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#58 目病諸候 その19 目不能遠視候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

今日は大みそかですね。今年から独立して大変なこともありましたが、患者さんやまわりの方々のご助力のおかげでなんとかなりました。誠にありがとうございます。来年もよろしくお願いします。

 

さて、今日は『目不能遠視候』です

遠くを視ること能わずとは?です。

 

<原文>

夫目不能遠視者、由目爲肝之外候、府藏之精華、若勞傷府藏、肝氣不足、兼受風邪、使精華之氣衰弱、故不能遠視

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

夫れ、目の遠くを視ることが能わずの者、目は肝の外候ためゆえ、臓腑の精華、若し臓腑を勞傷すれば、肝氣不足し、兼ねて風邪をうけ、精華の氣は衰弱せしめ、故に遠くを視ること能わず

 

<通訳>

目が遠くを視ることができないのは、目は肝の外候であり、臓腑の精華であり、もし臓腑を労傷すれば肝気が不足し、さらに風邪の侵襲を受けると精華の気は衰弱してしまうので遠くを視ることができなくなるものである。

 

<考察>

肝は目に関わるので、いろんな目の病気が発生しますが、肝だけでなく実は心も影響がでます。それは五労(ごろう)という東洋医学の本『黄帝内経』の中の「素問 宣明五気篇」にでてきます。その中で「久視」=「目を使いすぎて血を傷めること」。血=心(五主)となります

 

 

使いすぎは、五臓のどこかをかならず消費して、病がでやすくなります。でも、どこが?とかどうなる?とすこしわかっていると対処もしやすいのでこういう勉強は大事になります

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

 

#57 目病諸候 その18 目珠子脱出候

おはようございます、鍼灸師の速水です

たまには朝からブログです(・∀・)

 

さて、今日は『目珠子脱出候』です

目の珠子が脱出とは?です。珠子がわかると内容が入ってきそうですね

 

<原文>

目是藏府陰陽之精華、宗脈之所聚、上液之道、肝之外候、凡人風熱痰飲漬於藏府、陰陽不和、肝氣蘊積生熱、熱衝於目、使目睛疼痛、熱氣衝擊其珠子、故令脱出

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目、是れ藏府陰陽の精華と、宗と脈の聚まる所、液の上がる道、肝の外候、おおよそ人、風熱、痰飲が藏府を漬けば、陰陽和せぜば、肝氣蘊積し、熱生ず、熱目を衝けば、目睛疼痛せしむ、熱氣衝擊すれば其の珠子は脱出する

 

<通訳>

目は臓腑の陰陽の精華と諸経脈の集まるところであるし、津液が上行する道であり、また肝の外候である。もし風熱の邪や痰飲の邪気が臓腑を侵して陰陽の調和がとれなくなると、肝気は鬱結して熱を生じ、その熱が目に上衝すると眼が疼痛し、甚だしい場合は目珠(眼球)が脱出(突出)する

 

<考察>

眼球の突出は多くは眼窩内に位置する病変によって起こりますが、一部は内分泌(甲状腺)異常や眼窩内の組織の炎症によっても起こりえます。そして、眼球の疼痛を伴います。炎症性の突出することが考えられますが、もし単眼に起こったものであれば眼窩内あるいは副鼻腔の炎症などによって起こるものであり、治療においてはその臓腑の熱邪を寫すべきで、清熱解熱法を使用するそうですが、肝熱を寫すことを主にします

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#56 目病諸候 その17 目珠管候

こんにちは、鍼灸師の速水です

12月もあっという間にもう3週目です。これから皆さんいろいろ忙しくなると思いますが体調に気をつけてくださいね(・∀・)

 

さて、今日は『目珠管候』です

目の珠管とは?です。珠管がキーワードですね

 

