとみ)を覆う

 

<通訳>

目の膚翳(ふえい、目に薄い模様の翳(えい、かげ、さえぎり隠れること)があること)が瞳子覆う病候は肝気が虚弱であるところに風熱の邪気が乗じて目に上衝し、そのために目睛上に翳(えい)を生じ、翳がいつまでも消散せずに次第に生長して拡がり遂に瞳孔を覆うようになったものである。

 

<考察>

「#47 目病諸候 その9 目膚翳候」で記載しましたが、膚翳(ふえい)=目に薄い模様の翳(えい、かげ、さえぎり隠れること)があること。その翳が薄くて皮膚のようであるところから膚翳(ふえい)という。蠅の翅(はね)のごとしと形容しているのも同じ意味だそうです。

それがさらに久しく(ながく)、翳が続いていると拡がり瞳孔を覆うようになります

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#47 目病諸候 その9 目膚翳候

こんにちは、鍼灸師の速水です

まだ、このへんは雪が降らないですね

さて、今日は『目膚翳候』です

膚翳(ふえい)、これが今回のキーワードになりますね

 

<原文>

陰陽之氣、皆上注於目、若風邪痰氣乘於府藏府、藏之氣、虚實不調、故氣衝於目、久不散、變生膚翳、膚翳者、明眼睛上有物如蠅翅者即是

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

陰陽の気、皆目の上に注ぐ、もし風邪、痰氣臓腑に乗ずれば、臓の気、虚実不調、故に気目を衝き、久しく散らざれば、膚翳の者、眼睛の上、蠅の翅(はね)のごとく物がある

 

<通訳>

五臓六腑の陰陽の気は皆目に上注する。もし風邪や痰気が臓腑に乗ずれば臓腑の気は虚実不調となり、邪気が目に上衝して、長く散らないと膚翳(ふえい)を変生するようになる。膚翳(ふえい)とは目の結膜上にまるで蠅の翅(はね)のような薄い膜が覆うものである

 

<考察>

膚翳(ふえい)=目に薄い模様の翳(えい、かげ、さえぎり隠れること)があること。その翳が薄くて皮膚のようであるところから膚翳(ふえい)という。蠅の翅(はね)のごとしと形容しているのも同じ意味だそうです。

西洋の目の病気に例えたら何になるんでしょうね?むむむ((( ゚д゚ ;)))

分かる方お待ちしております

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#46 目病諸候 その8 目涙出不止候

こんにちは、鍼灸師の速水です

今朝の札幌は4°、さむいですね。雪降ってくれた方がなぜか寒く感じないのってありますねヽ(´ー`)ノ

さて、今日は『目涙出不止候』です

涙がでて止まらないとは?です(´゚∀゚`)

 

<原文>

夫五藏六府皆有津液、通於目者、爲涙、若藏氣不足、則不能收制其液、故目自然涙出、亦不因風而出不止、本無赤痛

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

それ、五臓六腑みな津液あり、目を通ずるものは涙、もし蔵気不足すれば、すなわちその液(涙)収ることあたわず、故に目より自然に涙が出て、風(邪)によらず止めることあたわず、目は赤く痛く無し

 

<通訳>

五臓六腑にはすべての津液(すいぶん)がある。肝は目に通じていて、その津液は涙である。もしも臓気が虚弱で肝がその津液を制約することができなくなれば目から自然に涙が流れ出るようになる。これは風邪によるものではなく、その人が虚弱であるために涙が流れ出るものであるので、目は発赤疼痛が起こらない

 

 

<考察>

「#45 目病諸候 その7 目風涙出候」では、風邪で肝をきずつけると涙がでるとなっていますが、

ここでは、臓気不足していると涙が自然とながれ、止まらないとなります。ここでの涙がでる原因は肝腎両虚となっているので、区別がべつになると思います

 

整理すると

臓気 : 元気  風邪 : あり   目 : 不明  痛み : 不明 ⇒ 目風涙出候

 

