#44 目病諸候 その6 目風腫候

おはようございます、鍼灸師の速水です

ぶるっと冷えますね~

さて、今日は『目風腫候』です

目が風により腫れるですかね?現代の病名だと何になるんでしょうね?とりあえず原文読んでみましょう(´゚∀゚`)

 

<原文>

目爲肝之外候、肝虚不足、爲冷熱之氣所干、故氣上衝於目、外復遇風冷所擊、冷熱相搏、而令瞼内結腫、或如杏核大、或如酸棗之状、腫而因風所發、故謂之風腫

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目、肝の外候を為す、肝不足し虚せば、冷熱の気のところから為す、故に気は目の上を衝く、また外の風冷の所遇うと、冷熱さらにうつ、瞼内(けんない)に結腫、或いは杏(あんず)の核の大きさのごとく、或いは酸棗(さんそう、さねぶとなつめ)の状態のごとく、腫は風の所によって発し、ゆえに風腫という

 

<通訳>

目は肝の外候である。肝が虚して肝気が不足していると冷熱の邪気の侵犯を受け易くなり、肝気に熱があるようになると目に上衝する。さらにまた風冷の邪気の侵襲を受けると冷熱が相搏って眼瞼内に腫塊を形成するようになる。その腫塊の大きさはあるいは杏の種の大きさであり、あるいは酸棗(さんそう、さねぶとなつめ)の種の大きさである。このような腫塊は風邪を受けて生じたものであるので風腫と称されている。

 

<考察>

まぶたが腫れる病気の代表としては

・ 霰粒腫(さんりゅうしゅ)

まぶたの裏側のマイボーム腺という場所に肉芽腫(にくげしゅ)という塊が発生する病気です。初期症状としてはまぶたにしこりが生じ、しばしば腫れることがあります。炎症が強くなると赤みが生じ、時には皮膚から肉芽腫が出てきたり、まぶたにひきつれが生じることもあります。数週間から数か月で自然に小さくなることもありますが、大きくなってしまった場合にはステロイド注射や手術で摘出などの治療が必要になることもあります

 

・麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

一般的に「ものもらい」と呼ばれる病気です。まぶた周辺のまつげの毛根や汗腺や脂腺などに細菌が感染することで発症します。初期症状としてはまぶたの腫れ、赤み、異物感などが多くみられます。なお、まぶたの腫れが引いたときにしこりが残った場合は、霰粒腫が考えられます。

腫塊(しゅかい、腫れものの塊)の大きさが、杏の種や酸棗(さんそう、さねぶとなつめ)の種と記載されているので霰粒腫(さんりゅうしゅ)なのかなぁ( ゚д゚ ;)

 

さすがに写真はまあまあグロいので興味ある方だけ調べてみてください

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#43 目病諸候 その5 目数十年赤候

こんにちは、鍼灸師の速水です

今日の午前中は次回のセルフお灸の会の資料づくりをしてました(σ゚∀゚)σ

 

さて、今日は『目数十年赤候』です

はて、これだけだと、眼が数十年赤くなる?みたいな感じですかね。実際に読んでみましょう

 

<原文>

風熱傷於目眥、則眥赤爛、其風熱不去、故眥常赤爛、積年不差

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

風熱、目眥(もくし、めじり)傷付くと、すなわち眥(まなじり、目じり)赤く爛(ただ)れる、その風熱去らざれば、眥(まなじり)常に赤く爛れ、積年(せきねん、長い年月)差せず

 

<通訳>

風熱が目眦(めじり)を傷すると目眦は発赤して糜爛(びらん、ただれること)する。その風熱の邪気が停留して去らないと目眦はいつも赤く爛れてしまい長年にわたって治らなくなる。

 

<考察>

数十年 = 長年 ということですね。糜爛(びらん)や爛(ただ)れってありますが、具体的に言うと浅い水疱(すいほう)の疱膜が破れて生じたもので、新鮮紅色を呈し、表面は漿液(しょうえき)で潤っていることです

当時(2300年前)からの医療だと、一度爛れた場合、自然治癒か膿がひどいときは切り取るぐらいしかないので長い間爛れてしまうと推測されます(現在みたいに抗生物質などないですからね)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#42 目病諸候 その4 目赤爛眥候