<原文>

目是五藏六府之精華、宗脈之所聚、肝之外候也、肝藏血、若府藏氣血調和、則目精彩明淨、若風熱痰飲漬於藏府、使肝藏血氣蘊積、衝發於眼、津液變生結聚、状如珠管

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目是(こ)れは五藏六府の精華、宗と脈の聚まる所、肝の外候なり、肝は血を藏す、若し、府藏氣血調和すれば、すなわち目精彩淨(きよ)く明らか、若し、風熱、痰飲、藏府を漬かれば、肝の藏、血氣蘊積(うんせき)し、眼に發して衝けば、津液變(変)じ結聚を生む、状は珠管の如き

 

<通訳>

目は五臓六腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また肝の外候である。肝は血を蔵(たくわ)える臓であり、もし肝の気血が調和していれば視力ははっきりしているが、風熱や痰飲が臓腑を浸漬し、肝の血気が鬱積して目に上衝すると眼の中の津液が結聚して珠管(くびかざり)のようなものが形成する

 

<考察>

眼に珠管と呼んで、ぴんときたのが、「カイザー・フライシャー角膜輪」。これはウィルソン病によって眼に角膜に青緑色或いは黒褐色のリング状の線ができます。ウィルソン病は、日常生活において食事で摂取された銅が、正常に肝臓から胆汁中・腸管中に排泄されず、肝臓・脳・腎臓などに銅が多量に蓄積することによって肝臓や神経などに重い障害を引き起こす病気です。その原因は摂取された銅がうまく運ばれないことによります。ウィルソン病の発症率は3万人~4万人に1人といわれ、全国で1500人の患者がいるといわれています。この病気は早期に発見し治療を行えば十分な社会復帰あるいは発症の予防が可能です。この病気も肝臓に負担がでている病気ですね。これが「目珠管候」と一致しているかは定かではないですが似ている病気があると考え方がさらに深くなりますし、説明しやすいですね

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

https://www.nobelpharma.co.jp/general/willson/index.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%A1%E7%8E%89

 

#55 目病諸候 その16 雀目候

おはようございます、鍼灸師の速水です

かなり冷えてきましたね。ストーブから離れられないです(笑)

 

さて、今日は『雀目候』です

雀目とは?です。雀目はあとで解説しますが、まずは原文読んでいきましょう

 

<原文>

人有晝而睛明、至暝則不見物、世謂之雀目、言其如鳥雀瞑便無所見也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

晝(昼)、睛(ひとみ)明らかな人有り、暝(めい、日没)に至りすなわち物を見れず、世はこれを雀目(じゃくもく)という、言其れは鳥雀の如き、瞑(めい、日没)みるところなしなり

 

<通訳>

昼間はよく物が見えるのに日没時になると物が物が見えなくなる人がいるが、世間ではこれを雀目(じゃくもく)といっている。それはまるで鳥類のように目が暮れると物を見ることができないからである。

 

<考察>

暝  = 日没時 を指します

雀目 = じゃくもく、これは『とり目』のことを指します。とり目はビタミンA欠乏による夜盲症である。小児の脾胃虚弱や長期の消化不良症、栄養失調などでよく見られ、また疳疾(かんしつ)では目の早期症状としてよく見られる。そのほか先天性の夜盲症があるが、これは網膜の色素変成によるものであり、遺伝的な要素があり、「高風雀目」と称されています。

私はとり目なので、夜になると少し見えずらいですね。運転時はライトがあるので平気ですが、田舎を歩くときがかなり不安ですね、ほぼやま勘で歩いてます(笑)たしかに、子供のときは虚弱でしたし、ドカ食いをしょっちゅうしてたので消化不良にもなって栄養がちゃんと吸収できてなかったんでしょうね(;゚Д゚艸)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

 

#54 目病諸候 その15 目茫茫候

こんにちは、鍼灸師の速水です

さて、今日は『目茫茫候』です

目の茫茫とは?です。茫茫はなんでしょうね~

 

