#73 目病諸候 その26 目暈候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

今日の北海道は14℃、最高気温22℃、最低気温13℃、晴れております(・∀・)

短いですが秋を堪能しております。秋は夏の湿った感じから乾燥するので、体が慣れていないと風邪になりやすいので気を付けてくださいね(n´―`n)

では、今回の諸病源候論はこちら、『目暈候

ん?眩暈(めまい)とは違うのでしょうか?

<原文>

五藏六府之精華、皆上注於目、目爲肝之外候、肝藏血、血氣不足、則肝虚致受風邪、風邪搏於精氣、故精氣聚生於白睛之上、繞於黑睛之際、精彩昏濁、黑白不明審、謂之目暈

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

五藏六府の精華、皆目上に注ぐ、目は肝の外候を為す、肝は血を藏す、血氣不足すれば、すなわち肝虚に致り風邪を受け、風邪が 精氣 に広がれば、故に精氣白睛(白目)の上に 聚 を生ず、黑睛(黒目)の際(きわ)、精彩は昏濁し、黑と白つまびらかに明らかにならず、これを目暈 と 謂 う(言う)

<通訳>

五藏六府の精華は皆目上に注ぎ、目は肝の外候である。肝は血を藏す、もし、血氣不足すれば、肝虚となり風邪を受け易くなる。風邪が目の 精氣 に広がれば、精氣は白睛(白目)の上に結 聚して、 白睛(白目) と黑睛(黒目)の交わるところに、灰白色の環状の混濁し、目睛(ひとみ)の 黑と白がはっきりわからなくなる、これを目暈 と言う

<考察>

眩暈(めまい)とはまた、別の話でしたね(笑)

瞳の黒目と白目がはっきりしない病気はたくさんあります

・ 老人環 … 黒目の周りがリング状に白く濁っている場合、ほとんどは眼病ではなく老化現象 。 コレステロールなどの脂質が角膜内に蓄積することで、透明な部分が白く濁って見えています。角膜の中心部にまで到達することはないので、この場合は何も心配することはありません。ただし、関節リウマチなどの病気をお持ちの方には、蚕蝕性角膜潰瘍(さんしょくせいかくまくかいよう)という自己免疫で生じる黒目の周辺の炎症が知られており注意が必要です。 ただし、30代でこれを発症した場合は老人環ではなく「若年環(じゃくねんかん)」と呼ばれ、高脂血症や心血管異常などの病気のサインである可能性もあります。速やかに内科を受診する必要があります。

老人環

・ 角膜感染症 … 「角膜びらん」 、 「細菌性角膜炎」「真菌性角膜炎」「アカントアメーバ角膜炎」「ヘルペス性角膜炎」 などです。 角膜に傷や欠損があると、クリアなガラスではなくすりガラスのような状態になるため、黒目の部分が白く濁って見えるようになります。 角膜の病気は、ただ単に白く濁って見えるだけでなく、強い痛みや視力の低下を引き起こすものです。必ず眼科での治療が必要になります。

角膜感染症

・ フリクテン性結膜炎 … 黒目と白目の境目に、水泡状の白い点が現れる 。 フリクテン性結膜炎は、何らかの細菌に感染した後に現れる遅延型アレルギー反応であるといわれていますが、アレルギー検査でも原因を突き止められないことが多いのが現状です。 ほとんどの場合は1週間程で点状の濁りが消えますが、何度も繰り返すこともあり、放置していると角膜全体が濁って視力の低下を招く危険性もあります。

フリクテン性結膜炎

感染症は、早急に眼科へ行き対処してもらったほうがまわりにひろまらないです。ほかの症状もまずはどういうものなのか確定してから各々対応するといいですね。

「参考文献」


東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

https://eyeblog-hangai.com/eye_trouble/eye_murky/



#72 目病諸候 その25 目黒候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

北海道も雨が続いております。早く雨やむといいですね。

さて、久し振りに諸病源候論をやります。今日は『目黒候』です。

目黒(めぐろ)という読み方ではなく、目黒(もっこく)と読みます∑(゚Д゚ )。単純に、「眼が黒い」という意味なのかどうか読んでいきましょう

<原文>

目黑者、肝虚故也、目是藏府之精華、肝之外候、而肝藏血、府藏虚損、血氣不足、故肝虚不能榮於目、致精彩不分明、故目黑

< 書下し文、自分でやっているので間違いがあります >

目黑(もっこく)なる者、肝が虚す故なり、目これ藏府の精華、肝の外候、肝は血を蔵す、府藏虚損し、血氣不足すれば、故に肝虚し目栄(養)すること能わず、精彩致ること不分明(ふぶんめい)、故に目黑(もっこく)と称す