臓気 : 弱い  風邪 : なし   目 : 普通  痛み : なし ⇒ 目涙出不止候

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#45 目病諸候 その7 目風涙出候

こんにちは、鍼灸師の速水です

午前中は、鍼灸師の先生達と古典の読書会をしてまして、(私はスカイプでの参加ですが)いろいろ意見交換もでき、刺激のある時間でしたヽ(´ー`)ノ

さて、今日は『目風涙出候』です

目が風により涙がでるとは?です(´゚∀゚`)

 

<原文>

目爲肝之外候、若被風邪傷肝、肝氣不足、故令目涙出、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法云、踞伸右脚、兩手抱左膝頭、生腰、以鼻内氣、自極七息、除難屈伸拜起、去脛中痛痺、風目耳聾、

又云、踞、伸左脚、兩手抱右膝、生腰、以鼻内氣、自極七息、展左足著外、除難屈伸拜起、去脛中疼、一本云、除風目暗、耳聾、

又云、以鼻内氣、左手持鼻、除目暗泣出、鼻内氣、口閉、自極七息、除兩脇下積血氣、

又云、端坐、生腰、徐以鼻内氣、以右手持鼻、除目暗涙若出、閉目、吐氣、鼻中息肉、耳聾、亦然、除傷寒頭痛洗洗、皆當以汗出爲度

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目肝の外候の為、もし風邪被れば肝やぶる、肝気不足し、故に目涙出る、その湯熨鍼石、別正方有り、補養宣導し、今後に付す

養生方導引法云う、踞して右脚伸ばし、両手左膝頭を抱え、腰をたて、鼻より気をあつめ、自ら極め七息、屈伸がたき拜起を除く、脛中痛痺去る、風目耳聾

又云う、踞して左脚伸ばし、両手右膝を抱え、腰をたて、鼻より気をあつめ、自ら極め七息、左に足著しく外にひろげ、屈伸がたき拜起を除く、脛中疼を去る。一本云う、風目暗、耳聾を除く

又云う、鼻より気をあつめ、鼻を左手で持ち、目暗く泣き出ずるを除く、鼻より気をあつめ、口を閉ざして、自ら極め七息、両脇下の積血気を除く

又云う、端坐(たんざ、姿勢を正しく座る)し、腰をたて、鼻より気をあつめ、右手で鼻を持ち、目暗く泣き出ずるを除く、目を閉じ、気を吐く、鼻中息肉、耳聾、また、傷寒しかるに頭痛洗洗と除く、皆汗出ずる度にもってす

 

 

<通訳>

目は肝の外候である。もし風邪で肝を傷されると肝気が不足するようになり、そのために目から涙がでやすくなる。漢方、あん摩、鍼の別に養生方を別にのせる

養生方導引法云う、踞座(きょざ、あぐら)して右脚を伸ばし、両手で左の膝頭を抱きかかえ、腰は伸ばして、鼻から息を精一杯吸うこと七回くり返す。この方法によって下肢の屈伸ができにくいもの、足がつまづきやすいもの、足が痛くてしびれるものが治る。風目(なみだ目)、耳聾(じろう、みみがきこえない)も治す。

又云う、踞座(きょざ、あぐら)して左脚を伸ばし、両手で右の膝頭を抱き、腰を伸ばし、鼻から精一杯に息を吸い、これを七回吸ってから左足を伸ばして外へ開く。この方法でもって下肢の屈伸や足がつまづきやすいもの、起立ができず、下腿部がしびれて痛むものを治すことができる。一本云う、目のかすみ、耳聾も治す。

又云う、左手で鼻をつまみながら鼻から息を吸う。この方法によって目がかすんで物が見えにくく、涙が出やすいものを治すことができる。鼻から息を吸い、口を閉じて息をできるだけ止める。これを七回くり返す。この方法によって両側の脇下の積気積血を治すことができる。

