#63 目病諸候 その22 目視一物為両候

こんにちは。鍼灸師の速水です。

4月になりましたね。諸病源候論の方が手つかずなので再開しま~す

さて、今日は『目視一物為両候』です

目一つの物を視れば両と為すとは?です。これだけだと何のことかよくわからないですね

 

<原文>

目是五藏六府之精華、凡人府藏不足、精虚而邪氣乘之、則精散、故視一物爲兩也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目はこれ五藏六府の精華、およそ人の府藏不足し、精虚し邪氣これに乘ぜれば、すなわち精散る、故に一つの物を視るに両を為すなり

 

<通訳>

目に五臓六腑の精気が注がれている。およそ人の臓腑が不足し、精気が虚し、邪気がこれに乗ずればさらに精気がさらに消散するようになり、そのために筋脈の協調が失われて眼球は共同して動くことができなくなって一つの物を見ても二つに見えるようになる。

 

 

<考察>

これは、「複視」のことです。肝腎不足や気血両虚でさらに風邪を感受して複視となるものはかなり多いです。さらに、痰、熱、外傷などでも複視になることがあります。

 

複視の種類としては

 ①外斜視(右目の映像は正面より左側にずれ、左目の映像は正面より右側にずれて見えます。右目と左目の映像が交差して複視を自覚)

・動眼神経麻痺

・内側縦束症候群

 

②内斜視(右目の映像は正面より右側にずれ、左目の映像は正面より左側にずれて見えます。右目、左目の映像は、同側にずれる複視を自覚)

・外転神経麻痺

・開散麻痺、開散不全

・輻輳けいれん

 

③上下斜視(上下に眼位がずれ、垂直方向の複視を自覚)

・上斜筋麻痺

・斜偏位

 

④その他

・甲状腺眼症

・眼筋型重症筋無力症

 

複視のまず原因を調べたうえで、西洋医学とあわせて鍼灸などの東洋医学もしていくのも複視改善にむけていいかもしれません

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_w-vision.jsp

#62 第5回セルフお灸の会 実施しました

こんにちは、鍼灸師の速水です

久し振りの投稿です。投稿が遅くなってすみません(ノ∀;`)

3/23にセルフお灸の会を実施しました( ノ゚∀゚)ノ

今回は『冷え症』

 

北海道はまだ寒いので、冷え症はなにかと多いんですよね~

 

 

流れとしてはこちら

・冷え症について

・冷え症の種類

・お灸の準備

・お灸のやり方

・経絡とつぼの紹介

 

今回は、冷え症の対処法として運動法の他に、食事について説明させていただきました

「五味」と「五性」ですね

 

五味とは

酸味…肝の働きを促進。消化を助ける。血液の貯蔵庫。

下痢や汗、咳を止める。精神の緊張を和らげる。

食べ過ぎると、食欲が落ちる。体が硬くなる。

 

苦味…心の働きを促進。血液を全身に送り出す。

解熱作用。湿を除く。

食べ過ぎると、肌が乾燥する。冷えやすくなる。

 

甘味…脾の働きを促進。消化吸収、不要物の排出。津液(水分)を作り出す

食欲増進、痙攣の改善。解毒作用

食べ過ぎると、骨が弱くなる。抜け毛が多くなる。

 

辛味…肺の働きを促進。呼吸、全身の水分調節。

気のめぐりを活発にし、機能を促進、発汗作用

食べ過ぎると、興奮する。冷えやすくなる。

 

鹹味…腎の働きを促進。水分の代謝と貯蔵。

塊を軟らかくする。便秘や腫物を改善。

食べ過ぎると、血がドロドロになり、血圧が上がる。

 

五性とは、『温、微温、平、微寒、寒』

 

 

この組み合わせが大事になります

 

では、実施風景はこちらです(今回は少ないです。お灸風景撮るの忘れてました(笑))

開始前、熱心に早めにこられる方もいます
冷え症の説明

 

 

次回は、『むくみ』について解説していきます

#61 第4回セルフお灸の会 実施しました〜

こんばんは、鍼灸師の速水です

今日は今年一発目のセルフお灸の会を実施しました( ノ゚∀゚)ノ

今回は『膝痛』

 

 

