#18 体調不良の原因には種類がある(病因論)その1

おはようございます。鍼灸師の速水です。

もう七月終わっちゃうんですね。日にちが過ぎるのが早く感じてしまいます。体調管理しているつもりでも体は正直者。なぜか体調がよくならない時もあると思います。

タイトルにもあげたように、体調不良の原因には種類があります。普段、原因についてなかなか考えないかもしれませんが、知っておくとその対処法も考えるので参考にどうぞ

 

東洋医学では、『体調不良の原因 = 病因(びょういん)』といいます。

「病」とつくと、イメージしやすいのが風邪などのウィルスではないでしょうか。外からの影響で病になること、それを外因(がいいん)または、六淫(ろくいん)といいます。外因はほかには

風 寒 暑 湿 乾 火

詳細はまた次回に説明します。ざっくり言うと、自然界の気候の変化により、人体を外部から発病させる原因を指します。

 

そして、「外」があると「内」もあります。内因(ないいん)または、七情(しちじょう)といいます。

怒、喜、憂、悲、思、恐、驚

これも次回にします。過度の感情によって病になることを指します。

 

外因、内因とありますが、実はもう一種類の原因があります。それを不内外因(ふないがいいん)といいます。内因、外因にも属さない疾病の原因で、社会生活を営む中での病因であり、例えば飲食の量が多い、質の偏り、労倦(ろうけん)といった働き過ぎによる原因、SEX(房事)のしすぎ、外傷などがあげられます。

 

病因——内因、外因、不内外因のざっくり3種類となります。そこからさらに細分化するような感じになります。

 

次回は、内因、外因の細かい説明をします。

朝早くのブログもいいなと思いましたが、なかなか時間とられますね(笑)

 

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

 

#17 気ってなに?

おはようございます。鍼灸師の速水です。

あっついですね。本州ほどではないですが北海道も気温が高くなっています(- _ –  ; )

やる気がなかなかでませんよね?さて、今回のブログはよく言葉に出てくるけど、もやっとしていることば「気」です。

 

まずは、辞典でしらべると(goo国語辞典より)

1 生命・意識・心などの状態や働き。

㋐息。呼吸。「気が詰まりそうな部屋」

㋑意識。「気を失う」

㋒物事に反応する心の働き。「気を静める」

㋓精神の傾向。気質。「気が強い」

㋔精神の盛り上がり。気勢。「復興の気がみなぎる」

㋕気分。気持ち。「気が楽だ」「気が乗らない」

㋖あれこれ考える心の動き。心遣い。心配。「どうにも気になる」

㋗物事にひきつけられたり、人を恋い慕ったりする気持ち。興味。関心。「彼女に気がある」

㋘何かをしようとする、また何かしたいと思う心の動き。つもり。「どうする気だ」「やる気がある」

2 天地に生じる自然現象。空気・大気や、水蒸気などの気体。「山の気」

3 あたりに漂う雰囲気。心に感じる周囲のようす。「陰鬱 (いんうつ) な気が漂う」

4 ある物がもっている特有の香りや風味。「気の抜けたビール」

 

 

私が習った時の気の概念は

 気は目で見ることができない流動的なエネルギーであり、生命活動においては精神活動を含めた機能的活動を統括する役割を担っています。

気には上の辞典にもあるようにいろいろな働きがあります

原気(元気) ・・・ 両親から受け継いだ先天の精が変化したもので生命活動の原動力となる(これがよく使っている気のことを指すのかな)

 

宗気(そうき)・・・ 飲食物の消化吸収によって得られる後天の精と呼吸によって得られる天の気が交わって胸の中に集まる気

 

営気(えいき)・・・ 水を血に変化し、血とともに体中を巡り、臓腑や手足など内外の諸器官を栄養する気

 

衛気(えき) ・・・ 体の外をめぐる気、特に体表近くで活動し、皮膚を温め、皮膚の収縮と弛緩をする。バリアみたいな気

 