又云う、正座して腰を伸ばし、ゆっくりと鼻から息を吸い、右手で鼻をつまみ、目を閉じて息を吐く。この方法によって目がかすんで見えにくく、いつも涙が出やすいものを治すことが出来る。鼻中の息肉や耳聾も治し、また傷寒病で頭痛がしてぞくぞくと悪寒している者も治すことができる。これらは全て導引によって汗が少し出る程度にすればよい。

 

 

<考察>

目風 = なみだ目 みたいですね

涙は悲しい時や目にゴミが入った時にだけ出てくるわけではなく、普段気付かないうちにも分泌されています。涙は上まぶたの外側にある涙腺という所で作られ、目頭の上下にある小さな点(涙点)から細い管(涙小管)を通って涙嚢という袋にたまり、さらに鼻涙管と呼ばれる管を通って鼻の奥に抜けていきます。

涙の通り道が細くなったり詰まってしまったりすると、涙は悲しくなくても作られる為、目からあふれてしまう事になります。逆に、何らかの刺激で涙が過剰に作られても、同じ症状がおこります。これを一般的には「涙目」、医学的には「流涙症」と言っております

養生方も記載されていますし、そんなに難しくないので、やってみてもいいかもしれませんね(σ´∀`)σ

わたしはかすみ目が多いので、鼻つまんでの呼吸法をやってみます!!

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#44 目病諸候 その6 目風腫候

おはようございます、鍼灸師の速水です

ぶるっと冷えますね~

さて、今日は『目風腫候』です

目が風により腫れるですかね?現代の病名だと何になるんでしょうね?とりあえず原文読んでみましょう(´゚∀゚`)

 

<原文>

目爲肝之外候、肝虚不足、爲冷熱之氣所干、故氣上衝於目、外復遇風冷所擊、冷熱相搏、而令瞼内結腫、或如杏核大、或如酸棗之状、腫而因風所發、故謂之風腫

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目、肝の外候を為す、肝不足し虚せば、冷熱の気のところから為す、故に気は目の上を衝く、また外の風冷の所遇うと、冷熱さらにうつ、瞼内(けんない)に結腫、或いは杏(あんず)の核の大きさのごとく、或いは酸棗(さんそう、さねぶとなつめ)の状態のごとく、腫は風の所によって発し、ゆえに風腫という

 

<通訳>

目は肝の外候である。肝が虚して肝気が不足していると冷熱の邪気の侵犯を受け易くなり、肝気に熱があるようになると目に上衝する。さらにまた風冷の邪気の侵襲を受けると冷熱が相搏って眼瞼内に腫塊を形成するようになる。その腫塊の大きさはあるいは杏の種の大きさであり、あるいは酸棗(さんそう、さねぶとなつめ)の種の大きさである。このような腫塊は風邪を受けて生じたものであるので風腫と称されている。

 

<考察>

まぶたが腫れる病気の代表としては

・ 霰粒腫(さんりゅうしゅ)

まぶたの裏側のマイボーム腺という場所に肉芽腫(にくげしゅ)という塊が発生する病気です。初期症状としてはまぶたにしこりが生じ、しばしば腫れることがあります。炎症が強くなると赤みが生じ、時には皮膚から肉芽腫が出てきたり、まぶたにひきつれが生じることもあります。数週間から数か月で自然に小さくなることもありますが、大きくなってしまった場合にはステロイド注射や手術で摘出などの治療が必要になることもあります

 

・麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

一般的に「ものもらい」と呼ばれる病気です。まぶた周辺のまつげの毛根や汗腺や脂腺などに細菌が感染することで発症します。初期症状としてはまぶたの腫れ、赤み、異物感などが多くみられます。なお、まぶたの腫れが引いたときにしこりが残った場合は、霰粒腫が考えられます。

腫塊(しゅかい、腫れものの塊)の大きさが、杏の種や酸棗(さんそう、さねぶとなつめ)の種と記載されているので霰粒腫(さんりゅうしゅ)なのかなぁ( ゚д゚ ;)

 