流れとしてはこちら

・膝痛について 主な種類

・膝痛について 診断

・お灸の準備

・お灸のやり方

・経絡とつぼの紹介

・10円、1円を使った膝の痛み緩和方法(奇経治療)

 

経絡の話では、膝では色々な経絡が走行している話や関連する症状も説明し、奇経絡治療法では、異種金属(今回は10円の銅と1円のアルミ)を使用してイオン差を用いて、体の滞りを緩和する話をさせていただきました(´ー`)

 

では、実施風景はこちらです(事前に参加者には許可得ております)

 

座学風景その1
座学風景その2
黒板にびっしり(汗)
目次
奇経治療(異種金属治療法)

 

奇経治療を受けたことのある方も今回セルフお灸の会に参加してくださったので、その実体験も皆さんに伝えていただけたのでとても感謝してますヽ(´∀`)ノ

 

質問コーナーも、膝の質問からはじまり、他の症状について多岐にわたり質問していただきました。それだけ、体について関心があることに嬉しいです

 

次回は、3/23(土) 13:30~14:45 西の里会館 2F

テーマは『冷え症』です

#60 目病諸候 その21 目眩候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

すっかり2月になっちゃいましたね。そして、今日は相当さむいですね(汗)

最高気温 -11°   最低気温 -12°

気温差はないですが、寒さが常にいる感じです

 

さて、今日は『目眩候』です

目眩とは?です

 

<原文>

目者五藏六府之精華、宗脈之所聚也、筋骨血氣之精、與脈并爲目系、系上屬於腦、若府藏虚、風邪乘虚隨目系入於腦、則令腦轉而目系、急則目眴而眩也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目の者、五藏六府の精華、宗脈の聚まる所なり、筋骨血氣の精、脈とあわせて目系をなす、系は上の脳に屬す、若し府藏虚し、風邪虚に乗じ目系に随(したがい)い脳に入れば、すなわち腦転じせしむ、目系急ぎめくばせし、すなわち目眩なり

 

<通訳>

目は五臓六腑の精華であり、宗脈の聚まるところである。筋骨の血気の精気は血脈と合併して目系を形成するが、目系は脳と連絡している。もし臓腑が虚弱であれば風邪が虚に乗じて目系からさらに脳に入るようになり、脳転して目系が緊張し、目がくらんでめまいがするようになる。これを目眩と称する。

 

<考察>

現代の目眩は大きく分けて二つのタイプがあります。

一つは、自分自身がグルグル回っているように感じる「回転性めまい」で、水平方向に回転しているように感じる場合が大半です。エレベーターに乗ったときのように、すーっと下がっていく感じを訴える患者さんもいますが、これは垂直方向への回転性めまいと考えられています。

もう一つは「フラフラする」か「グラグラする」タイプの「非回転性めまい」です。

 

原因としては、

・耳(①突発性難聴やメニエール症候群、②良性発作性頭位性めまい、前庭神経炎など)

・目(左右の視力が大きく異なる場合)

・首(筋緊張の激しい人)

・低血圧

・うつ病(仮面うつ病)

・脳(小脳や脳幹の脳卒中(脳出血か脳梗塞))

 

目眩が頻繁におこるときは上の原因が重複して該当していることがあります。とくに脳にかんする場合は一度は脳卒中の専門医に診てもらった方が安全です。

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph30.html#anchor-1

#59 目病諸候 その20 目渋候

こんにちは、鍼灸師の速水です

おそくなりましたが、あけましておめでとうございます。今年も1年いろいろチャレンジしつつ楽しく鍼灸に向き合って頑張りたいと思います

さて、今日は『目渋候』です

目が渋くなるとは?です

 

 

<原文>

目肝之外候也、府藏之精華、宗脈之所聚、上液之道、若悲哀内動府藏、則液道開而泣下、其液竭者、則目澀、又風邪内乘其府藏、外傳於液道、亦令泣下而數欠、泣竭則目澀、若府藏勞熱、熱氣乘於肝、而衝發於目、則目熱而澀也、甚則赤痛

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目は肝の外候なり、府藏の精華、宗脈の聚まるところ、上液の道、もし悲哀が内の府藏が動けば、すなわち液道開いて泣いて下る、其の液竭する者であれば、すなわち目渋くなる、また風邪が内の其の府藏に乗じれば、外の液道を伝い、泣いて下せばしばしば欠する、泣くこと竭けばすなわち目渋り、もし府藏勞熱し、熱氣肝に乘じ、而衝目に衝いて発すれば、すなわち目熱すること渋なり、甚だしければすなわち赤く痛む