真気(しんき)・・・ 両親から受け継いだ先天の精と飲食物の消化吸収によって得られる後天の精からなるもので、人体の正常な活動を支える気の総称

 

臓気(ぞうき)・・・ 五臓(肝、心、脾、肺、腎)におさまり、それぞれの臓の活動を支える気

 

経気(けいき)・・・ 経絡中を行き全身を巡り、それぞれの経絡の活動を支えている気

 

胃気(いき) ・・・ 胃を働かせる気、胃の働きによって得られる後天の気といい、この有無は診断上でも重要とされています

 

気って整理してみると面白いですね

 

かめ◯め波は使えないけど、ドラゴンボール見ているとあのオーラが気ってわかりやすいっと感動します

 

 

さて、話変わりますがチラシがきました〜

 

 

そして、告知です

セルフお灸の会をやりまーす

8/23(木)10:30~11:30
8/25(土)13:30~14:30
西の里会館 学習室2(2F)
会費 500円
電話、メールによる事前予約でお願いします

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

#14 自分の体調を診てみよう

こんにちは、鍼灸師の速水です

北海道は雨です。湿度が高いですね(汗)

関東が梅雨開けしたのもびっくりですが、北海道がまるで梅雨。

なんてこったい(° □°;ノ)ノ

湿度が高くなるとだるくなりますよね。体調崩さないよう気をつけたいところです。では、どのように体調がわかるの?ってなりますよね。そこで今日は望診(ぼうしん)を説明したいと思います。

望診とは、顔色や形態の変化を見て、疾病の性質やそん予後を判断する診法と書いています。

どういうことかというと、

1、顔のツヤがあるかないか(ツヤがある→血が巡っている健康的、ツヤがない→巡っていない)

2、顔の色(青→肝、赤→心、黄→脾、白→肺、黒→腎)

3、皮膚の色(青→痛み、黒→しびれ、黄赤→熱、白→寒)

4、顔面の部分診(おでこ→心、鼻→脾、右ほほ→肺、左ほほ→肝、あご→腎)

顔面の部分診

 

5−1、舌の形(ぼてっとしてないか、細くないか、歯型がついていないか等)

舌の形

 

5−2、舌の色(やや白い→冷え、赤→熱、濃い赤→さらに熱、紫→瘀血)

舌の色

 

5−3、舌苔(白→通常、黄色→熱、灰色→冷え、黒→熱or冷え)

舌苔(ぜったい)1
舌苔(ぜったい)2

 

<単語の意味(ざっくり書いときます)>

陽虚→冷えてる

陰虚→暑くなりやすい

気血両虚→気(エネルギー)と血の不足

表証→表面に症状がでる

裏証→体内に症状がでる

熱盛(ねつせい)→炎症や発熱性疾患

中風(ちゅうふう)→脳卒中

瘀血(おけつ)→血液の循環が悪い

 

 

自分を知ることは体調管理することにも繋がりますので是非朝起きした時、鏡を見たら顔や舌の調子を見てください(^ε ^)

 

舌をブラシで掃除する方もいるかもしれませんが、舌を傷つけ、化膿する可能性があるので、舌ブラシをする際は使用方法に気をつけてください

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

#10 身体中に巡っている線路

こんにちは、鍼灸師の速水です

前回、経絡の概要を書きましたが、今回は身体中に走っている線路について紹介します

線路は何種類かありますが、今回は12本の線路(経脈)を書きます

 

1。手太陰肺経(てのたいいんはいけい)

手太陰肺経

 

2。手陽明大腸経(てのようめいだいちょうけい)

手陽明大腸経

 

3。足陽明胃経(あしのようめいいけい)

足陽明胃経

 

4。足太陰脾経(あしのたいいんひけい)

足太陰脾経

 

5。手少陰心経(てのしょういんしんけい)

手少陰心経

 

6。手太陽小腸経(てのたいようしょうちょうけい)

手太陽小腸経

 

7。足太陽膀胱経(あしのたいようぼうこうけい)

足太陽膀胱経

8。足少陰腎経(あしのしょういんじんけい)