さすがに写真はまあまあグロいので興味ある方だけ調べてみてください

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#43 目病諸候 その5 目数十年赤候

こんにちは、鍼灸師の速水です

今日の午前中は次回のセルフお灸の会の資料づくりをしてました(σ゚∀゚)σ

 

さて、今日は『目数十年赤候』です

はて、これだけだと、眼が数十年赤くなる?みたいな感じですかね。実際に読んでみましょう

 

<原文>

風熱傷於目眥、則眥赤爛、其風熱不去、故眥常赤爛、積年不差

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

風熱、目眥(もくし、めじり)傷付くと、すなわち眥(まなじり、目じり)赤く爛(ただ)れる、その風熱去らざれば、眥(まなじり)常に赤く爛れ、積年(せきねん、長い年月)差せず

 

<通訳>

風熱が目眦(めじり)を傷すると目眦は発赤して糜爛(びらん、ただれること)する。その風熱の邪気が停留して去らないと目眦はいつも赤く爛れてしまい長年にわたって治らなくなる。

 

<考察>

数十年 = 長年 ということですね。糜爛(びらん)や爛(ただ)れってありますが、具体的に言うと浅い水疱(すいほう)の疱膜が破れて生じたもので、新鮮紅色を呈し、表面は漿液(しょうえき)で潤っていることです

当時(2300年前)からの医療だと、一度爛れた場合、自然治癒か膿がひどいときは切り取るぐらいしかないので長い間爛れてしまうと推測されます(現在みたいに抗生物質などないですからね)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#42 目病諸候 その4 目赤爛眥候

こんにちは、鍼灸師の速水です

はやめに冬タイヤに交換してきました(σ゚∀゚)σ

 

さて、今日は『目赤爛眥候』です

風眼(膿漏眼の俗称)について説明しているみたいですね。詳しくは考察に記載します

 

<原文>

此由冒觸風日、風熱之氣傷於目、而眥瞼皆赤爛、見風彌甚、世亦云風眼

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

この由、風日冒觸し、風熱の気目を傷つける、眥瞼みな赤く爛れ、風見るといよいよ甚だしくなり、世にまた風眼という

 

<通訳>

目赤爛眥は風と日光を触冒して、風熱の気が目を傷して、眼瞼が発赤して糜爛(びらん、ただれること)するものである。このような症候はしばしば風に遇うと激しくなるものであるところから「風眼」とも称される

 

<考察>

先述しましたが、「風眼」を調べると「膿漏眼」を風眼と呼んでいたそうです。多量の膿性の目やにが出る結膜炎の総称で、淋(りん)菌による結膜炎がその代表的なものである。眼瞼(がんけん)と結膜は赤くはれて、膿(のう)がぬぐったあとからすぐに湧(わ)くように出てくるそうです。

成人だと、淋菌性結膜炎

新生児だと、新生児膿漏眼

風や空気が原因でこの病気が起こるとされたことから,古くからこの名で呼ばれた。現在は淋菌によって起こる結膜炎として整理されています∑(´Д` )

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#41 目病諸候 その3 目風赤候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

昨日は夕方まで温かかったのに、夜は一段と冷え込みましたね(((;゚д゚;)))

 

さて、今日は『目風赤候』です

風熱の邪が内部に入ることで目が赤くなるについて説明しているみたいですね

 

<原文>

目者肝之竅、風熱在内乘肝、其氣外衝於目、故見風涙出、目瞼皆赤

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目の者肝のあな、風熱あり肝の内に乗ず、その気目の外を衝く、故に風見れば涙出し、眼瞼赤くなる

 

<通訳>

目は肝の外竅(がいきょう)であり、風熱の邪が内部に入って肝気に乗じ、その熱気が外候である目に上衝したものを風赤(ふうせき)と称する。これは風に遇うと涙が流れ出て、眼瞼は発赤する

 