 

<通訳>

目は肝の外候であり、五臓六腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また涙液の道路でもある。もしも悲哀すること甚だしくて臓腑に影響すれば涙液の道は開いて涙が流れるようになる。もしその涙液が枯渇すれば目は乾渋する。もしも風邪が臓腑に乗じて、それが外に伝わって涙道に及べば涙が流れてしばしば欠伸をするようになるが、涙液が枯渇すると目が乾渋する。もしも臓腑に労熱があり、その熱気が肝を傷して目に上衝すれば目に熱があるようになって乾渋するようになり、甚だしいものは発赤して疼痛する

 

<考察>

目の渋とは涙に関連する話みたいですね。涙が枯渇(こかつ、乾く)になれば「渋

」となる。それば風邪になるか、労熱によって症状がまた変わってきます。

よくなみだ目になるおばあちゃんの患者さんがいらっしゃいますが、肝の脈が弱く筋肉の拘縮がかなり強いんで目にも影響されていると思われます(肝は筋を司る)

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#58 目病諸候 その19 目不能遠視候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

今日は大みそかですね。今年から独立して大変なこともありましたが、患者さんやまわりの方々のご助力のおかげでなんとかなりました。誠にありがとうございます。来年もよろしくお願いします。

 

さて、今日は『目不能遠視候』です

遠くを視ること能わずとは?です。

 

<原文>

夫目不能遠視者、由目爲肝之外候、府藏之精華、若勞傷府藏、肝氣不足、兼受風邪、使精華之氣衰弱、故不能遠視

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

夫れ、目の遠くを視ることが能わずの者、目は肝の外候ためゆえ、臓腑の精華、若し臓腑を勞傷すれば、肝氣不足し、兼ねて風邪をうけ、精華の氣は衰弱せしめ、故に遠くを視ること能わず

 

<通訳>

目が遠くを視ることができないのは、目は肝の外候であり、臓腑の精華であり、もし臓腑を労傷すれば肝気が不足し、さらに風邪の侵襲を受けると精華の気は衰弱してしまうので遠くを視ることができなくなるものである。

 

<考察>

肝は目に関わるので、いろんな目の病気が発生しますが、肝だけでなく実は心も影響がでます。それは五労(ごろう)という東洋医学の本『黄帝内経』の中の「素問 宣明五気篇」にでてきます。その中で「久視」=「目を使いすぎて血を傷めること」。血=心(五主)となります

 

 

使いすぎは、五臓のどこかをかならず消費して、病がでやすくなります。でも、どこが?とかどうなる?とすこしわかっていると対処もしやすいのでこういう勉強は大事になります

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

 

#57 目病諸候 その18 目珠子脱出候

おはようございます、鍼灸師の速水です

たまには朝からブログです(・∀・)

 

さて、今日は『目珠子脱出候』です

目の珠子が脱出とは?です。珠子がわかると内容が入ってきそうですね

 

<原文>

目是藏府陰陽之精華、宗脈之所聚、上液之道、肝之外候、凡人風熱痰飲漬於藏府、陰陽不和、肝氣蘊積生熱、熱衝於目、使目睛疼痛、熱氣衝擊其珠子、故令脱出

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目、是れ藏府陰陽の精華と、宗と脈の聚まる所、液の上がる道、肝の外候、おおよそ人、風熱、痰飲が藏府を漬けば、陰陽和せぜば、肝氣蘊積し、熱生ず、熱目を衝けば、目睛疼痛せしむ、熱氣衝擊すれば其の珠子は脱出する

 

<通訳>

目は臓腑の陰陽の精華と諸経脈の集まるところであるし、津液が上行する道であり、また肝の外候である。もし風熱の邪や痰飲の邪気が臓腑を侵して陰陽の調和がとれなくなると、肝気は鬱結して熱を生じ、その熱が目に上衝すると眼が疼痛し、甚だしい場合は目珠(眼球)が脱出(突出)する

 