こんにちは、鍼灸師の速水です

はやめに冬タイヤに交換してきました(σ゚∀゚)σ

 

さて、今日は『目赤爛眥候』です

風眼(膿漏眼の俗称)について説明しているみたいですね。詳しくは考察に記載します

 

<原文>

此由冒觸風日、風熱之氣傷於目、而眥瞼皆赤爛、見風彌甚、世亦云風眼

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

この由、風日冒觸し、風熱の気目を傷つける、眥瞼みな赤く爛れ、風見るといよいよ甚だしくなり、世にまた風眼という

 

<通訳>

目赤爛眥は風と日光を触冒して、風熱の気が目を傷して、眼瞼が発赤して糜爛(びらん、ただれること)するものである。このような症候はしばしば風に遇うと激しくなるものであるところから「風眼」とも称される

 

<考察>

先述しましたが、「風眼」を調べると「膿漏眼」を風眼と呼んでいたそうです。多量の膿性の目やにが出る結膜炎の総称で、淋(りん)菌による結膜炎がその代表的なものである。眼瞼(がんけん)と結膜は赤くはれて、膿(のう)がぬぐったあとからすぐに湧(わ)くように出てくるそうです。

成人だと、淋菌性結膜炎

新生児だと、新生児膿漏眼

風や空気が原因でこの病気が起こるとされたことから,古くからこの名で呼ばれた。現在は淋菌によって起こる結膜炎として整理されています∑(´Д` )

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#41 目病諸候 その3 目風赤候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

昨日は夕方まで温かかったのに、夜は一段と冷え込みましたね(((;゚д゚;)))

 

さて、今日は『目風赤候』です

風熱の邪が内部に入ることで目が赤くなるについて説明しているみたいですね

 

<原文>

目者肝之竅、風熱在内乘肝、其氣外衝於目、故見風涙出、目瞼皆赤

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目の者肝のあな、風熱あり肝の内に乗ず、その気目の外を衝く、故に風見れば涙出し、眼瞼赤くなる

 

<通訳>

目は肝の外竅(がいきょう)であり、風熱の邪が内部に入って肝気に乗じ、その熱気が外候である目に上衝したものを風赤(ふうせき)と称する。これは風に遇うと涙が流れ出て、眼瞼は発赤する

 

<考察>

読んでいて思ったのが、風赤は「ドライアイ」のことを指しているのかなと(σ゚∀゚)σ

ドライアイとは、涙の量が少なくなったり、涙の質が悪くなることにより、眼球の表面に障害が生じる状態をいいます。
その症状はさまざまで「目が痛い」「ゴロゴロする」「光がまぶしい」「目の不快感」「疲れやすい」「風にあたると涙が出る」「目のかすみ」「充血しやすい」「目やにがでる」「目のかゆみ」などがあります。
また、ドライアイを放っておくと集中力が低下したり、目に細菌がついて感染症を引き起こしたり、花粉症などのアレルギー性結膜炎を悪化させたりすることもあります

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#40 目病諸候 その2 目胎赤候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

私的なことなんですが、昨日無事に飼っている犬が退院できましてかなりホッとしておりますヽ(´ー`)ノ。

 

さて、今日は『目胎赤候』です

胎は赤ちゃんのことを指しますので、赤ちゃんの目が赤くなるにはについて説明しているみたいですね

 

<原文>

胎赤者、是人初生、洗目不淨、令穢汁浸漬於眥、使瞼赤爛、至大不差、故云胎赤

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

胎赤という者、是(これ)人生初、目洗浄せず、眦(まなじり)汁に浸漬し穢れ、瞼(まぶた)赤く爛(ただ)れる、大きく至り差しず、故に胎赤という

 

<通訳>

胎赤とは新生児期に洗目が清潔でなく、穢濁なものが眼眦に感染したために、眼瞼の赤く爛れ(ただれ)が生じたものである。これが生長してからも治らないものを、出産時に得たものであるところから胎赤と称するのである。

 

