#54 目病諸候 その15 目茫茫候

こんにちは、鍼灸師の速水です

さて、今日は『目茫茫候』です

目の茫茫とは?です。茫茫はなんでしょうね~

 

<原文>

夫目是五藏六府之精華、宗脈之所聚、肝之外候也、府藏虚損、爲風邪痰熱所乘、氣傳於肝、上衝於目、故令視瞻不分明、謂之茫茫也、凡目病若肝氣不足、兼胸鬲風痰勞熱、則目不能遠視、則視物茫茫漠漠也、若心氣虚、亦令目茫茫、或惡見火光、視見蜚蠅黄黑也、

診其左手尺中脈、沈爲陰、陰實者目視茫茫、其脈浮大而緩者、此爲逆、必死、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法云、雞鳴欲起、先屈左手噉鹽指、以指相摩、呪曰西王母女、名曰益愈、賜我目、受之於口、即精摩形、常雞鳴二七著唾、除目茫茫、致其精光徹視萬里、遍見四方、咽二七唾之、以熱指摩目二七、令人目不瞑

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

夫れ、目は、是(この)五藏六府之(の)精華(せいか)、脈之聚(あつ)まる所むねと、肝之外候也、府藏虚損(きょそん)すれば、風邪や痰熱の所に乘じて、(邪)氣肝に伝わり、目に上衝(じょうしょう)すると、故に視瞻(しせん)分明せず、これを茫茫(ぼうぼう)というなり、およそ目の病は肝氣を不足し、胸鬲(きょうかく)に風痰勞熱、すなわち目遠くを視ることあたわず、物を視れば茫茫漠漠(ぼうぼうばくばく)んり、もし、心氣虚すれば、目茫茫(ぼうぼう)し、あるいは光や火を見ると、黄黑の蠅輩に見える也

その左手尺中の脈、沈んでいるのは陰、陰實の者目視ること茫茫(ぼうぼう)し、其脈浮大で緩の者、これ逆、必ず死、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法に云う、雞鳴欲して起き、先ず左手を屈し、鹽(しお)を指に噉(くら)わし、相指で摩すり、呪曰「西王母の女(むすめ)よ、名は益愈という、我に目を賜え、受けん」ととなえる、すなわち形詳しく、雞鳴に14回唾をつければ、目の茫茫除く、其視はくわしく万遠くをみれる、四方を遍くみる、これ(指)に唾液を14回つけ、指をこすり熱くなってめをあてる、それ14回、不瞑

 

<通訳>

目は臓腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また肝の外候である。もし臓腑が虚損し、また風邪や痰熱が乗じて、邪気が肝に伝わり、目に上衝すると、視力がはっきりしなくなるがこれを目の茫茫(ぼうぼう)という。およそ目の病は肝気が不足し、胸郭に風痰労熱があると目は遠くをみることができなくなり、物をみれば茫茫漠漠(ぼうぼうばくばく)としてはっきりしない。また心気が虚していても目は茫茫となるが、この場合は明るい光や火を見ることを恐がったり、黄黒色の小さな虫が飛びまわっているように見えたりするものである。

脈診で左手の尺中脈が沈であるのは陰証であるが、陰実であるものは目が茫茫としてかすんでいる。その脈が浮大で緩であるものは脈証不一致で逆証であり、予後不良である。

養生方導引法に云う、早朝雞鳴時にまさに起床しようとするときに、まず左手を屈して塩を中指につけ、母指と中指をこすり合わせながら、「西王母の女(むすめ)よ、名は益愈という、我に目を賜え、受けん」と称えれば目は物の形態をよく見ることが出来るようになる、毎朝雞鳴時に目に唾液を14回つければ、目の茫茫(かすみ)がとれて、その視力は鋭くなり万物を徹視し、四方を遍くみることができる、両手の中指に唾液を14回つけ、指と指をこすり合わせて熱くなってから、目を摩擦する。これを14回くり返す。この方法によって目が見えにくくならない。

 

<考察>

茫茫 = かすむ

これもかすみ目の話になりますね

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

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