足少陰腎経

 

9。手厥陰心包経(てのけついんしんぽうけい)

手厥陰心包経

 

10。手少陽三焦経(てのしょうようさんしょうけい)

手少陽三焦経

 

11。足少陽胆経(てのしょうようたんけい)

足少陽胆経

 

12。足厥陰肝経(あしのけついんかんけい)

足厥陰肝経

 

太陰、少陰、厥陰を三陰と言います(陰の多い順は太陰>少陰>厥陰)、

太陽、少陽、陽明を三陽と言います(陽の多い順は陽明>太陽>少陽)

三陰三陽って聞いたことある人はこれがどういう意味かわかったかもしれませんね。上記の3つの陰と3つの陽になります。それが手と足にあるので、3(三陰)×2(手足)+ 3(三陽)×2(手足)=12となります。これが1周ぐるっとしているとされています。

 

 

十二経脈の他にも、線路はありまして、体の前面(お腹側)の正中線を任脈、後面(背中側)の正中線を督脈と言います。また、奇経八脈という線路もあります。

 

身体にたくさんの線路が巡っているので、その線路がどの臓腑に影響しているのか判断したり、鍼灸によって線路の滞りを改善し疾病を治します。

 

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

携帯用 経絡経穴概論 『東臨』の要点と総括 第4版 編 岡田隆

携帯用 経絡経穴概論

この携帯用 経絡経穴概論は、従来の経絡経穴概論をサイズコンパクトしていて、且つ、経穴(つぼ)の特性など凝縮した本でして、学生時代はこの本を毎日読んでは臨床に役立てないか考えてました

#9 経絡って何?

こんにちわ、鍼灸師の速水です

やっとこさ晴れて洗濯日和ですね

 

さて、今回は「経絡(けいらく)」について説明します。

経絡は聞いたことあるけど、どんなもの?って思っている方が多いと思います。

経絡は気血の運行する通路のことで、よく例として挙げられるのが、経穴(つぼ)が駅で経絡は線路を指します。人の体を縦方向に走る通路を経脈(けいみゃく)、経脈から枝分かれする通路を絡脈(らくみゃく)と言います

経絡の例え(こりずに手書き)

経絡=経脈+絡脈と説明しましたが、さらに細分化されています

経絡の構成

経絡の働きは

⑴ 経絡は循行上の臓腑、皮膚、肌肉、筋、骨に気血を巡らせて人体の生理活動を維持

(2) 経絡は気血の多すぎ、少なすぎや風邪などの外邪の侵入などに応じて、疾病の生じるところ

(3) 経絡は病態(病の状態)に応じて診断し、治療を施すところ

 

体中を線路が巡っているので、例えば腰痛があっても、直接腰に鍼をする人をいますが、経絡を使うことで足に鍼をすることで腰痛の治療することも可能になります

初めて鍼灸治療を受けた時に、肩や腰が痛かったのに手足に鍼を刺しただけで治った時は「え?なんで?」とずっと?マークが出たまま帰ったのを覚えてます(笑)

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

#8 五行論って何?

こんにちわ、鍼灸師の速水です

今日は晴れてはいるんですが、風が強い北海道です。はやくあったかくなってほしいですね

さて、前回の「#5 陰陽って何?で書いた五行論について書きます

五行は、殷の時代(紀元前1500年)今から3500年前ぐらい(日本だと縄文時代)に甲骨文字が栄えており、そこに四方の風(春、夏、秋、冬)の神の名前が記載されていました。中国の風土には、黄河を中心に、四方の地域に成り立っているため、五つとして考え、五つの地域の土の色や、生産物、気候を整理して代表的物質(木、火、土、金、水)と結びつけて分類したのが起源となります

木、火、土、金、水をベースに体内や体表に分類し医療として発展しました

五行の絵(手書きでスミマセン)
五行の整理 その1
五行の整理 その2

五臓に病があれば、色艶、声、脈に反映し、それを分類した五色、五音、五味、五臭などからどの臓腑に影響が出ているのか判断をしていきます

西洋医学で言っている、肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓の臓器名は、江戸時代後期に西洋医学を翻訳する際に、中国の古医語を使用しているので伝統医学用語と同じではありません。

五行を知ると体内や気持ちがわかってくるので、自分を見つめる一つの考えとして使用できますね

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

[あじあブックス] 針灸の歴史 悠久の東洋医術  著者 小曽戸 洋  天野 陽介

 

#5 陰陽って何?