<考察>

眼球の突出は多くは眼窩内に位置する病変によって起こりますが、一部は内分泌(甲状腺)異常や眼窩内の組織の炎症によっても起こりえます。そして、眼球の疼痛を伴います。炎症性の突出することが考えられますが、もし単眼に起こったものであれば眼窩内あるいは副鼻腔の炎症などによって起こるものであり、治療においてはその臓腑の熱邪を寫すべきで、清熱解熱法を使用するそうですが、肝熱を寫すことを主にします

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#56 目病諸候 その17 目珠管候

こんにちは、鍼灸師の速水です

12月もあっという間にもう3週目です。これから皆さんいろいろ忙しくなると思いますが体調に気をつけてくださいね(・∀・)

 

さて、今日は『目珠管候』です

目の珠管とは?です。珠管がキーワードですね

 

<原文>

目是五藏六府之精華、宗脈之所聚、肝之外候也、肝藏血、若府藏氣血調和、則目精彩明淨、若風熱痰飲漬於藏府、使肝藏血氣蘊積、衝發於眼、津液變生結聚、状如珠管

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目是(こ)れは五藏六府の精華、宗と脈の聚まる所、肝の外候なり、肝は血を藏す、若し、府藏氣血調和すれば、すなわち目精彩淨(きよ)く明らか、若し、風熱、痰飲、藏府を漬かれば、肝の藏、血氣蘊積(うんせき)し、眼に發して衝けば、津液變(変)じ結聚を生む、状は珠管の如き

 

<通訳>

目は五臓六腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また肝の外候である。肝は血を蔵(たくわ)える臓であり、もし肝の気血が調和していれば視力ははっきりしているが、風熱や痰飲が臓腑を浸漬し、肝の血気が鬱積して目に上衝すると眼の中の津液が結聚して珠管(くびかざり)のようなものが形成する

 

<考察>

眼に珠管と呼んで、ぴんときたのが、「カイザー・フライシャー角膜輪」。これはウィルソン病によって眼に角膜に青緑色或いは黒褐色のリング状の線ができます。ウィルソン病は、日常生活において食事で摂取された銅が、正常に肝臓から胆汁中・腸管中に排泄されず、肝臓・脳・腎臓などに銅が多量に蓄積することによって肝臓や神経などに重い障害を引き起こす病気です。その原因は摂取された銅がうまく運ばれないことによります。ウィルソン病の発症率は3万人~4万人に1人といわれ、全国で1500人の患者がいるといわれています。この病気は早期に発見し治療を行えば十分な社会復帰あるいは発症の予防が可能です。この病気も肝臓に負担がでている病気ですね。これが「目珠管候」と一致しているかは定かではないですが似ている病気があると考え方がさらに深くなりますし、説明しやすいですね

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

https://www.nobelpharma.co.jp/general/willson/index.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%A1%E7%8E%89

 

#55 目病諸候 その16 雀目候

おはようございます、鍼灸師の速水です

かなり冷えてきましたね。ストーブから離れられないです(笑)

 

さて、今日は『雀目候』です

雀目とは?です。雀目はあとで解説しますが、まずは原文読んでいきましょう

 

<原文>

人有晝而睛明、至暝則不見物、世謂之雀目、言其如鳥雀瞑便無所見也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

晝(昼)、睛(ひとみ)明らかな人有り、暝(めい、日没)に至りすなわち物を見れず、世はこれを雀目(じゃくもく)という、言其れは鳥雀の如き、瞑(めい、日没)みるところなしなり

 

<通訳>

昼間はよく物が見えるのに日没時になると物が物が見えなくなる人がいるが、世間ではこれを雀目(じゃくもく)といっている。それはまるで鳥類のように目が暮れると物を見ることができないからである。

 

<考察>

暝  = 日没時 を指します

雀目 = じゃくもく、これは『とり目』のことを指します。とり目はビタミンA欠乏による夜盲症である。小児の脾胃虚弱や長期の消化不良症、栄養失調などでよく見られ、また疳疾(かんしつ)では目の早期症状としてよく見られる。そのほか先天性の夜盲症があるが、これは網膜の色素変成によるものであり、遺伝的な要素があり、「高風雀目」と称されています。