<原文>

夫目是五藏六府之精華、宗脈之所聚、肝之外候也、府藏虚損、爲風邪痰熱所乘、氣傳於肝、上衝於目、故令視瞻不分明、謂之茫茫也、凡目病若肝氣不足、兼胸鬲風痰勞熱、則目不能遠視、則視物茫茫漠漠也、若心氣虚、亦令目茫茫、或惡見火光、視見蜚蠅黄黑也、

診其左手尺中脈、沈爲陰、陰實者目視茫茫、其脈浮大而緩者、此爲逆、必死、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法云、雞鳴欲起、先屈左手噉鹽指、以指相摩、呪曰西王母女、名曰益愈、賜我目、受之於口、即精摩形、常雞鳴二七著唾、除目茫茫、致其精光徹視萬里、遍見四方、咽二七唾之、以熱指摩目二七、令人目不瞑

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

夫れ、目は、是(この)五藏六府之(の)精華(せいか)、脈之聚(あつ)まる所むねと、肝之外候也、府藏虚損(きょそん)すれば、風邪や痰熱の所に乘じて、(邪)氣肝に伝わり、目に上衝(じょうしょう)すると、故に視瞻(しせん)分明せず、これを茫茫(ぼうぼう)というなり、およそ目の病は肝氣を不足し、胸鬲(きょうかく)に風痰勞熱、すなわち目遠くを視ることあたわず、物を視れば茫茫漠漠(ぼうぼうばくばく)んり、もし、心氣虚すれば、目茫茫(ぼうぼう)し、あるいは光や火を見ると、黄黑の蠅輩に見える也

その左手尺中の脈、沈んでいるのは陰、陰實の者目視ること茫茫(ぼうぼう)し、其脈浮大で緩の者、これ逆、必ず死、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

養生方導引法に云う、雞鳴欲して起き、先ず左手を屈し、鹽(しお)を指に噉(くら)わし、相指で摩すり、呪曰「西王母の女(むすめ)よ、名は益愈という、我に目を賜え、受けん」ととなえる、すなわち形詳しく、雞鳴に14回唾をつければ、目の茫茫除く、其視はくわしく万遠くをみれる、四方を遍くみる、これ(指)に唾液を14回つけ、指をこすり熱くなってめをあてる、それ14回、不瞑

 

<通訳>

目は臓腑の精華と諸経脈の集まるところであり、また肝の外候である。もし臓腑が虚損し、また風邪や痰熱が乗じて、邪気が肝に伝わり、目に上衝すると、視力がはっきりしなくなるがこれを目の茫茫(ぼうぼう)という。およそ目の病は肝気が不足し、胸郭に風痰労熱があると目は遠くをみることができなくなり、物をみれば茫茫漠漠(ぼうぼうばくばく)としてはっきりしない。また心気が虚していても目は茫茫となるが、この場合は明るい光や火を見ることを恐がったり、黄黒色の小さな虫が飛びまわっているように見えたりするものである。

脈診で左手の尺中脈が沈であるのは陰証であるが、陰実であるものは目が茫茫としてかすんでいる。その脈が浮大で緩であるものは脈証不一致で逆証であり、予後不良である。

養生方導引法に云う、早朝雞鳴時にまさに起床しようとするときに、まず左手を屈して塩を中指につけ、母指と中指をこすり合わせながら、「西王母の女(むすめ)よ、名は益愈という、我に目を賜え、受けん」と称えれば目は物の形態をよく見ることが出来るようになる、毎朝雞鳴時に目に唾液を14回つければ、目の茫茫(かすみ)がとれて、その視力は鋭くなり万物を徹視し、四方を遍くみることができる、両手の中指に唾液を14回つけ、指と指をこすり合わせて熱くなってから、目を摩擦する。これを14回くり返す。この方法によって目が見えにくくならない。

 