<考察>

新生児の目の病気としては、昔は淋菌性結膜炎が恐れられていました。
これは、生まれる子が産道を通る時に淋菌に感染して起こるもので、生後2、3日で発病します。膿のようなめやにが出て、ほうっておくと失明することがあります。

他になりそうなものとしては、未熟児網膜症、先天白内障、先天緑内障、網膜芽細胞腫、先天鼻涙管通過不全などがあります。

ここの漢文で、「是人初生、洗目不淨、令穢汁浸漬於眥」と記載されており、これは生まれた後に起きたことなので後天性の感染になります。なので、上の未熟児網膜症、先天白内障、先天緑内障、網膜芽細胞腫、先天鼻涙管通過不全は該当しなくて、淋菌性結膜炎が、もしかすると胎赤と言ったのかもしれませんね(σ゚∀゚)σ

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#39 目病諸候 その1 目赤痛候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

11月突入ですね。諸病源候論は、目病諸候に突入しますヽ(*゚∀゚*)ノ

目の病については、38個も項目ありますね(;゚∀゚)

 

『目赤痛候』です

 

<原文>

凡人肝氣通於目、言肝氣有熱、熱衝於目、故令赤痛

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

およそ人の肝気は目に通ず、肝気熱有りと言えば、熱目を衝(つ)く、故に赤く痛くなる

 

<通訳>

人体の肝経の気は目に通ずる、もし、肝気が有余で熱を生ずれば、その熱気は目に上衝して、目が赤くなり疼痛を生ぜしめる。

 

<考察>

言=『外台秘要 21巻 目赤痛方』では、「若」→もし

目が充血して疼痛するのは多くの眼病に共通して見られる症状であり、その原因はひとつだけでなく、外感の風熱によって起こるものがあるし、臓腑の気熱が上衝して起こるものもあるので、臨床に於いては具体的に病状と結合させて分析したほうが良いとこの翻訳の注釈に記載されています

たしかに、足の厥陰肝経の経絡図を見ると目を通っていますね。東洋医学では、肝気が余ると上衝して目にきます

西洋医学では、結膜炎が代表的ですかね。白目(しろめ)とまぶたの裏側を覆っている半透明な膜(結膜)が、赤く充血して炎症を起す病気です。感染で起こる細菌性結膜炎、ウィルス性結膜炎、アレルギーで起こるアレルギー性結膜炎などさまざまな種類があります。現代だと、コンタクトレンズによる傷が充血させてしまう外傷的なものもありますね

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#38 毛髪病諸候 その11 鬼舐頭候

おはようございます。鍼灸師の速水です

本日は毛髪病諸候ラストになりますね

今日はこちら、『鬼舐頭候』です

鬼舐頭(きしとう)とは、今でいう円形脱毛症のことをさします

 

<原文>

人有風邪在於頭、有偏虚處、則髮禿落、肌肉枯死、或如錢大、或如指大、髮不生、亦不癢、故謂之鬼舐頭

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

人あり風邪頭にいる、ひとえに虚の所あり、すなわち髪禿げ落ちる、肌肉枯れて死に、或いは銭の大きさごとく、或いは指の大きさごとく、髪生えず、痒みはなし、故に鬼舐頭(きしとう)という

 

<通訳>

風邪が頭部にあり、たまたま頭部に気血が虚している部分があると、その部分の頭髪が禿げ落ちて筋肉が枯死するようになる。あるいは銅銭大に、あるいは指頭大に頭髪が生えず、髪もまたないものを鬼舐頭と称する

 

<考察>

「銅銭大に、あるいは指頭大に頭髪が生えず、髪もまたない」←この表現が円形脱毛症のことを指していますね

円形脱毛症を調べるといろんな種類があるそうですね

単発型
通常の円形脱毛症

多発型
円形脱毛症が2か所以上

多発融合型
びまん型…頭髪全体で平均的に多数の毛が抜ける症状
蛇行性 …蛇のように細長く脱毛する症状

全頭型
多発型から症例が進んだもので、脱毛部分同士がいくつも重なり合って髪の毛のみ全て抜け落ちる。近年、女性で急激に全頭性に脱毛し、頭部にかゆみが伴う

汎発型
ひげ・すね毛・陰毛など、身体のあらゆる体毛が抜けおちる症状。単発型からみるとかけ離れた症状であるが、いくつもの脱毛部分が重なって全身に及んでいることから紛れもない円形脱毛症である。治療の予後が悪いのもこのタイプ