<考察>

読んでいて思ったのが、風赤は「ドライアイ」のことを指しているのかなと(σ゚∀゚)σ

ドライアイとは、涙の量が少なくなったり、涙の質が悪くなることにより、眼球の表面に障害が生じる状態をいいます。
その症状はさまざまで「目が痛い」「ゴロゴロする」「光がまぶしい」「目の不快感」「疲れやすい」「風にあたると涙が出る」「目のかすみ」「充血しやすい」「目やにがでる」「目のかゆみ」などがあります。
また、ドライアイを放っておくと集中力が低下したり、目に細菌がついて感染症を引き起こしたり、花粉症などのアレルギー性結膜炎を悪化させたりすることもあります

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#40 目病諸候 その2 目胎赤候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

私的なことなんですが、昨日無事に飼っている犬が退院できましてかなりホッとしておりますヽ(´ー`)ノ。

 

さて、今日は『目胎赤候』です

胎は赤ちゃんのことを指しますので、赤ちゃんの目が赤くなるにはについて説明しているみたいですね

 

<原文>

胎赤者、是人初生、洗目不淨、令穢汁浸漬於眥、使瞼赤爛、至大不差、故云胎赤

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

胎赤という者、是(これ)人生初、目洗浄せず、眦(まなじり)汁に浸漬し穢れ、瞼(まぶた)赤く爛(ただ)れる、大きく至り差しず、故に胎赤という

 

<通訳>

胎赤とは新生児期に洗目が清潔でなく、穢濁なものが眼眦に感染したために、眼瞼の赤く爛れ(ただれ)が生じたものである。これが生長してからも治らないものを、出産時に得たものであるところから胎赤と称するのである。

 

<考察>

新生児の目の病気としては、昔は淋菌性結膜炎が恐れられていました。
これは、生まれる子が産道を通る時に淋菌に感染して起こるもので、生後2、3日で発病します。膿のようなめやにが出て、ほうっておくと失明することがあります。

他になりそうなものとしては、未熟児網膜症、先天白内障、先天緑内障、網膜芽細胞腫、先天鼻涙管通過不全などがあります。

ここの漢文で、「是人初生、洗目不淨、令穢汁浸漬於眥」と記載されており、これは生まれた後に起きたことなので後天性の感染になります。なので、上の未熟児網膜症、先天白内障、先天緑内障、網膜芽細胞腫、先天鼻涙管通過不全は該当しなくて、淋菌性結膜炎が、もしかすると胎赤と言ったのかもしれませんね(σ゚∀゚)σ

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#39 目病諸候 その1 目赤痛候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

11月突入ですね。諸病源候論は、目病諸候に突入しますヽ(*゚∀゚*)ノ

目の病については、38個も項目ありますね(;゚∀゚)

 

『目赤痛候』です

 

<原文>

凡人肝氣通於目、言肝氣有熱、熱衝於目、故令赤痛

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

およそ人の肝気は目に通ず、肝気熱有りと言えば、熱目を衝(つ)く、故に赤く痛くなる

 

<通訳>

人体の肝経の気は目に通ずる、もし、肝気が有余で熱を生ずれば、その熱気は目に上衝して、目が赤くなり疼痛を生ぜしめる。

 

<考察>

言=『外台秘要 21巻 目赤痛方』では、「若」→もし

目が充血して疼痛するのは多くの眼病に共通して見られる症状であり、その原因はひとつだけでなく、外感の風熱によって起こるものがあるし、臓腑の気熱が上衝して起こるものもあるので、臨床に於いては具体的に病状と結合させて分析したほうが良いとこの翻訳の注釈に記載されています

たしかに、足の厥陰肝経の経絡図を見ると目を通っていますね。東洋医学では、肝気が余ると上衝して目にきます

西洋医学では、結膜炎が代表的ですかね。白目(しろめ)とまぶたの裏側を覆っている半透明な膜(結膜)が、赤く充血して炎症を起す病気です。感染で起こる細菌性結膜炎、ウィルス性結膜炎、アレルギーで起こるアレルギー性結膜炎などさまざまな種類があります。現代だと、コンタクトレンズによる傷が充血させてしまう外傷的なものもありますね

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