#88 目病諸候 その34 目封塞候

こんにちは、はりきゅう速水です。

本日も諸病源候論の目病諸候をのせます。目の症状としてはあと四つです。

目封塞候 です。文字だけだと何かの原因で目が塞がる状態になるみたいですね。

<原文>

目肝之外候也、肝氣通於目、風邪毒氣客於瞼膚之間、結聚成腫、腫而瞼合不開、故謂之封塞、然外爲風毒結腫、内則蘊積生熱、若腫不即消、熱勢留滯、則變生膚、翳息肉白鄣也

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

目は肝の外候なり、肝気は目に通ず。風邪の毒気、瞼膚の間に客して、結聚して腫を成す。腫して瞼合開かざる。故にこれを封塞(ふうさい)という。しかるに、外風毒のために結腫し、内は則ち蘊積(うんせき)して熱を生じ、腫れのごとき、即ち消ぜず。熱留滞して、則ち変して膚翳(ふえい)息肉(にくそく)白鄣(はくしょう)を生ずなり。

<訳>

目は肝の外候であり、肝気は目に通じている。もしも風邪や毒気が眼瞼部に侵襲して邪気が結集すると眼瞼がくっついて閉じてしまって開かなくなるが、これを目封塞と称する。この場合、目の外は風毒に侵されて腫れていて、内は蘊積して熱を生じているものであるが、もし腫れがいつまでも消えず、熱勢が留滞するようになると目睛上に膚翳、息肉、白障などの病変が生じるようになる。

<備考・考察>

膚翳(ふえい)=目に薄い模様の翳(えい、かげ、さえぎり隠れること)があること。

息肉(そくにく)=腫物?

白鄣(はくしょう)=白内障?

目が開かない病気としては、

  •  眼瞼下垂
  •  眼瞼痙攣
  •  角膜びらん、再発性角膜びらん
  •  角膜潰瘍
  •  点状表層角膜症

などがありますね。上記の病気であれば、まずは眼科へ、

  • 眼精疲労
  • ストレス
  • 自律神経失調症
  • 眼瞼下垂、眼瞼痙攣

であれば鍼灸でも対応できます。陽きょう脈、陰きょう脈や対応経絡に鍼したりするとパチッと目が開くことが多々あります

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#87 目病諸候 その33 目皰瘡候&目膿漏候

おはようございます。はりきゅう速水です。諸病源候論の目病諸候も再開したいと思います。

目皰瘡候 から 書き下ししていきます。ただ、この項目は意味が省略されていますので、書き下しのみ記載します。

目皰瘡 → 目疱瘡(めほうそう) のことです

<原文>

目肝之候也、五藏六府之精華、上榮於目、府藏有熱、氣乘於肝、衝發於目、熱氣結聚、故睛上生皰瘡也

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

目は肝の候なり、五臓六腑の精華の上、目を栄す、腑臓熱気有りて、肝を乗じ、目に衝発す、熱気の結聚なる、故に睛上に疱瘡を生ずなり

 

—— ここまで ——

  

 

目膿漏候

<原文>

目是肝之外候、上液之道、風熱客於瞼眥之間、熱搏於血液、令眥内結聚、津液乘之不止、故成膿汁不盡、謂之膿漏

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

目はこれ肝の外候、上液の道なり、風熱、瞼眥の間に客して、熱血液ひろがりて、眥内結聚して、津液これに乗じて止らざらしむ、故に膿汁成る、尽くさざる、これを膿漏という

<通訳>

目は肝の外候でありし、涙液の通り道である。もしも風熱の邪が瞼眦の間に客れば、熱邪と血液があいうち、気血が瘀滞して眦内に結聚し、津液がこれに乗じて流れやまなくなり、変じて膿汁となり、いつまでも尽きないものを膿漏と呼ぶ。

<考察>

この候は、涙腺炎(涙嚢炎)に相当し、急性は治りやすく、慢性のものは治りにくいらしいですね

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#86 近況報告と変化

みなさん、こんばんは

はりきゅう速水です。安定のブログさぼりです(笑)

訪問鍼灸が忙しくて・・・と言いたいのですが、父親の容態が悪く、車椅子からトイレするにも自立ができなくなったり、箸がもてず食べ物介助も必要になってきたのでそちらに時間を割いておりました

それに伴い、私の体調も悪くなったりしたので、最近は自分への鍼灸もしますが、追加で実践している養生方を少し紹介します(とても簡単です)

これは、「船瀬俊介」さんの本をもとに実施しています(紹介してくださったNさんには大変感謝しております)

以前、養生方でやっていたのは、「筋トレ」

そして、今回からやっているのが「少食」、または「断食」です

え?、それだけ?