<考察>

茫茫 = かすむ

これもかすみ目の話になりますね

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#53 目病諸候 その14 目青盲有翳候

こんにちは、鍼灸師の速水です

さて、今日は『目青盲有翳候』です

目の青盲は視神経萎縮などの症状ですが、さらに翳(えい、まくがかかったうような感じ)とは?です

「#52 目病諸候 その13 目青盲候」のさらに発展型ですね

 

<原文>

白黑二睛無有損傷、瞳子分明、但不見物、名爲青盲、更加以風熱乘之、氣不外泄、蘊積於睛間、而生翳似蠅翅者、覆瞳子上、故謂青盲翳也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

白黒睛の二つ損傷なし、瞳子分明し、ただし物見れず、その名を青盲、更に風熱これに乗じて加わると、気外に泄せれず、睛間に蘊積し、蠅の翅(はね)に似た翳(えい)を生む者、瞳子上に覆う、ゆえに青盲翳というなり

 

<通訳>

目の白い部分も黒い部分にもなんらの損傷がなく、瞳孔もはっきりしているのに物が見えないものを青盲という。青盲になっていて、更に風熱の外邪がこれに加わって、邪気が外に泄せられずに目内に蘊積して蠅の翅のような薄い膜状の翳を生じ、それが瞳孔の上を覆うようになったものを青盲翳(せいもうえい)という

 

<考察>

青盲 + 風熱 = 青盲翳 という感じですね

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#52 目病諸候 その13 目青盲候

こんばんは、鍼灸師の速水です

私は体を動かすことが多いですが、運動するとやっぱり血の巡りもよくなりますし、気力も湧いてくる感じがするので適度な運動はおすすめです

さて、今日は『目青盲候』です

目の青盲とは?です。青盲???何でしょうね???

 

<原文>

青盲者、謂眼本無異、瞳子黑白分明、直不見物耳、但五藏六府之精氣、皆上注於目、若藏虚有風邪痰飲乘之、有熱則赤痛、無熱但内生鄣、是府藏血氣不榮於睛、故外状不異、只不見物而已、是謂之青盲、

養生方云、勿塞故井及水瀆、令人耳聾目盲、

又云、正月八日、沐浴、除目盲

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

青盲の者、眼の本は異なることなし、瞳子、黒白分明(ぶんめい、はっきりとしている)し、なお物をみれず、五臓六腑の精気、皆目に上注する。もし臓虚し、風邪あり痰飲これに乗じ、熱有ればすなわち赤く痛む、熱なければ内に鄣(さえぎり)を生む、これ臓腑の血気、睛をさかえぜれば、ゆえにが異常ことならなずとも、見物することできず、これを青盲という

養生方に云う、故(ふるい)井塞ぐ及び水瀆(けが)すことなかれ、人耳聾(じろう)し、目盲(めしう)ふ

又云う、正月八日、沐浴し、目盲(めしう)ふこと除する

 

<通訳>

青盲の患者は外観的には目に何の異常もなく瞳子の黒白ははっきりしているのに視力を失って物をみることができない。五臓六腑の精気は皆目に上注しているが、もし臓気が虚弱となり、風邪や痰飲がこれに乗じて、もし熱があるようになれば目は発赤して疼痛するが、もし熱がなければ単に目の中に内障(ないしょう、内部の障害)を生じるだけなので外見上の変化は現れない。このように臓腑の血気が目を栄養することが出来るなくなると外見上に異常がなくてただ視力だけが喪失するようになる。これを青盲という。

養生方に云う、古井戸を埋め塞いだり、水を瀆(けが)したりしてはならない。もしそうすればその家人に耳聾目盲の患がでるであろう。

又云う、正月八日に沐浴すれば目盲を除くことができる

 

<考察>

青盲・・・視神経萎縮など目の外観は異常ないのに見えないもの。視野経萎縮は視神系が障害された結果、視神経線維が萎縮して機能しなくなった状態です。萎縮の程度に応じて視力、視野が障害され、もとにもどりません。原因としては、視神経の病気の末期や栄養障害、薬物中毒、緑内障(りょくないしょう)、外傷などがあります。遺伝による先天性のものもあります