<通訳>

視野が暗いものを目黒(もっこく)というが、これは肝の虚によるものである。目は臓腑の精華であり、肝の外候であり、肝は血を藏すものである。もし、臓腑が虚損し、血氣が不足すると、目を栄養することが出来なくなり、目の精彩は濁って物を見ることができなくなる。これを目黑と称する。

<考察>

目黒(もっこく) = 視野が暗いもの となります

この意味でふと思ったのが、現代の西洋医学では「一過性黒内障」ですね。一過性黒内障は、頸(けい)動脈から枝分かれした眼動脈に血栓が詰まることで起こります。眼動脈は左右の目にあるんですが、両方が同時に詰まることはまれで、片方の目にだけ症状が表れやすいです。

血管が詰まる原因は、長年にわたる高血圧や糖尿病、脂質異常症などによる頸動脈の動脈硬化が非常に多いそうです。

東洋医学に戻すと、肝というのは血を蔵すというフレーズがある通り、血管にも関連します。それが虚すとつまることになると、西洋医学と同じなりますね( *´艸`)

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#67 目病諸候 その24 目飛血候


おはようございます。鍼灸師の速水です。

今日の北海道の気温は予想最高22℃、予想最低気温12℃、現在は15℃とやっと快適な気温に落ち着いたと思います。

さて、今日は『目飛血候』です

飛血 とは?です。飛血だけで検索しても目に関する情報はでてこないですね。



<原文>

目肝之外候也、肝藏血、足厥陰也、其脈起足大指之叢毛、入連於目系、其經脈之血氣虚、而爲風熱所乘、故血脈生於白睛之上、謂之飛血

 

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目、肝の外候(がいこう)なり、肝は血を藏(やど)し、足厥陰(あしのけついん)なり、その脈足の大指の叢毛から起こり、入りて目系に連なる、その經脈の血氣虚し、風熱が乗ずる所なれば、ゆえに血脈白睛(白目)の上に生じる、これを飛血という

 

 

<通訳>

目は肝の外候である。肝は血を蔵し、足厥陰経に属し、その脈は足の大指(親指)の背部の毛の生えているところから起こり上行して目系に連なる。

その経脈の血気が虚弱となり、風熱が乗ずるところとなると、熱が迫って血があふれるようになり、白睛(白目)の上に血脈を生じて発赤充血するものを目飛血と称する。

 

 

<考察>

目飛血というのが上の<通訳>でみると、充血に関する話でしたね。

充血とは、目の炎症や疲れなどが原因で、目の血管が膨らんだ状態のことです。目の血管は普段は細いため、外からは目立って見えないのですが、血管が膨らむと目立つようになり、目の表面が赤く見えます。

今回の目飛血では、目の炎症によるものだと考察されます。

例えば、目にゴミが入る、あるいは、アレルギー物質や細菌から刺激を受けると、結膜が異物を排除しようと炎症反応が起きます。その炎症反応の1つとして、目の血管が膨らみ赤くなる。

 

北海道だと、つい先々週ぐらいまで白樺の花粉がまっていて、ちょいちょい目が痒いって方がいたかもしれません。今週は落ち着いていますが、目のかきすぎも炎症を起こすので気をつけましょう

 


「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

http://www.iph.pref.hokkaido.jp/pollen/sapporo/sapporo.htm



#65 目病諸候 その23 目偏視候

こんにちは。鍼灸師の速水です。

GW終わりましたね。皆さまはゆったりできましたか?

さて、今日は『目偏視候』です

偏視とは?です。偏視は現代の医学用語でもでてくるのでなんとなくわかると思います

<原文>

目是五藏六府之精華、人府藏虚、而風邪入於目、而瞳子被風所射、睛不正則偏視、此患亦有從小而得之者、亦有長大方病之者、皆由目之精氣虚、而受風邪所射故也

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目、これ五藏六府の精華、人府藏が虚し、風邪目に入ると、瞳子(どうし)被風(ひふ)射る所、睛(ひとみ)不正となり偏視となる、この患いは從小(じゅうしょ、幼少期)得る者あり、また長大(ちょうだい、大人)の方、病の者あり、皆ゆえに目の精氣虚し、風邪を受け射る所ゆえなり

