#43 目病諸候 その5 目数十年赤候

こんにちは、鍼灸師の速水です

今日の午前中は次回のセルフお灸の会の資料づくりをしてました(σ゚∀゚)σ

 

さて、今日は『目数十年赤候』です

はて、これだけだと、眼が数十年赤くなる?みたいな感じですかね。実際に読んでみましょう

 

<原文>

風熱傷於目眥、則眥赤爛、其風熱不去、故眥常赤爛、積年不差

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

風熱、目眥(もくし、めじり)傷付くと、すなわち眥(まなじり、目じり)赤く爛(ただ)れる、その風熱去らざれば、眥(まなじり)常に赤く爛れ、積年(せきねん、長い年月)差せず

 

<通訳>

風熱が目眦(めじり)を傷すると目眦は発赤して糜爛(びらん、ただれること)する。その風熱の邪気が停留して去らないと目眦はいつも赤く爛れてしまい長年にわたって治らなくなる。

 

<考察>

数十年 = 長年 ということですね。糜爛(びらん)や爛(ただ)れってありますが、具体的に言うと浅い水疱(すいほう)の疱膜が破れて生じたもので、新鮮紅色を呈し、表面は漿液(しょうえき)で潤っていることです

当時(2300年前)からの医療だと、一度爛れた場合、自然治癒か膿がひどいときは切り取るぐらいしかないので長い間爛れてしまうと推測されます(現在みたいに抗生物質などないですからね)

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#42 目病諸候 その4 目赤爛眥候

こんにちは、鍼灸師の速水です

はやめに冬タイヤに交換してきました(σ゚∀゚)σ

 

さて、今日は『目赤爛眥候』です

風眼(膿漏眼の俗称)について説明しているみたいですね。詳しくは考察に記載します

 

<原文>

此由冒觸風日、風熱之氣傷於目、而眥瞼皆赤爛、見風彌甚、世亦云風眼

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

この由、風日冒觸し、風熱の気目を傷つける、眥瞼みな赤く爛れ、風見るといよいよ甚だしくなり、世にまた風眼という

 

<通訳>

目赤爛眥は風と日光を触冒して、風熱の気が目を傷して、眼瞼が発赤して糜爛(びらん、ただれること)するものである。このような症候はしばしば風に遇うと激しくなるものであるところから「風眼」とも称される

 

<考察>

先述しましたが、「風眼」を調べると「膿漏眼」を風眼と呼んでいたそうです。多量の膿性の目やにが出る結膜炎の総称で、淋(りん)菌による結膜炎がその代表的なものである。眼瞼(がんけん)と結膜は赤くはれて、膿(のう)がぬぐったあとからすぐに湧(わ)くように出てくるそうです。

成人だと、淋菌性結膜炎

新生児だと、新生児膿漏眼

風や空気が原因でこの病気が起こるとされたことから,古くからこの名で呼ばれた。現在は淋菌によって起こる結膜炎として整理されています∑(´Д` )

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#41 目病諸候 その3 目風赤候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

昨日は夕方まで温かかったのに、夜は一段と冷え込みましたね(((;゚д゚;)))

 

さて、今日は『目風赤候』です

風熱の邪が内部に入ることで目が赤くなるについて説明しているみたいですね

 

<原文>

目者肝之竅、風熱在内乘肝、其氣外衝於目、故見風涙出、目瞼皆赤

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

目の者肝のあな、風熱あり肝の内に乗ず、その気目の外を衝く、故に風見れば涙出し、眼瞼赤くなる

 

<通訳>

目は肝の外竅(がいきょう)であり、風熱の邪が内部に入って肝気に乗じ、その熱気が外候である目に上衝したものを風赤(ふうせき)と称する。これは風に遇うと涙が流れ出て、眼瞼は発赤する

 