違う諸病源候論では、『目青盲候』ではなく、『目清盲候』となっていました。意味合いは一緒だと思います

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

 

#51 目病諸候 その12 目暗不明候

こんにちは、鍼灸師の速水です

最近、風邪が流行しはじめたので皆さま気をつけてくださいませ( ´д`ll)

さて、今日は『目暗不明候』です

目が暗く明るくならずとは?です。今回は養生方も記載されていますヽ(´∀`)ノ

 

 

<原文>

夫目者、五藏六府陰陽精氣、皆上注於目、若爲血氣充實、則視瞻分明、血氣虚竭、則風邪所侵、令目暗不明、

1養生方云、恣樂傷魂魄、通於目、損于肝、則目暗、其湯熨鍼石、別有正方、補養宣導、今附于後、

2養生方導引法云、蹲踞、以兩手舉足五指頭自極、則五藏氣遍、主治耳不聞人語聲、目不明、久爲之、則令髮白復黑、

3又云、(仰?)兩足指、五息止、引腰背痺、偏枯、令人耳聞聲、久行、眼耳諸根、無有罣礙、

4又云、伸左脛、屈右膝内壓之、五息止、引肺、去風虚、令人目明、依經爲之、引肺中氣、去風虚病、令人目明、夜中見色、與晝無異、

5又云、雞鳴以兩手相摩熱、以熨目、三行、以指抑目、左右有神光、令目明、不病痛、

6又云、東向坐、不息再通、以兩手中指口唾之二七、相摩拭目、令人目明、以甘泉漱之、洗目、去其翳垢、令目清明、上以内氣洗身中、令内睛潔、此以外洗、去其塵鄣、

7又云、臥、引爲三、以手爪項邊脈五通、令人目明、臥正偃、頭下、却亢引三通、以兩手指爪項邊大脈爲五通、除目暗患、久行、令人眼夜能見色、爲久不已、通見十方、無有劑限

 

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

それ目の者、五臓六腑陰陽の精気みな目に注ぐ、もし血気充実であれば、すなわち視瞻(しせん、みること)分明(ぶんめい、はっきり見極めがつくさま)す、血気虚竭(きょけつ)すれば、すなわち風邪所を侵し(おかし)、目暗く明らかにならず

1養生法に云う、楽恣(ほしいまま)すれば魂魄傷つく、目を通じ、肝を損なえば、すなわち目暗くなる、その湯熨鍼石、べつに正方あり、養宣導を補う、今後につける

2養生方導引法に云う、蹲踞(そんきょ)し、両手でもって足の五指頭を自ら極めんと挙げる、すなわち五臓気が遍す(へんす、くまなくいきわたる)、主に耳人語聞こえずや聾、目明らかならずが治す、ひさしくこれをすれば、すわわち髪の白、黒に復す

3又云う、両足の指反らして、五つ(回)息止め、導引すれば背の痺れ、偏枯(へんこ、片麻痺)(もよくなり)、人耳聞こえる。久しく行えば、目耳諸根、罣礙(けいげ、引っかかること)なし

4又云う、左脚伸ばし、右膝を屈しこれを壓え(おさえ)、五つ(回)息止め、導引すれば肺、風虚去る、人目明らかとなり、経によってこれをなす、肺の中の気を引き、風虚病を去る、人目明らかとなり、夜中色見れる、そして昼異なる無し

5又云う、雞鳴きて、両手で持って相摩り熱くし、もって目を熨える(おさえる)、三度行い、指で以て目を抑え、左右の神光有れば、目明らかとなり、病痛まず

6又云う、東向きて坐り、再び息通ぜず、両手の中指に口つけ唾を14回、相擦り目を拭う、目明らかになり、甘泉これをすすぎ、目を洗い、その翳垢(えいく)をさる、目清く明らかになり、上をもって内気にて身中洗い、内睛潔よくす、これを以て外を洗い、その塵を鄣ぎ(ふさぎ)去る