私はとり目なので、夜になると少し見えずらいですね。運転時はライトがあるので平気ですが、田舎を歩くときがかなり不安ですね、ほぼやま勘で歩いてます(笑)たしかに、子供のときは虚弱でしたし、ドカ食いをしょっちゅうしてたので消化不良にもなって栄養がちゃんと吸収できてなかったんでしょうね(;゚Д゚艸)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

 

#54 目病諸候 その15 目茫茫候

こんにちは、鍼灸師の速水です

さて、今日は『目茫茫候』です

目の茫茫とは?です。茫茫はなんでしょうね~

 

<原文>

夫目是五藏六府之精華、宗脈之所聚、肝之外候也、府藏虚損、爲風邪痰熱所乘、氣傳於肝、上衝於目、故令視瞻不分明、謂之茫茫也、凡目病若肝氣不足、兼胸鬲風痰勞熱、則目不能遠視、則視物茫茫漠漠也、若心氣虚、亦令目茫茫、或惡見火光、視見蜚蠅黄黑也、

診其左手尺中脈、沈爲陰、陰實者目視茫茫、其脈浮大而緩者、此爲逆、必死、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法云、雞鳴欲起、先屈左手噉鹽指、以指相摩、呪曰西王母女、名曰益愈、賜我目、受之於口、即精摩形、常雞鳴二七著唾、除目茫茫、致其精光徹視萬里、遍見四方、咽二七唾之、以熱指摩目二七、令人目不瞑

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

夫れ、目は、是(この)五藏六府之(の)精華(せいか)、脈之聚(あつ)まる所むねと、肝之外候也、府藏虚損(きょそん)すれば、風邪や痰熱の所に乘じて、(邪)氣肝に伝わり、目に上衝(じょうしょう)すると、故に視瞻(しせん)分明せず、これを茫茫(ぼうぼう)というなり、およそ目の病は肝氣を不足し、胸鬲(きょうかく)に風痰勞熱、すなわち目遠くを視ることあたわず、物を視れば茫茫漠漠(ぼうぼうばくばく)んり、もし、心氣虚すれば、目茫茫(ぼうぼう)し、あるいは光や火を見ると、黄黑の蠅輩に見える也

その左手尺中の脈、沈んでいるのは陰、陰實の者目視ること茫茫(ぼうぼう)し、其脈浮大で緩の者、これ逆、必ず死、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法に云う、雞鳴欲して起き、先ず左手を屈し、鹽(しお)を指に噉(くら)わし、相指で摩すり、呪曰「西王母の女(むすめ)よ、名は益愈という、我に目を賜え、受けん」ととなえる、すなわち形詳しく、雞鳴に14回唾をつければ、目の茫茫除く、其視はくわしく万遠くをみれる、四方を遍くみる、これ(指)に唾液を14回つけ、指をこすり熱くなってめをあてる、それ14回、不瞑

 

<通訳>

目は臓腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また肝の外候である。もし臓腑が虚損し、また風邪や痰熱が乗じて、邪気が肝に伝わり、目に上衝すると、視力がはっきりしなくなるがこれを目の茫茫(ぼうぼう)という。およそ目の病は肝気が不足し、胸郭に風痰労熱があると目は遠くをみることができなくなり、物をみれば茫茫漠漠(ぼうぼうばくばく)としてはっきりしない。また心気が虚していても目は茫茫となるが、この場合は明るい光や火を見ることを恐がったり、黄黒色の小さな虫が飛びまわっているように見えたりするものである。

脈診で左手の尺中脈が沈であるのは陰証であるが、陰実であるものは目が茫茫としてかすんでいる。その脈が浮大で緩であるものは脈証不一致で逆証であり、予後不良である。

養生方導引法に云う、早朝雞鳴時にまさに起床しようとするときに、まず左手を屈して塩を中指につけ、母指と中指をこすり合わせながら、「西王母の女(むすめ)よ、名は益愈という、我に目を賜え、受けん」と称えれば目は物の形態をよく見ることが出来るようになる、毎朝雞鳴時に目に唾液を14回つければ、目の茫茫(かすみ)がとれて、その視力は鋭くなり万物を徹視し、四方を遍くみることができる、両手の中指に唾液を14回つけ、指と指をこすり合わせて熱くなってから、目を摩擦する。これを14回くり返す。この方法によって目が見えにくくならない。

 

<考察>

茫茫 = かすむ

これもかすみ目の話になりますね

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