<通訳>

五臓六腑の精華は目に注ぐが、その人の臓腑が虚して風邪が目に入ると眼晴が不正となって偏視を生じる。このような眼疾は小児期から起こるものがいるし、また成年後に起こる者がいるが、これはいずれも眼の精気が虚し、風邪が外襲することによって眼晴がひきつれて起こるものである。

<考察>

「偏視」とは、 左右の眼球が一方向を向いたままの状態。
水平方向のものと垂直方向のものとがある。左右の方向への眼球運動(水平共同視)は,大脳皮質から橋(きよう)への神経回路と,橋にある水平共同視中枢によって営まれているが,これらの経路のどこかに病変が生ずると,一定方向への水平共同視ができなくなり,眼球はそれと反対側にひかれた状態のままとなってしまう。このような状態が麻痺性の共同偏視である。脳卒中などのように大脳半球内の病変では,このような麻痺性共同偏視を生じ,眼球は病変のある側をにらむような位置をとることが多い。

東洋医学では、目偏視は幼児では脾気の虚弱で眼筋の収縮が不正となることや、或いは不良な習慣によって起こることが多い。成人においては偏視あるいは両眼の眼球が突然に偏斜するものは風熱、風痰などによって起こるものであり、複視を伴うことが多い。

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_w-vision.jsp
https://www.kango-roo.com/sn/k/view/3347

#63 目病諸候 その22 目視一物為両候

こんにちは。鍼灸師の速水です。

4月になりましたね。諸病源候論の方が手つかずなので再開しま~す

さて、今日は『目視一物為両候』です

目一つの物を視れば両と為すとは?です。これだけだと何のことかよくわからないですね

 

<原文>

目是五藏六府之精華、凡人府藏不足、精虚而邪氣乘之、則精散、故視一物爲兩也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目はこれ五藏六府の精華、およそ人の府藏不足し、精虚し邪氣これに乘ぜれば、すなわち精散る、故に一つの物を視るに両を為すなり

 

<通訳>

目に五臓六腑の精気が注がれている。およそ人の臓腑が不足し、精気が虚し、邪気がこれに乗ずればさらに精気がさらに消散するようになり、そのために筋脈の協調が失われて眼球は共同して動くことができなくなって一つの物を見ても二つに見えるようになる。

 

 

<考察>

これは、「複視」のことです。肝腎不足や気血両虚でさらに風邪を感受して複視となるものはかなり多いです。さらに、痰、熱、外傷などでも複視になることがあります。

 

複視の種類としては

 ①外斜視(右目の映像は正面より左側にずれ、左目の映像は正面より右側にずれて見えます。右目と左目の映像が交差して複視を自覚)

・動眼神経麻痺

・内側縦束症候群

 

②内斜視(右目の映像は正面より右側にずれ、左目の映像は正面より左側にずれて見えます。右目、左目の映像は、同側にずれる複視を自覚)

・外転神経麻痺

・開散麻痺、開散不全

・輻輳けいれん

 

③上下斜視(上下に眼位がずれ、垂直方向の複視を自覚)

・上斜筋麻痺

・斜偏位

 

④その他

・甲状腺眼症

・眼筋型重症筋無力症

 

複視のまず原因を調べたうえで、西洋医学とあわせて鍼灸などの東洋医学もしていくのも複視改善にむけていいかもしれません

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_w-vision.jsp

#60 目病諸候 その21 目眩候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

すっかり2月になっちゃいましたね。そして、今日は相当さむいですね(汗)

最高気温 -11°   最低気温 -12°

気温差はないですが、寒さが常にいる感じです

 

さて、今日は『目眩候』です

目眩とは?です

 

<原文>

目者五藏六府之精華、宗脈之所聚也、筋骨血氣之精、與脈并爲目系、系上屬於腦、若府藏虚、風邪乘虚隨目系入於腦、則令腦轉而目系、急則目眴而眩也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目の者、五藏六府の精華、宗脈の聚まる所なり、筋骨血氣の精、脈とあわせて目系をなす、系は上の脳に屬す、若し府藏虚し、風邪虚に乗じ目系に随(したがい)い脳に入れば、すなわち腦転じせしむ、目系急ぎめくばせし、すなわち目眩なり

 

<通訳>

目は五臓六腑の精華であり、宗脈の聚まるところである。筋骨の血気の精気は血脈と合併して目系を形成するが、目系は脳と連絡している。もし臓腑が虚弱であれば風邪が虚に乗じて目系からさらに脳に入るようになり、脳転して目系が緊張し、目がくらんでめまいがするようになる。これを目眩と称する。

 