7又云う、臥(が)して、引くこと三、手の爪でもって項部脈五度もてば、目明らかとなり、臥(が)してまさに偃(ふ)す、頭下げ、却(かえ)って亢げて引くこと三度、両手の爪でもって項部脈五度もてば、目暗く患いを除く、久しく行えば、目夜色見ること能える、更に久しく行えば、十方見ること通じ、劑限なくあり

 

 

<通訳>

五臓六腑の陰陽の精気は皆目に注がれている。もし血気が充実していれば視力も明瞭であるが、血気が虚弱であると風邪に侵されやすくなり、視力は弱ってはっきりとものを視ることができなくなる

1養生方に云う、歓楽を放縦にすれば魂魄を傷める。肝は魂をやどしていて目に竅を通じているので、損傷が肝に及べば目がかすんで見えにくくなる。

2養生方導引法に云う、蹲踞(そんきょ、膝を曲げて座り)、両手で両足の指を握って引っ張り上げるようにし、頭をできるだけ低く下げるようにすれば、五臓の気はよく頭に達するようになる。したがって耳がよく聞こえ、目がよく見えるようになる。これを日常に行えば白髪も黒くなっていく

3又云う、両側の足指を反らして五回息を止めて導引すれば、腰背の痺症や半身不随がよくなり、さらに耳の聴力がよくなる。これを日ごろに行えば目や耳の感覚器が外部からの影響で損傷されるのを防ぐことができる

4訳なし(又云う、左脚を伸ばし、右膝を曲げておさえ、五回息を止め、導引すれば肺の風虚が治る、目が鮮明となり、肺の気を導引すること風虚病を治す、目が鮮明となり、夜中でも昼と変わりなくみれる)

5又云う、早朝、鶏鳴時に起き、両手掌をこすり合わせてあつくし、その熱くした掌で三回目をあたためる。その後で指で目を抑える。もし、両目に神光が感じられたら、目は良く見えるようになり、目の疼痛も起こらなくなる

6又云う、東を向いて坐り、二度息を止め、両手の中指に14回唾をつけ、その両手の中指をこすり合わせ、その中指で目を拭く、この方法によって目がよく見えるようになる。唾液でもって口を漱ぎ、目を洗って目の脂垢を取り除けば目は清明になる。上半身へ気を導引して気でもって身を洗い、気を目の中へ導引して眼睛を清潔にし、さらに唾液でもって外から目を洗ってその塵(ちり)を去るようにするとよい

7又云う、仰臥して三度、気を導引し、頸項部の筋脈を五回、手でつまむ。これによって目がよくみえるようになる。仰臥して体をまっすぐ伸ばしたまま、頭を下げたりあげたりを力を入れて三回行い、頸部の大きな筋脈を手で五回つまむ。これによって目がかすんでよく見えない病を除くことができる。日常これを続ければ夜もものの形や色がよく見えるようになる。さらにいつまでも続けるならば、ずっと遠くまで見え、視力に極限がないようになる。

 

 

<考察>

最近、かすみ目が多いので、導引法やってみようかな(´Д`ι)。導引法の中にはちょっとやるのにかなり抵抗のある内容(唾で目を洗う)があるので出来そうなことをやってみようと思います

養生方に関しては数が多いので、漢文の前に数字をふりました。そして、4番目の養生方は訳が記載されていなかったのでニュアンスを書いてみました

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#50 第3回セルフお灸の会 実施しました〜

こんばんは、鍼灸師の速水です

午後から第3回セルフお灸の会を実施してきました(p゚∀゚q)

路面がかなり凍って会館に行きづらいのと、連休の間だったのをすっかり忘れていて(笑)たぶん、だれも来ないなぁと思ってましたがそれなりに来てくれたことにとても感謝しておりますヽ(´∀`)ノ