はい、それだけです。いきなり断食はきついので、一日一食から始めています。

しかも、ごはんを食べるタイミングは、「腹が減ってがまんできなくなったら食べる」という感じです(笑)

ヨガの教えには「断食は、万病を治す妙法である」というのがあります。腹いっぱいな野生動物ていませんよね?、空腹感という危機感が体の生命維持システムが働くスイッチになるそうです。

現代の栄養学からみたら逆なことをしてますが、ドイツのフォイト栄養学が発端らしいですが、そこからタンパク質とりなさいとはじまったらしいですね(その時代から食肉産業と軍隊との癒着がはじまったみたいです)

船瀬さんの本は、いろいろ読みまして、今までの考えが甘かったなと驚愕することばかり、私は知識だけ得ても納得いかないことは試して判断しているので、少食と断食をやっているのですが、最初はすぐお腹が鳴りますが、だんだんとなれて、空腹感を3~4時間堪能するとかなり調子がいいです。とくに「集中力」「持続力」ですね

「少食」、「断食」の効能としては

風邪、腹痛、下痢、頭痛から、便秘、アトピー、水虫、腰痛、うつ、糖尿病、心臓病、肝臓病、透析患者まで治ります)。さらに現在、ファスティングはガンまで劇的に治します。不妊症やEDまでも見事に改善するのです。

他にも、「笑う」、「感謝」、「長息」、そして「筋トレ」もやるとさらに体の変化が起こるそうです



「参考文献」

3日食べなきゃ、7割治る!    船瀬俊介
新装版 3日食べなきゃ、7割治る! 船瀬俊介
やって良かった! 1日1食      船瀬俊介



#85 目病諸候 その32 目肥候

こんばんは、はりきゅう速水です。今日は夜の仕事がないので気力が続く限り、目病諸候を進めようと思います。

さて、今回は「目肥候」です。目肥の読み方が載ってなかったので、一つずつ音読みでしました。今回は 目肥 (もくひ)と読みます。もし、読み方がわかる方がいらっしゃいましたらご教授願います

<原文>

肥目者、白睛上生點柱、或如浮萍、或如榆莢、有如胡粉色者、有作青黑色者、似羹上脂、致令目暗、世呼爲肥目、五藏六府之精華、皆上注於目、爲肝之外候、宗脈所聚、上液之道、此由府藏氣虚、津液病邪所搏、變化而生也

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

肥目(ひもく)は、 白睛(しろめ)の上に 點柱(てんちゅう)を生じ、あるいは 浮萍(ふへい)のごとく、あるいは 榆莢 (ゆきょう) のごとし、 胡粉(こふん)の色の如くなる者の有り、青黒色をなす者の有り、羹上(かんじょう)の脂に似て、目をして暗み(くらやみ)にいたせしむ、世呼びて 「 肥目(ひもく)」と為す、五臓六腑の精華は、皆上りて目に注ぐ、肝の外候なり、宗脈の集まるところ、上液の満なり、これ腑臓の気虚によりて、津液邪の為す搏つ所、変化して生なり

<通訳>

肥目(ひもく) とは、 白睛(しろめ)の上 に点状の色素斑が生じたもので、それは 浮萍(ふへい、うきくさ) のようなものであったり、 榆莢 (ゆきょう、にれのさや?、 榆莢のワードで調べると漢王朝のお金とでてきます)のようであったりで、その色は 胡粉色(白い色の顔料)や青黒色であり、あたかも 羹(あつもの、熱いもの)の上の脂油みたいな感じのものである。このために目は物をみることができなくなるものを俗に「 肥目 」と称されている。このような眼疾は臓腑の気虚で、津液が邪気のうつところとなって起こったものである。

<考察>

この証候は結膜疱疹や色素斑、或いは結膜乾燥症に出現する結膜乾燥斑などに相当するものである。

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#84 目病諸候 その31 目蜡候

こんばんは、はりきゅう速水です。やっとこさ、北海道もプラス気温になってきましたね( ノ゚∀゚)ノ、雪も解けだしてきて路面も見えてきました。春もまもなくです。

さて、今回は「目蜡候」です。これも読めないですね(笑)よく、漢字変換ででてくるなとびっくりしております

<原文>

蜡目者、是蠅蛆目眥成瘡、故謂之蜡目

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

蜡目(しょもく)とは、これ 蠅蛆(ようそしょう)なり、目眥(もくし)に 瘡(そう)をなす、故にこれを 「 蜡目(しょもく) 」という

<通訳>

省略(なので、書き下しを読んだ通りです)