<考察>

現代の目眩は大きく分けて二つのタイプがあります。

一つは、自分自身がグルグル回っているように感じる「回転性めまい」で、水平方向に回転しているように感じる場合が大半です。エレベーターに乗ったときのように、すーっと下がっていく感じを訴える患者さんもいますが、これは垂直方向への回転性めまいと考えられています。

もう一つは「フラフラする」か「グラグラする」タイプの「非回転性めまい」です。

 

原因としては、

・耳(①突発性難聴やメニエール症候群、②良性発作性頭位性めまい、前庭神経炎など)

・目(左右の視力が大きく異なる場合)

・首(筋緊張の激しい人)

・低血圧

・うつ病(仮面うつ病)

・脳(小脳や脳幹の脳卒中(脳出血か脳梗塞))

 

目眩が頻繁におこるときは上の原因が重複して該当していることがあります。とくに脳にかんする場合は一度は脳卒中の専門医に診てもらった方が安全です。

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph30.html#anchor-1

#59 目病諸候 その20 目渋候

こんにちは、鍼灸師の速水です

おそくなりましたが、あけましておめでとうございます。今年も1年いろいろチャレンジしつつ楽しく鍼灸に向き合って頑張りたいと思います

さて、今日は『目渋候』です

目が渋くなるとは?です

 

 

<原文>

目肝之外候也、府藏之精華、宗脈之所聚、上液之道、若悲哀内動府藏、則液道開而泣下、其液竭者、則目澀、又風邪内乘其府藏、外傳於液道、亦令泣下而數欠、泣竭則目澀、若府藏勞熱、熱氣乘於肝、而衝發於目、則目熱而澀也、甚則赤痛

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目は肝の外候なり、府藏の精華、宗脈の聚まるところ、上液の道、もし悲哀が内の府藏が動けば、すなわち液道開いて泣いて下る、其の液竭する者であれば、すなわち目渋くなる、また風邪が内の其の府藏に乗じれば、外の液道を伝い、泣いて下せばしばしば欠する、泣くこと竭けばすなわち目渋り、もし府藏勞熱し、熱氣肝に乘じ、而衝目に衝いて発すれば、すなわち目熱すること渋なり、甚だしければすなわち赤く痛む

 

<通訳>

目は肝の外候であり、五臓六腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また涙液の道路でもある。もしも悲哀すること甚だしくて臓腑に影響すれば涙液の道は開いて涙が流れるようになる。もしその涙液が枯渇すれば目は乾渋する。もしも風邪が臓腑に乗じて、それが外に伝わって涙道に及べば涙が流れてしばしば欠伸をするようになるが、涙液が枯渇すると目が乾渋する。もしも臓腑に労熱があり、その熱気が肝を傷して目に上衝すれば目に熱があるようになって乾渋するようになり、甚だしいものは発赤して疼痛する

 

<考察>

目の渋とは涙に関連する話みたいですね。涙が枯渇(こかつ、乾く)になれば「渋

」となる。それば風邪になるか、労熱によって症状がまた変わってきます。

よくなみだ目になるおばあちゃんの患者さんがいらっしゃいますが、肝の脈が弱く筋肉の拘縮がかなり強いんで目にも影響されていると思われます(肝は筋を司る)

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#58 目病諸候 その19 目不能遠視候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

今日は大みそかですね。今年から独立して大変なこともありましたが、患者さんやまわりの方々のご助力のおかげでなんとかなりました。誠にありがとうございます。来年もよろしくお願いします。

 

さて、今日は『目不能遠視候』です

遠くを視ること能わずとは?です。

 

<原文>

夫目不能遠視者、由目爲肝之外候、府藏之精華、若勞傷府藏、肝氣不足、兼受風邪、使精華之氣衰弱、故不能遠視

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

夫れ、目の遠くを視ることが能わずの者、目は肝の外候ためゆえ、臓腑の精華、若し臓腑を勞傷すれば、肝氣不足し、兼ねて風邪をうけ、精華の氣は衰弱せしめ、故に遠くを視ること能わず

 

<通訳>

目が遠くを視ることができないのは、目は肝の外候であり、臓腑の精華であり、もし臓腑を労傷すれば肝気が不足し、さらに風邪の侵襲を受けると精華の気は衰弱してしまうので遠くを視ることができなくなるものである。

 

<考察>

肝は目に関わるので、いろんな目の病気が発生しますが、肝だけでなく実は心も影響がでます。それは五労(ごろう)という東洋医学の本『黄帝内経』の中の「素問 宣明五気篇」にでてきます。その中で「久視」=「目を使いすぎて血を傷めること」。血=心(五主)となります