今回は『腰痛』がテーマだったので、参加者さん全員男性でした。さすが腰痛は男性の方が多い疾患なので納得です

 

流れとしてはこちら

・西洋医学から腰痛をみた場合

・東洋医学から腰痛をみた場合

・お灸の準備

・お灸のやり方

・つぼの紹介

・指圧のしかた、お灸体験、お役立ち情報(座り方、立ち方)

 

今回は腰にお灸の代わりに指圧の仕方を取り入れ、手足では腰痛に効果あるつぼを紹介して皆さんとお灸体験をしました(o’∀’人)

北海道もまあまあ寒いのでお灸はやっぱり温まりますね(笑)

 

では、実施風景はこちらです(事前に参加者には許可得ております)

座学風景

委中指圧風景←委中穴の指圧風景

座り方のポイント説明 キーワード「重心」
立ち方のポイント説明 キーワード「仙骨」

 

お灸しているところは撮り忘れました(笑)

質問コーナーでは、沢山の質問してくれました(´▽`ノ)ノ、腰痛もちの参加者さんだらけなので、自分の腰痛についてやそもそも腰痛は治るのか?(痛みの緩和だけでないのか?)や腰だけ治療すればいいのでは?などなど濃い質問してくれましたので、こちらも返答しがいがあってテンションがあがってました(∩´∀`)∩

参加者さんも納得したり、そうだったのかぁ~とおっしゃってましたのでこういう場を設けて良かったなと思います

 

さて、次回のセルフお灸の会ですが、12月、1月と私用で忙しくなるので、大変申し訳ないのですが来年の2月から再開予定です(メールで全てのテーマを受けたいと依頼してくれた参加者さん、本当にすみません!!)

地元の権現舞で忙しくなると思います。

お灸教室の再開めどがつきましたら、またチラシでお知らせします(´∀`)

#49 目病諸候 その11 目息肉淫膚候

こんにちは、鍼灸師の速水です

ついに雪が降り、路面がつるつるです(ll゚Д゚ノ)ノ

さて、今日は『目息肉淫膚候』です

息肉(そくにく)が淫した膚とは?です

 

 

<原文>

息肉淫膚者、此由邪熱在藏、氣衝於目、熱氣切於血脈、蘊積不散、結而生息肉、在於白睛膚瞼之間、即謂之息肉淫膚也

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

息肉淫膚なる者、この由(来)は邪熱臓にあり、(邪)気目を衝く、熱気血脈を切して、蘊積(うんせき、たくわえて)散らずと、息肉(そくにく、ポリープ状のはれもの)を生む、白睛(はくせい、眼球結膜)と瞼(まぶた)の間、すなわち息肉淫膚という

 

<通訳>

目の息肉淫膚(そくにくいんぷ)の病候は邪熱が内臓にあって、邪気が目に上衝し、熱気が血脈に流中して、蘊結(うんけつ、つもってとけない)して消散せず、そのために白睛(はくせい、眼球結膜)と眼瞼結膜の間に息肉(そくにく)を生じるもので、これを息肉淫膚(そくにくいんぷ)という

 

<考察>

息肉を調べるとポリープでした

この本の注解には、「息肉」は心肺二経絡(心経と肺経の2つの経絡)の風熱に脾胃の積熱が加わって上に壅滞(ようたい、ふさがり滞る)し、そのため気血が瘀滞(おたい)して起こったものである。また陰虚火旺(いんきょかおう、生活の不摂生や過労で五臓の腎の陰液が消耗し、そのために熱を抑えきれず心火が生じている体質)によって起こることがある。

白睛(はくせい、眼球結膜)と眼瞼結膜の間に息肉(そくにく)と考えたら………結膜炎のもっと悪性な腫物ってことでしょうかね?

むむむ(;゚∀゚)、よくわからない(笑)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