 

原因としては、体の防御機能であるCD8陽性Tリンパ球が毛根部分の自己抗原(おそらくメラニン関連の蛋白)に誤って攻撃してしまういわゆる自己免疫反応によって引き起こされる自己免疫疾患

あと、アレルギーとの関連もあるそうですが、まだ私にはそういう症例の患者さんを診ていないのでなんとも言えないです( ´Д` )

 

さて、毛髪病諸候はこれにて終了になります。

んで、次回からは目病諸候をやってみたいと思います。患者さんの目をみると充血していていたり、白内障を患っている患者さんもいらっしゃるので目に関する病気を整理してみようと思いまして着手してみます

 

もし、他の病できになることがあれば随時コメントお願いいたします(p゚∀゚q)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

円形脱毛症.com https://www.enkei-datsumou.com/

#37 毛髪病諸候 その10 白禿候、赤禿候

こんにちは、鍼灸師の速水です

昨日のセルフお灸の会をやってたので諸病源候論は休んじゃいました(ノω<;)

今日はこちら、『白禿候』、『赤禿候』です

白禿とは、頭部の白癬症のことを指し、その病原体は真菌類であり蟯虫(ぎょうちゅう)ではないそうです

赤禿は、日本語訳が省略されていますが、白禿候と似たことだと推測されます

では、読んでいきましょう( ´艸`)

 

 

<原文>

「白禿候」

凡人皆有九蟲在腹内、値血氣虚則能侵食、而蟯蟲發動、最能生瘡、乃成疽癬瘑疥之屬、無所不爲、言白禿者、皆由此蟲所作、謂在頭生瘡、有蟲、白痂、甚癢、其上髮並禿落不生、故謂之白禿

「赤禿候」

此由頭瘡、蟲食髮禿落、無白痂、有汁、皮赤、而癢、故謂之赤禿

 

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

「白禿候」

およそ人皆、腹内に虫が在りて9つあり、血気虚すれば浸食す、蟯虫(ぎょうちゅう)発動し、最も瘡(きず)生み、疽(そ、悪性の腫物)、癬(せん、かゆみを伴う皮膚病の一種)、瘑(か、傷の後にできる痕)、疥(はたけ、顔にまるい白い粉をふいたような斑紋(はんもん)ができる皮膚病)に屬す、なざるところ無し、白禿なる者、皆、この蟲のところの由、頭に瘡が生まれる、蟲有り、白く痂(か)せる、甚だしく癢(痒)い、その上髪禿げ落ち生えず、故に白禿と言う

 

「赤禿候」

此れ由しを頭に瘡(きず)、蟲髪を食べ禿げ落ちる、白く痂(か)せ無し、汁有り、皮赤し、しかし癢(痒)い、故に赤禿と言う

 

 

<通訳>

「白禿候」

人の腹中には九虫が寄生しており、血気が虚損している時には人体を浸食する。その中でも蟯虫が発動すれば最も瘡(きず)を生じ易くなり、疽(そ、悪性の腫物)、癬(せん、かゆみを伴う皮膚病の一種)、瘑(か、傷の後にできる痕)、疥(はたけ、顔にまるい白い粉をふいたような斑紋(はんもん)ができる皮膚病)の類の病症を形成するようになり、しかもそれらができないところはない。白禿が生じるのはこのような九虫によるものであり、頭部に虫がいて瘡(きず)を生じ、因って白痂を形成して非常に痒くなり、その瘡上の髪が全部脱落して生じなくなるので、これを白禿と称する。

 

「赤禿候」

省略されてました

 

 

<考察>

「白禿候」の最初は腹の中に9つの虫がいると書いてますが、9つの虫については記載してませんね。血気が虚損して、蟯虫が発生すると皮膚に関する症状が頭にもでるそうですが、最初にも記載してますが、白禿とは、頭部の白癬症のことを指し、その病原体は真菌類であり蟯虫(ぎょうちゅう)ではないそうです。