<考察>

現代でも、蠅蛆(ようそしょう)症というのがありまして、 ハエの幼虫(蛆)が生きた哺乳類の体内に侵入したことによって発生する感染症(寄生虫性疾患)、今回の 蜡目(しょもく)の 「蜡」は「蛆」と同じことを指すので、ハエが眼に接触して眼の組織内に繁殖して炎症反応を引き起こすということになります。

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#83 目病諸候 その30 目眇候

こんばんは、はりきゅう速水です。いまのところ継続してブログ更新してます(笑)

さて、今回は「目眇候」です。読めないです(笑)

<原文>

目者、府藏之精華、宗脈之所聚、肝之外候也、風邪停飲在於藏府、侵於肝氣、上衝於眼、則生鄣翳、珠管、息肉、其經絡有偏虚者、翳鄣則偏覆一瞳子、故偏不見物、謂之眇目

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

目は、腑臓 の精華、宗脈の集まる所、肝の外候なり、風邪停飲の臓腑にありて、肝気を侵され、上(かみ)眼に衝くときは、すなわち 鄣翳(翳鄣 えいしょう) 珠管(じゅかん)息肉(そくにく)を生ず、その経絡偏虚ある者は、 翳鄣すなわち偏に一の瞳子を覆う、故に偏物を見えず、これを「眇目(しゃもく)」という

<通訳>

目は臓腑の精華であり、諸脈の集まるところであり、また肝の外候である。風邪停飲が臓腑にあって肝気が犯されて眼に上衝すると 翳鄣(えいしょう)や珠管(じゅかん)、息肉(そくにく)などが出現する。もしその経絡の一側が虚弱であると 翳鄣 が一側の瞳孔を覆うようになって、そのために一側の盲目が起こる。このような証候を 眇目(しゃもく、すが目)と称する。

<考察>

翳鄣(えいしょう)  …  翳(えい、まくがかかったうような感じ) 鄣 (しょう、さえぎる)

珠管(じゅかん)   …  くびかざりのような感じものが見える

息肉(そくにく)  …  息肉(そくにく、ポリープ状のはれもの)

眇目(しゃもく、すが目)  … 片目や斜視などの目

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#82 目病諸候 その29 睢目候

こんにちは、はりきゅう速水です。

しばらくブログ更新してなかったので隙間でかいてみようと思います。(いつまで続くはなんともいえませんが(笑))

今回は目病諸候の続き、 『睢目候(きもくのこう)』です。

<原文>

目是府藏血氣之精華、肝之外候、然則五藏六府之血氣、皆上榮目也、若血氣虚、則膚腠開而受風、風客於瞼膚之間、所以其皮緩縱、垂覆於目、則不能開、世呼爲睢目、亦名侵風、

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

目はこれ腑臓血気の精華、肝の外候なり、然るときはすなわち五臓六腑の血気、皆上に目を栄すなり、もし血気虚するときは、すなわち膚腠開けて風を受く、風瞼膚の間に客する、所以(ゆえん)にその皮緩縦(ぶらぶら)し、垂れて目に覆うときは、すなわち開けることあたわず、世呼びて 「睢目 (きもく)」と為し、また「侵風」となづく

<通訳>

目は臓腑の気血の精華であり、肝の外候であり、五臓六腑の血気はすべて上行して目を栄養する。もし、その血気が虚すれば膚腠は開いて風邪を受けやすくなり、風邪が眼瞼の皮膚の間に逗留すれば、眼瞼の皮膚は弛緩して下垂して目を覆うようになり、眼を開けることができなくなる。これを世間では「睢目 (きもく)」と称し、「侵風」とも呼んでいる。