おはようございます。鍼灸師の速水です。

北海道は恵みの大地ですね。食べ物がおいしい!先日、ジンギスカンやアスパラのホイル焼きを頂いて元気補充してました( ‘ ε ‘ )/

さて、本日の題目ですが、たまに「陰陽(いんよう)」って聞いたことはないですかね?「陰陽師(おんみょうじ)」で陰陽って言葉が使用されていますね。これは中国の易学(占いの学問)という、宇宙の万物が形をとって現れる状態を作り、支配する二つの相反する性質を持つ気を指します。積極的なものを陽、消極的なものを陰とする考えです。自然界のすべての現象を解釈するうえで基本的な観点となっています。

前回のブログで紹介した「黄帝内経 素問」の陰陽応象大論篇では、「天地は万物の上下なり、陰陽は万物の能始なり」とあります。日・男・奇数などは陽、月・女・偶数などは陰としています。陰陽論を医学的に応用し、人体の臓腑を陰陽に分け、臓を陰、腑を陽と考えました

臓  肝、心、脾、肺、腎

腑  胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦

これがよく聞く五臓六腑です

診断と治療としても陰陽論を使用しています。疾病の発生は陰陽の失調からとしているので治療方針も陰陽を調整する(不足していれば補足し、余っていれば瀉す)ことで陰陽の平衡を回復させることが原則になってきます。

この考えを2300年前からあったというのが凄いとしか言えないですね

陰陽論の他にも、五行論など東洋医学の考え方がありますので後日紹介したいと思います

 

本日の散歩 (天と地、その間に人がいる、これを天地人三才思想といいます)

 

「参考文献」

東洋医学概論  公益社団法人東洋療法学校協会 編 教科書執筆小委員会 著

鍼灸学校の一年の時から学んだ学問で、この学問をきっかけに鍼灸って深いんだなぁって体感したのを覚えてます

東洋医学概論

#2 「古典鍼灸」って何?

こんにちは、鍼灸師の速水です

ホームページにちらっと書いた「古典鍼灸」について説明したいと思います。

紀元前200年頃(前漢時代)から紀元前220年頃(後漢時代)の中国に、お墓から出土した医学書をまとめられ、鍼灸の治療術を記載した「黄帝内経絡(こうていだいけい)」や「難経(なんぎょう)」をもとに診断法、施術方針の施術することです。

各古典によって内容は異なりますが、例えば「黄帝内経」では「素問」、「霊枢」、「太素」、「明堂」の四つの書が伝えられていて、「素問」は生理、衛生、病理、陰陽五行説に則った医学理論の解説されている書であり、「霊枢」は診断、治療法、鍼灸手技などが解説されている書であり、「太素」は「素問」、「霊枢」の文章を類別、再編し、注釈をつけた書であり、「明堂」は経脈、経穴に関するの最古の専門書で、鍼灸各論の基本典籍とされています。「難経」は脈、経絡、臓腑、病理、経穴、刺鍼法など、鍼術の理論と臨床が簡潔に述べられています。

今から2300年も前から鍼灸について解説され、当時から使われていたということはそれだけ有効なものだと思います。古典をこれからも勉強して今後の施術に使えるよう頑張ります!

 

「参考文献」

[あじあブックス] 針灸の歴史 悠久の東洋医術  著者 小曽戸 洋  天野 陽介

という鍼灸についての歴史が分かりやすくまとめていただいている本です。小曽戸先生に以前お会いした時、とても気さくで情熱が高い方でした。

針灸の歴史