こんにちは、鍼灸師の速水です
昨日のセルフお灸の会をやってたので諸病源候論は休んじゃいました(ノω<;)
今日はこちら、『白禿候』、『赤禿候』です
白禿とは、頭部の白癬症のことを指し、その病原体は真菌類であり蟯虫(ぎょうちゅう)ではないそうです
赤禿は、日本語訳が省略されていますが、白禿候と似たことだと推測されます
では、読んでいきましょう( ´艸`)
<原文>
「白禿候」
凡人皆有九蟲在腹内、値血氣虚則能侵食、而蟯蟲發動、最能生瘡、乃成疽癬瘑疥之屬、無所不爲、言白禿者、皆由此蟲所作、謂在頭生瘡、有蟲、白痂、甚癢、其上髮並禿落不生、故謂之白禿
「赤禿候」
此由頭瘡、蟲食髮禿落、無白痂、有汁、皮赤、而癢、故謂之赤禿
<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>
「白禿候」
およそ人皆、腹内に虫が在りて9つあり、血気虚すれば浸食す、蟯虫(ぎょうちゅう)発動し、最も瘡(きず)生み、疽(そ、悪性の腫物)、癬(せん、かゆみを伴う皮膚病の一種)、瘑(か、傷の後にできる痕)、疥(はたけ、顔にまるい白い粉をふいたような斑紋(はんもん)ができる皮膚病)に屬す、なざるところ無し、白禿なる者、皆、この蟲のところの由、頭に瘡が生まれる、蟲有り、白く痂(か)せる、甚だしく癢(痒)い、その上髪禿げ落ち生えず、故に白禿と言う
「赤禿候」
此れ由しを頭に瘡(きず)、蟲髪を食べ禿げ落ちる、白く痂(か)せ無し、汁有り、皮赤し、しかし癢(痒)い、故に赤禿と言う
<通訳>
「白禿候」
人の腹中には九虫が寄生しており、血気が虚損している時には人体を浸食する。その中でも蟯虫が発動すれば最も瘡(きず)を生じ易くなり、疽(そ、悪性の腫物)、癬(せん、かゆみを伴う皮膚病の一種)、瘑(か、傷の後にできる痕)、疥(はたけ、顔にまるい白い粉をふいたような斑紋(はんもん)ができる皮膚病)の類の病症を形成するようになり、しかもそれらができないところはない。白禿が生じるのはこのような九虫によるものであり、頭部に虫がいて瘡(きず)を生じ、因って白痂を形成して非常に痒くなり、その瘡上の髪が全部脱落して生じなくなるので、これを白禿と称する。
「赤禿候」
省略されてました
<考察>
「白禿候」の最初は腹の中に9つの虫がいると書いてますが、9つの虫については記載してませんね。血気が虚損して、蟯虫が発生すると皮膚に関する症状が頭にもでるそうですが、最初にも記載してますが、白禿とは、頭部の白癬症のことを指し、その病原体は真菌類であり蟯虫(ぎょうちゅう)ではないそうです。
私なりに九虫が気になって調べてみると、『三尸九虫(さんしきゅうちゅう)』というキーワードがヒットしまして、具体的なのを調べると中国の道教の考え方のひとつで、三尸(さんし)とは人の体には 3 匹の虫が棲んでいるという考え方があります。
上尸 (じょうし), 中尸 (ちゅうし), 下尸 (げし) という 3 匹の虫で,いつも人の行動を監視していて,庚申 (こうしん/かのえさる) の日になると,眠っている人の体から抜け出して,その人が犯した罪を天帝に告げ口してしまいます。日本では,昔,それらの虫に告げ口されないようにと,庚申の日の夜は,みんなで集まって眠らないようにする 「庚申待ち」 という催しがされたりしました。で,この三尸には,それぞれ同類がいて合わせて 9 匹の虫がいるとされています。その 「三尸九虫」 が,私たちの体内で,私たちの感情や意識をコントロールしていると考えられているのです。怒りとか不満などの感情の高まりを, 「誰のせい」 とはっきり言わないで, 「虫のせい」 として使っていますよね。これって内因(ないいん)という精神活動が過度に強烈で長時間続くと病気になることに似ているかもですね。ただ、「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」の7種なんですけどね(汗)
仮説ですけど、九虫≒内因として、血気が虚損することで五臓にも影響がでて真菌類が頭皮にもでて、白く痒くなるのが白禿候、白くなく汁が出て皮膚赤く痒くなるのが赤禿候と整理されるのかなと思います(これはあくまで私の考えですよ(汗))
もし、九虫についてご存じの方は教えていただけると助かります(*゚▽゚*)
「参考文献」
東洋医学概論 公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著
講釈 諸病源候論 巣 元方 著 牟田 光一郎 訳
語源 【虫がいい/虫の知らせ/虫が好かない/腹の虫がおさまらない/虫の居どころが悪い】
https://s.webry.info/sp/mobility-8074.at.webry.info/201702/article_2.html