私なりに九虫が気になって調べてみると、『三尸九虫(さんしきゅうちゅう)』というキーワードがヒットしまして、具体的なのを調べると中国の道教の考え方のひとつで、三尸(さんし)とは人の体には 3 匹の虫が棲んでいるという考え方があります。

上尸 (じょうし), 中尸 (ちゅうし), 下尸 (げし) という 3 匹の虫で,いつも人の行動を監視していて,庚申 (こうしん/かのえさる) の日になると,眠っている人の体から抜け出して,その人が犯した罪を天帝に告げ口してしまいます。日本では,昔,それらの虫に告げ口されないようにと,庚申の日の夜は,みんなで集まって眠らないようにする 「庚申待ち」 という催しがされたりしました。で,この三尸には,それぞれ同類がいて合わせて 9 匹の虫がいるとされています。その 「三尸九虫」 が,私たちの体内で,私たちの感情や意識をコントロールしていると考えられているのです。怒りとか不満などの感情の高まりを, 「誰のせい」 とはっきり言わないで, 「虫のせい」 として使っていますよね。これって内因(ないいん)という精神活動が過度に強烈で長時間続くと病気になることに似ているかもですね。ただ、「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」の7種なんですけどね(汗)

仮説ですけど、九虫≒内因として、血気が虚損することで五臓にも影響がでて真菌類が頭皮にもでて、白く痒くなるのが白禿候、白くなく汁が出て皮膚赤く痒くなるのが赤禿候と整理されるのかなと思います(これはあくまで私の考えですよ(汗))

 

もし、九虫についてご存じの方は教えていただけると助かります(*゚▽゚*)

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

語源 【虫がいい/虫の知らせ/虫が好かない/腹の虫がおさまらない/虫の居どころが悪い】
https://s.webry.info/sp/mobility-8074.at.webry.info/201702/article_2.html

#35 毛髪病諸候 その9 令毛髪不生候

夜分どうも、鍼灸師の速水です

なかなか寝れないのでブログを書いてみました

今日はこちら、『令毛髪不生候』です

 

<原文>

足少陰之血氣、其華在髮、足太陽之血氣盛、則眉美、足少陽之血氣盛、則鬚美、足陽明之血盛、則髮美、手陽明之血氣盛、則髭美、諸經血氣盛、則眉髭鬚髮美澤、若虚少枯竭、則變黄、白悴禿、若風邪乘其經絡、血氣攻變、則異毛惡髮妄生也、則須以藥傅、令不生也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

足少陰の血気、その(五)華は髪にあり、足太陽の血気盛んなれば、すなわち眉美しい、足少陽の血気盛んなれば、すなわち鬚美しい、足陽明の血盛んなれば、すなわち髪美しい、手陽明の血気盛んなれば、すなわち髭美しい、これ経血気盛んなれば、すなわち眉髭鬚髪美しくうるおう、もし虚少枯渇すれば、すなわち黄色に変(化)する、白くやつれ禿る、もし風邪がその経絡に乗ずれば、血気攻めに変(化)し、すなわち毛異なり髪悪しみだりに生えるなり、すなわち薬をもってつたえる、生えずなり

 

<通訳>

まさかの省略∑(゚Д゚ )。微妙ですが、書下し文でなんとなくイメージできたらなぁと思います

 

<考察>

今まで述べた髪、鬚、髭、眉の総まとめで記載してますね。

今までのを整理すると

髪        → 足の少陰腎経

鬚(あごひげ) → 足の少陽胆経

髭(くちひげ) → 手の陽明大腸経

眉        → 足の太陽膀胱経

 

ただ気になるのがありまして

足陽明之血盛、則髮美

足の陽明とは「足の陽明胃経」のことを指し、足の陽明胃経が血(気)盛んであれべ、髪美しいと記載されています

 

前回   髪 → 足の少陰腎経

今回   髪 → 足の陽明胃経

 

むむむ└(゚ロ゚;)┘ な、なぜ異なるのでしょうね?

 

考えられるものとしては(あくまで推測ですけど)

(1) 誤字

→ 諸病源候論にて、「足陽明之血盛」と検索しても「令毛髪不生候」のみヒット、「足陽明之」で検索しても髪に該当する箇所なし

 

(2) 髪ではなく額の生え際では?