<考察>

読んでいて思ったのが、風赤は「ドライアイ」のことを指しているのかなと(σ゚∀゚)σ

ドライアイとは、涙の量が少なくなったり、涙の質が悪くなることにより、眼球の表面に障害が生じる状態をいいます。
その症状はさまざまで「目が痛い」「ゴロゴロする」「光がまぶしい」「目の不快感」「疲れやすい」「風にあたると涙が出る」「目のかすみ」「充血しやすい」「目やにがでる」「目のかゆみ」などがあります。
また、ドライアイを放っておくと集中力が低下したり、目に細菌がついて感染症を引き起こしたり、花粉症などのアレルギー性結膜炎を悪化させたりすることもあります

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#40 目病諸候 その2 目胎赤候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

私的なことなんですが、昨日無事に飼っている犬が退院できましてかなりホッとしておりますヽ(´ー`)ノ。

 

さて、今日は『目胎赤候』です

胎は赤ちゃんのことを指しますので、赤ちゃんの目が赤くなるにはについて説明しているみたいですね

 

<原文>

胎赤者、是人初生、洗目不淨、令穢汁浸漬於眥、使瞼赤爛、至大不差、故云胎赤

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

胎赤という者、是(これ)人生初、目洗浄せず、眦(まなじり)汁に浸漬し穢れ、瞼(まぶた)赤く爛(ただ)れる、大きく至り差しず、故に胎赤という

 

<通訳>

胎赤とは新生児期に洗目が清潔でなく、穢濁なものが眼眦に感染したために、眼瞼の赤く爛れ(ただれ)が生じたものである。これが生長してからも治らないものを、出産時に得たものであるところから胎赤と称するのである。

 

<考察>

新生児の目の病気としては、昔は淋菌性結膜炎が恐れられていました。
これは、生まれる子が産道を通る時に淋菌に感染して起こるもので、生後2、3日で発病します。膿のようなめやにが出て、ほうっておくと失明することがあります。

他になりそうなものとしては、未熟児網膜症、先天白内障、先天緑内障、網膜芽細胞腫、先天鼻涙管通過不全などがあります。

ここの漢文で、「是人初生、洗目不淨、令穢汁浸漬於眥」と記載されており、これは生まれた後に起きたことなので後天性の感染になります。なので、上の未熟児網膜症、先天白内障、先天緑内障、網膜芽細胞腫、先天鼻涙管通過不全は該当しなくて、淋菌性結膜炎が、もしかすると胎赤と言ったのかもしれませんね(σ゚∀゚)σ

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳

#39 目病諸候 その1 目赤痛候

おはようございます。鍼灸師の速水です。

11月突入ですね。諸病源候論は、目病諸候に突入しますヽ(*゚∀゚*)ノ

目の病については、38個も項目ありますね(;゚∀゚)

 

『目赤痛候』です

 

<原文>

凡人肝氣通於目、言肝氣有熱、熱衝於目、故令赤痛

 

<書下し文、自分でやっているので間違いがあります>

およそ人の肝気は目に通ず、肝気熱有りと言えば、熱目を衝(つ)く、故に赤く痛くなる

 

<通訳>

人体の肝経の気は目に通ずる、もし、肝気が有余で熱を生ずれば、その熱気は目に上衝して、目が赤くなり疼痛を生ぜしめる。

 

<考察>

言=『外台秘要 21巻 目赤痛方』では、「若」→もし

目が充血して疼痛するのは多くの眼病に共通して見られる症状であり、その原因はひとつだけでなく、外感の風熱によって起こるものがあるし、臓腑の気熱が上衝して起こるものもあるので、臨床に於いては具体的に病状と結合させて分析したほうが良いとこの翻訳の注釈に記載されています

たしかに、足の厥陰肝経の経絡図を見ると目を通っていますね。東洋医学では、肝気が余ると上衝して目にきます

西洋医学では、結膜炎が代表的ですかね。白目(しろめ)とまぶたの裏側を覆っている半透明な膜(結膜)が、赤く充血して炎症を起す病気です。感染で起こる細菌性結膜炎、ウィルス性結膜炎、アレルギーで起こるアレルギー性結膜炎などさまざまな種類があります。現代だと、コンタクトレンズによる傷が充血させてしまう外傷的なものもありますね

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

講釈 諸病源候論 巣 元方 著  牟田 光一郎 訳