<考察>

睢目 (きもく)というのは、眼瞼下垂でして、 「睢」とは仰視するさま。

この病気には、先天性と後天性のがありまして、

先天性のものは上眼瞼を引き上げる筋肉の発育不全によるものが多く、両眼に発生する。

後天性のものは多くは脾気が虚弱で血脈の不和(末梢循環不全)があり、或いは風邪が眼瞼に客って筋肉が弛緩するもので、単側に起こることが多い。

「重症筋無力症」に伴う眼瞼下垂はしばしばみられるものであるとこの本には記載されております。



「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳



#81 7月になりましたね。これからの養生はこちら

鍼灸師の速水です。

最近、仕事が終わってからのお家ルーティンができまして、筋トレ→ヨガ→はりきゅう。緊張と緩和、そして、はりきゅうでリラックス。客観的にみると贅沢ですね(笑)ヨガのポーズがなにかと経絡体操に似ているので親近感が湧きます( ノ゚∀゚)ノ

話は変わりますが、北海道の新型コロナの患者さんの数(感染者とは意味が違います)は、6/30時点で103人です。陰性の人が日に日に増えてよかったです。

北海道道庁HP(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/jsk/opendata/covid19.htm

さて、あっという間に7月になり、これから暑くなりますね。これから気を付けてほしいことを記載しておきます。

・からだがだるい

・疲れがとれない

・浮腫

まず、よく症状ででやすいのが上記のものです。これは湿度が高くなることにより、体内の湿も高まり、消化する力が低下して十分なエネルギーが補給されず上記の症状がおこりやすくなります。その予防としては、「おなかをあっためる」、「豊隆(ほうりゅう)などのつぼを刺激する」です。

・夏風邪(エントロウィルス(喉)、アデノウィルス(腸))

上記のウィルスは高温、多湿でよく増殖します。よく夏風邪といと発熱、下痢、腹痛、のどのいたみが多いのは上記のウィルスの特徴です。

そして、エントロ、アデノウィルスで代表的なのはこちら

① 手足口病

② プール熱(咽頭結膜熱)

③ ヘルパンギーナ

詳細は参考のURLを貼ります。このウィルスで感染経路はおもに「経口感染」です。

ウィルスの種類によって、もちろん、感染経路に違いがありますが、最近、新型コロナが流行してことにより、間違った知識が伝搬してしまったのが残念です。

コロナ → 接触感染が主

インフル → 飛沫感染が主

エントロ → 経口感染が主

アデノ  → 経口感染が主

脱線しましたが、夏風邪の予防は「手洗いの徹底」、「タオルの使いまわしをしない」「おなかをあっためる」「とてもつめたいものをあまりとらない」、「疲れたら休息」、「良い睡眠の確保」

参考資料

#80 はりきゅう速水の新型コロナ対策と疫癘病諸候の整理

鍼灸師の速水です。

新型コロナにより、全世界が停滞してしまいましたね。 新型コロナにより亡くなられた方と周辺の方々、今まさに闘病中の方には、心よりお見舞い申し上げます。

そして、感染された方などに対する不当な扱いや嫌がらせ、差別、偏見につながることがないよう皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

報道の自由があるにせよ、不安をあおるようなことはしてほしくないですし、過度な心配をしているとほかの病気にかかることもありますので、『心身』をいかにフラットにできるかが大事なことです。そうだけでなく身体もです!!

いくら北海道で非常事態宣言が発令され自宅にいて、運動不足やテレビやゲームのし過ぎで寝不足だと身体も不調になります(・ω・`)

もちろん、それは私も気をつけないといけません。施術をお休みなる方もいる一方、自宅にいることで体の不調で問い合わせは増えております。そして、「感染対策はどういう風に対応してるの?」とも聞かれますのでこちらでも記載します。(いつも実施していることですが、念入りに行ってます)

① 毎日検温  (体温は37.5以上あるかどうか)

② マスク着用

③ 患者さんの体調(風邪症状があるか?、体温が37.5以上か?)を聞きます

④ 患者さん宅に到着後、③で施術可能であれば手洗い、うがい、手指消毒を行います

⑤ 施術後も手洗い

これからも状況にあわせて臨機応変にしていきますので、よろしくお願いいたします

さて、 伝染性・流行性を持つ外邪 のことを『疫癘(えきれい)』と言いまして、新型コロナも該当するかはまだわかりませんが、今まで有志の際に『疫癘』がいろいろな医学書に記載されてきました。今回は諸病源候論に記載されている疫癘について整理します。

諸病源候論 の巻10-疫癘病候

疫癘病候(抜粋)