→ 足の陽明胃経の経絡が以下の通りです

鼻根に起こり下って鼻の外(承泣穴、四白穴、巨髎穴)を循り、上歯の中に入り、還り出て唇を循り、下って承漿穴で左右が交わる。ついで下顎下縁を循り大迎穴から頬車穴を循り、耳前に上り客主人穴を過ぎ、側頭髪際を循り額顱に至るその支なるものは、大迎穴の前より人迎穴に下り、喉嚨を循り缺盆穴に入り、膈を下って胃に属し脾を絡う。その直行するものは、缺盆穴より乳の内廉に下り、下って臍を挾み気衝穴に入る。気衝穴から大腿前外側を下り、膝関節を循り、下腿前外側を下り、足の第2指外端に終わる。その支なるものは、胃口の下に起こり、腹中を循り下って気衝穴に合す。その支なるものは三里穴の下方から分れ、下腿外側(胃経と胆経の間)を下り豊隆穴を経て足の第3指に行く。その支なるものは、衝陽穴から別れて第1指に至り、足の太陰脾経に連なる。

側頭髪際を循り額顱に至る これの事なのかなと

 

え~と、私一人ではなんとも言えないので(笑)、有識者の知識をお借りしたいです(^-^)

古典は色々と考えさせてくれるので、迷うこともありますが考えるきっかけになるので勉強になります( ´ー`)ノ

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#34 毛髪病諸候 その8 火焼処髪不生候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

最近、同業の先生方もこのブログを読んでいただけているので、かなり恐縮ですが、いろいろ意見などが聞けたらもっと内容の濃いブログになりますのでお待ちしております(σ゚∀゚)σ

今日はこちら、『火焼処髪不生候』です

火焼は、火傷(やけど)ですね。つまり、火傷の処(ところ)は髪が生えずという解説になります

 

<原文>

夫髮之生、血氣所潤養也、火燒之處、瘡痕緻密、則氣血下沈、不能榮宣腠理、故髮不生

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

それ髪の生えるのは、血気が潤養の所なり、火傷のところ、瘡(は)れた痕緻密、血気下がり沈む、腠理栄えることあたわず、ゆえに髪生えず

 

<通訳>

毛髪の生長は血気の滋潤と栄養によるものである。火傷したところは瘢痕化(はんこんか)した皮膚は硬くて柔軟性がなく、その部分では気血が下に沈んでいるので腠理(そうり、皮膚の表面と筋肉の間)を栄養することができず、発汗も起こらないし、毛髪を生じない。

 

<考察>

火傷は4段階まであります

Ⅰ度熱傷    (深さは表皮まで、発赤、数日で治癒)

浅達性II度熱傷(深さは真皮浅層まで、水疱、2~3週で治癒)

深達性II度熱傷(深さは真皮深層まで、水疱、4~5週で治癒、場合により植皮術)

Ⅲ度熱傷    (深さは皮膚全層、羊皮紙用・痛みなし、原則的に植皮術)

腠理(そうり、皮膚の表面と筋肉の間)の意味で言うと、上の火傷の深さだと、ⅠからⅢ度熱傷すべてに該当ししそうですね。ただ、火傷の深刻度で言うと、当時、皮膚移植ができてたか定かではないので、深達性II度熱傷、Ⅲ度熱傷になると髪は生えないと思われます。浅達性II度熱傷は水疱中は生えずらいのかもしれませんね(゚Д゚;)

 

ちなみに、お灸の熱量から言うと、Ⅰ度熱傷にまでなるかならないかぐらいです

ただ、その人の体調によるのでⅠ度熱傷、浅達性II度熱傷になる可能性もあることも知っておいた方がいいです。鍼灸師は体調にあわせて、お灸の壮数(すえる数)を調整できるので安心してください∑d(゚∀゚d)

お灸はあつければ良いというわけではないですヽ(´ー`)ノ ほどよい温熱でツボをあたためることが大事なのです。(場合によっては(稀ですけど)、熱いのも必要な時もありますけどね)

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

熱傷用語集2015改訂版(一般社団法人日本熱傷学会.2015)p.51