 

 

使いすぎは、五臓のどこかをかならず消費して、病がでやすくなります。でも、どこが?とかどうなる?とすこしわかっていると対処もしやすいのでこういう勉強は大事になります

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

 

#57 目病諸候 その18 目珠子脱出候

おはようございます、鍼灸師の速水です

たまには朝からブログです(・∀・)

 

さて、今日は『目珠子脱出候』です

目の珠子が脱出とは?です。珠子がわかると内容が入ってきそうですね

 

<原文>

目是藏府陰陽之精華、宗脈之所聚、上液之道、肝之外候、凡人風熱痰飲漬於藏府、陰陽不和、肝氣蘊積生熱、熱衝於目、使目睛疼痛、熱氣衝擊其珠子、故令脱出

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目、是れ藏府陰陽の精華と、宗と脈の聚まる所、液の上がる道、肝の外候、おおよそ人、風熱、痰飲が藏府を漬けば、陰陽和せぜば、肝氣蘊積し、熱生ず、熱目を衝けば、目睛疼痛せしむ、熱氣衝擊すれば其の珠子は脱出する

 

<通訳>

目は臓腑の陰陽の精華と諸経脈の集まるところであるし、津液が上行する道であり、また肝の外候である。もし風熱の邪や痰飲の邪気が臓腑を侵して陰陽の調和がとれなくなると、肝気は鬱結して熱を生じ、その熱が目に上衝すると眼が疼痛し、甚だしい場合は目珠(眼球)が脱出(突出)する

 

<考察>

眼球の突出は多くは眼窩内に位置する病変によって起こりますが、一部は内分泌(甲状腺)異常や眼窩内の組織の炎症によっても起こりえます。そして、眼球の疼痛を伴います。炎症性の突出することが考えられますが、もし単眼に起こったものであれば眼窩内あるいは副鼻腔の炎症などによって起こるものであり、治療においてはその臓腑の熱邪を寫すべきで、清熱解熱法を使用するそうですが、肝熱を寫すことを主にします

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#56 目病諸候 その17 目珠管候

こんにちは、鍼灸師の速水です

12月もあっという間にもう3週目です。これから皆さんいろいろ忙しくなると思いますが体調に気をつけてくださいね(・∀・)

 

さて、今日は『目珠管候』です

目の珠管とは?です。珠管がキーワードですね

 

<原文>

目是五藏六府之精華、宗脈之所聚、肝之外候也、肝藏血、若府藏氣血調和、則目精彩明淨、若風熱痰飲漬於藏府、使肝藏血氣蘊積、衝發於眼、津液變生結聚、状如珠管

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目是(こ)れは五藏六府の精華、宗と脈の聚まる所、肝の外候なり、肝は血を藏す、若し、府藏氣血調和すれば、すなわち目精彩淨(きよ)く明らか、若し、風熱、痰飲、藏府を漬かれば、肝の藏、血氣蘊積(うんせき)し、眼に發して衝けば、津液變(変)じ結聚を生む、状は珠管の如き

 

<通訳>

目は五臓六腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また肝の外候である。肝は血を蔵(たくわ)える臓であり、もし肝の気血が調和していれば視力ははっきりしているが、風熱や痰飲が臓腑を浸漬し、肝の血気が鬱積して目に上衝すると眼の中の津液が結聚して珠管(くびかざり)のようなものが形成する

 

<考察>

眼に珠管と呼んで、ぴんときたのが、「カイザー・フライシャー角膜輪」。これはウィルソン病によって眼に角膜に青緑色或いは黒褐色のリング状の線ができます。ウィルソン病は、日常生活において食事で摂取された銅が、正常に肝臓から胆汁中・腸管中に排泄されず、肝臓・脳・腎臓などに銅が多量に蓄積することによって肝臓や神経などに重い障害を引き起こす病気です。その原因は摂取された銅がうまく運ばれないことによります。ウィルソン病の発症率は3万人~4万人に1人といわれ、全国で1500人の患者がいるといわれています。この病気は早期に発見し治療を行えば十分な社会復帰あるいは発症の予防が可能です。この病気も肝臓に負担がでている病気ですね。これが「目珠管候」と一致しているかは定かではないですが似ている病気があると考え方がさらに深くなりますし、説明しやすいですね

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

https://www.nobelpharma.co.jp/general/willson/index.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%A1%E7%8E%89