<原文>

其病與時氣、温熱等病相類、皆由一歳之内、節氣不和、寒暑乖候、或有暴風疾雨、霧露不散、則民多疾疫、病無長少、率皆相似、如有鬼厲之氣、故云疫癘病

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

その病、時氣、温熱等の病と相類す、皆一歳の内、節氣和せず、寒暑候に乖(そむ)くにいいて、あるいは暴風疾雨、霧露ありて散ずるは、すなわち民に疾疫病多く、長少して無く、率いて皆相似、鬼厲(きれい、原因不明の悪しき鬼による疫病)の氣あるかごとし、ゆえに疫癘(えきれい)病という

<通訳>

疫癘病は時気、温病、熱病などと類似していて、すべて一年の内で季節の気候が異常となり、寒熱がその季節に反し、あるいは暴風疾雨が起こり、あるいは霧露が多くて曇天が去らないで、そのようなことから人々の間に疫癘が流行するようになる。疫癘は老人・小児を問わずに感染して発病し、その病状はほとんど皆同様であり、あたかも 鬼厲(きれい、原因不明の悪しき鬼による疫病)の 気のごときものであるので疫癘病と称する

<補足>

疫癘を分解して調べてみました

疫 … 急性伝染性疾患の総称

癘 … 病邪が強烈で病勢がきびしいもの、たとえば温病のようなもの

ちなみに、諸病源候論では、疫癘は狭義の解説は上記の通りですが、疫癘と一口いっても広義の疫癘もあります。

広義の疫癘 = 瘴気(山あいの湿熱がこもっていて、かもし出す一種の疫癘の気で、人がこれを感受すると病を発する。) or 疫癘疱瘡候(疫癘による天然痘みたいなもの)

新型コロナが上記の<通訳>かどうかは定かではありませんが、東洋医学ではどの病でも自分の「免疫力」を高めて治癒できるかです

鍼灸も免疫力をあげるひとつの手段、そして、普段の生活でももちろんあげることはできます。 適切な飲食、十分な睡眠、精神的ストレスを遠ざけること、適度な運動

・適切な飲食

・ 睡眠(長時間寝ても寝足りないと感じるのはいい睡眠とはいえません)

・ 精神的ストレスを発散や深く考えない練習

・ 情報に振り回されず冷静に

・ 適度な運動 (おすすめはプランク)

これは養生法です。普段の生活でできることなんですが意外と雑に扱われていることが多いんです(- _ – ;)こういう状況だからこそ、基礎の見直し、自分の体調って?とか考える、知るのもいいと思います




#79 目病諸候 その28 目眵䁾候

こんにちは、そして、お久しぶりです。鍼灸師の速水です。

新型コロナの影響でなかなか大変ですね(;゚д゚) しかし、めげても仕方ないし、体調について自分と向き合う機会と思って過ごしてみてはいかがでしょうか

さて、久しぶりに以前の続きで諸病源候論の目について勉強してみようと思います。そして、別のブログで新型コロナについて諸病源候論で整理できないか試みてみます

まずは、『目眵䁾候(め、しべつのこう)』です。 眵䁾 (しべつ)これだけだと何のことやら(苦笑)

<原文>

目是藏府之精華肝之外候、夫目上液之道、府藏有熱、氣熏於肝、衝發於目眥瞼、使液道熱澀、滯結成眵䁾也

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

目は是れ藏府の精華肝の外候なり、それ目は上液の道、府藏に熱あれば、氣肝に熏し(いぶし)、發して目眥瞼に衝く、液道を熱して澀せし、滯して眵䁾(いじゅう)と結成するなり

<通訳>

五臓六腑の精華は皆目に注ぎ、目は肝の外候である。目は涙液の通路であり、臓腑に熱があると熱気が肝気を燻し、その熱気が目に上衝し、目の涙道が熱によって乾渋し、眼瞼の部に結滞して 眵䁾(いじゅう) を形成する

<考察>

<通訳>から 眵䁾(いじゅう) を考えると、 眵䁾(いじゅう) = ”目ヤニ”になります。 「眵」は目から分泌される黄色の粘液、 「䁾」は眼脂がたまって固まったものを指します。

目やにというのは、目の表面に病原菌や異物が付着すると、それらを排除しようとする免疫機能の働きによって、涙や目やにの量が増えることがあります。 目やにが出る病気としては、アレルギー性結膜炎、細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎などあります 。

細菌による感染が原因の場合・・・・・・・黄緑色でドロっとした膿状の目やにが出ます

花粉症などのアレルギーが原因の場合・・・涙のようにサラサラした水状の目やにが出ます

ウイルスによる感染が原因の場合・・・・・白くネバネバと糸を引いたような目やにが出ます


「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/selfcheck/eye_mucus/